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法制審議会家族法制部会第21回会議議事録3~窪田委員・落合委員・青竹幹事・赤石委員・柿本委員・沖野委員・久保野幹事・池田委員・戒能委員

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共同親権時代らしい

議事録を読んでいく

○大村部会長 それでは、窪田委員、お願いいたします。

北村参考人への質問

○窪田委員

 神戸大学の窪田でございます。興味深いお話を伺って、大変勉強になりました。私の方からは、民間法制審議会家族法制部会について形式的な質問をさせてください。先ほど水野委員からの質問でも冒頭で少し触れられたのですが、今回の資料3を拝見したところ、メンバーには外国の方も含めて、家族法、あるいはもう少し広く、民法の研究者は含まれていないかと思います。今回の民間法制審のメンバーがどういうふうな形で選ばれて、また、今回ここの法制審でもそうなのですが、非常に見解が対立しているこの問題について、どういう検討を踏まえて参考資料として提出されている中間試案というものがまとめられたのかについて、簡単に伺えればいいなと思っております。本来このようなことは全く本質的なものではないということは十分に承知しているのですが、民間法制審議会という名称で活動して、また、その名前で広く知られているということに照らして、御質問させていただければと思います。
○北村参考人 なるほど。最初に言い訳めいたお話で恐縮なのですけれども、そもそも法制審議会の議論を拝見していて、これは原則共同親権にどうもなりにくいなと、これで大丈夫なのだろうかという危機感と切迫感、それから時間的な制約の中でやりました。これは言い訳ですけれども。その中で、様々なつてをたどって、各国の専門家については、特に離婚等を扱っておられる弁護士さんにいろいろお声掛けをさせていただいて、そして、短時間でもって人選をさせていただいたというところがございます。国内の方については、臨床心理士の先生とか、大学の先生とか、日程が限られている中で御参加いただける方、一定の知見を持っておられる方を取り急ぎお願いしたというのが正直なところでございます。
 そういうところでよろしいですかね。
○大村部会長 議論のプロセス、案の取りまとめのプロセスについて御質問があったかと思いますが。
○北村参考人 議論のプロセスについては、特に共同親権を採用している諸外国の皆様方に、その諸外国の状況をいろいろと説明していただきました。その問題点があるか、ないかなど、そのメリット、デメリットなどをいろいろと御説明いただいた、その中で議論をして、どういう方向がいいのかということを議論して、考えていったというようなところでございます。
○大村部会長 ありがとうございます。

民間チームが感じた危機感とは

○落合委員

 落合です。お話どうもありがとうございました。納得できるところもいろいろありまして、例えば、DVのあるケースに対して対処する方法を日本でだけ考えられないわけはないなどということ、それもそうだろうと私も思うのです。ところが、伺っていて最後の辺りで、DVというのは原則ないものだと、親はこどもを虐待しないものだと、ごく例外があるにしても、というような御発言があったかと思うのですけれども、その辺りは私、社会学者ですので、実態の方を踏まえておりまして、かつ、児童虐待についての研究プロジェクトもやってまいりましたので、その辺りの認識が大変危ういものだと思って伺いました。原則、親はこどもを虐待しないものだとか、それから原則、親子は愛し合っているものだというのは、どういう根拠でおっしゃっているのでしょうか。
○北村参考人 原則というのは、これは言葉の問題なのですけれども、実際の離婚の事例を拝見しますと、統計資料などを見ますと、実際に離婚している全体の母数でいうと、DVが理由になっているのは大体5%前後という資料がございます。かつ、それが全てお子さんへのDVが含まれているわけではございませんので、そういうところからというのが、まずあります。その資料を見ても、少なくとも95%の離婚についてはDVが理由になっていないということがいえますので、そういう意味で原則と申し上げました。
○落合委員 十分そういうことがあるということを前提として、それを防ぐ、リスクを防ぐ方法を考えるべきだと思いますので、原則、親はこどもを虐待しないものだ、のような誤解を招くような言い方は、これからしないでいただきたいなと思います。これは実証をやっておる社会学者の方からのお願いです。よろしくお願いします。
○北村参考人 了解しました。ありがとうございます。
○大村部会長 ありがとうございました。
 青竹幹事、赤石委員、柿本委員、沖野委員と手が挙がっておりますので、それぞれの皆さん、すみませんが手短にお願いを致します。

DVを軽視しているわけではない
むしろ、単独親権制がDVの温床になっていることを看過する議論が見られる

○青竹幹事

 離婚後の単独親権になる例外についてお考えをもう少しだけお聞かせください。離婚時に親権辞任ということをお考えのようなのですが、現行法上も親権辞任の規定がございますが、その基準と全く同じとお考えでしょうか。もし同じでしたら、例外を認める場合は厳しい、余りないだろうというふうな例外の設け方になるでしょうか、それとも、離婚時には一方の親権辞任をより容易に認めるべきという基準をお考えになっているかどうか、単独親権の例外についてのお考えを少しお聞かせいただけると幸いです。お願いいたします。
○北村参考人 例外については極めて限定的と考えております。先ほどもちらっと申し上げましたが、子に対する暴力を振るうようなケース、それに準ずるようなケースが例外だと考えております。理由について一言だけ申し上げると、親権を辞退する制度を余り広く認めますと、先ほど申し上げたように、離婚をどうしてもしたいと思っている方が親権を一旦そこで放棄するという事態が起きてくると、これはこどもにとって大変不幸なことであるということと、放棄した人にとっても後々必ず後悔するだろうと、余りいい制度ではないなと考えております。
○大村部会長 ありがとうございました。予定していた時間がもう来ておりますが、少し延長させていただきたいと思っております。他方、御質問はあと5人いらっしゃいますので、皆さん、1問だけ出していただいて、簡単にお答えいただくということで進ませていただきたいと思います。質問の方もお答えの方も制限をして申し訳ありませんが、よろしくお願いいたしますまず、赤石委員からお願いいたします。

親権辞任

○赤石委員

 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。1問ですか、7問ぐらい用意していたのですけれども。北村参考人、大変貴重な意見をありがとうございます。立法事実というか、前提となる認識が若干ずれておられないかなというのが心配だったので、質問させていただくのですが、例えば、離婚すると全ての親子が断ち切られているようなお話があったのですが、家裁では、司法統計によりますと、年間面会交流の取決め件数は1万1,917件、これは週1回から長期休暇など、令和3年度のデータでございます。こういったデータがないですとか、お子さんが親と会いたくないと答えているケースは、法務省の調査でも1,000人中322人がそう言っているですとか、こういったデータがきちんと引用されて、先ほどの5%も多分、よく間違えて引用されているのですが、平成28年の全国ひとり親世帯等調査、養育費を払ってもらえない理由の中にDVが主たる理由になっていただけのデータであると思いますので、その点、お確かめいただきたいというのがあります。
○北村参考人 資料についての前提として、私は全てが断絶されているという言い方をしておりません。後で聞いていただければ分かると思いますが、多くの場合、子と親権喪失した親との関係が断絶されていると申し上げています。断絶の意味なのですけれども、月に1回2時間しか会えないものについては、私の見方としたら、これは大きく、断絶に近い状態と考えています。統計資料によりますと、諸外国で意味のある親子交流としてみなされているのは、各週末の宿泊付きの交流、つまり、ざっくり言えば月に4回、宿泊付きで4日間会えるというのが意味のある親子交流だとされていますが、その意味のある親子交流がされている世帯は約6.4%しかないという統計資料もございます。なので、多くの場合、断絶されていると言って間違いなかろうと考えております。
○大村部会長 ありがとうございました。

質問は一問のみ

○柿本委員

 御説明ありがとうございました。共同監護計画作成に際し、ADRを義務化するということですが、現時点において市民がスムーズにADRを活用できるとお考えですか。一般市民にとって、ADRの活用はかなり難しいと思うのですが、いかがでしょうか。
○北村参考人 ADRの活用につきましては、離婚に伴う共同監護についてのADR、これについては現状を前提としては考えておりません。国の広報も大変必要であろうと思いますし、そもそも共同監護計画の作成などを義務付けることによって、ADRを活用せざるを得ない状況にもなりますし、大きな広報などでもって変えていこうということですから、現状を前提とした発想ではございません。
○大村部会長 ありがとうございます。

信じていたんだけどな、主婦

○沖野委員

 委員の沖野でございます。御説明ありがとうございました。私も四つぐらい用意していたのですが、一つだけということですので自分の中で判断が付きにくいのですが、1点だけお伺いしたいと思います。
 今回の御提案につきましては、離婚時に共同の親権を行使している父母の場合であるということからしますと、既に離婚の段階で一方が親権を喪失していたり、停止していたりという場合には、この御提案は妥当するものではないという理解でよろしいかということです。若干申し上げますと、御議論の途中で親権の喪失や停止についての基準の見直し、あるいは運用の見直しということもおっしゃっていて、そういう問題は、むしろ離婚前の段階での親権の処理で対応するというようなこともお考えなのかなと思ったものですから、制度についてのお考えというか、今の点をお聞きしたいと思った次第です。よろしくお願いいたします。
○北村参考人 今おっしゃったのは、現状既に離婚後に親権を行使していない方のことをおっしゃっていましたか。
○沖野委員 婚姻中に共同親権ではなくなっているという場合を想定しておりました。
○北村参考人 それについては直接には当てはまらないだろうと考えています。これについては、共同監護計画ではなくて面会交流養育費計画というものを作っていただくことになるのかなと思っています。
○大村部会長 沖野委員、まだ御質問があるかもしれませんけれども、後の方がいらっしゃいますので、すみませんが、ここまでということにさせていただきます。
○沖野委員 結構です、ありがとうございます。

他の質問も気になる

○久保野幹事

 幹事の久保野でございます。御説明どうもありがとうございました。監護の割合50%を基本とし、最低で2週に1回、週末一緒に過ごすという基準を立てて運用することがこどもの利益を最優先する体制であるというお話との関係で、単身赴任ですとか転勤命令の在り方や、家族が近くに住むというのがどのぐらい制度的に担保される社会かというのは、国によって違うと思うのですが、今のような形での監護の割合を原則として想定する場合に、近くに住むこと等の規律といったものを併せて導入するといったようなこと、あるいは転勤命令等をめぐる社会の在り方について何らかの、具体的には思い浮かびませんけれども、対応や啓蒙等を考えていくといったことと併せてお考えでしょうか。お願いします。
○北村参考人 今おっしゃった単身赴任の問題等は、確かに別の問題としてあろうかと思います。婚姻中に単身赴任をするというのは、それが企業などの都合で単身赴任を解消することが前提となっている制度なのかなとは思っています。ですから、本件の場合とは直接つながらないとは思っています。つまり、原則はそうであると、ところが仕事の都合で単身赴任というケースもあると、ただ、それについては基本、婚姻中であればいつか帰ってくることが前提なので、その社会制度そのものについて何か啓蒙活動をするとまでは考えておりません。そこはまた別の課題だろうと思って、そこまで少し手が回っていない状況でございます。
○大村部会長 ありがとうございます。
 池田委員がまだいらっしゃるので、池田委員に、まずお願いいたします。戒能委員、ほんの短くということでお願いします。では、池田委員、それから戒能委員の順でお願いいたします。

企業の単身赴任や転居も変わるよね

○池田委員

 弁護士の池田でございます。1点質問させてください。民間法制審議会家族法部会の中間試案とされる御提出資料1の2ページについてです。これの第3段落のところで、離婚後共同親権を導入すれば、多くの子が虐待死に至らずに済む可能性が高まるというふうな推測をされています。要するに、同居親がこどもを虐待死させる可能性が低くなるという御趣旨かと思いますが、他方で、養育費の不払いがあって、ひとり親家庭の貧困という問題も先ほど御指摘されておられましたけれども、同居親による虐待死に別居親が養育費の不払いという形で関与しているという可能性もなくはないと思うのですが、その辺りの養育費の不払いとの関連性に着目した検討というのはされておりますでしょうか。また、逆に、別居親がこどもとの面会交流途中に虐待して死亡させるというケースも海外でも日本でも報告されていますけれども、それとの関連においても検討されておりますでしょうか、あるいは今後御検討されますでしょうか。立法事実として挙げておられる重要な事実かと思いますので、お尋ねいたします。
○北村参考人 まず、御指摘のところでお示ししたのは、同居親による虐待死、あるいは同居親の連れ合い、同居親が付き合っている男性、女性による虐待死などが実際、社会問題になっていますので、これについては、親権喪失して全く子と関わらない親よりは、親権を保持したままで時々あるいはしょっちゅう子と会っている親の方がこれをコントロールできるだろうと、つまり、その犯罪の兆候を見て、これを防ぐ可能性は高まるだろうという趣旨でございます。
 養育費の不払い問題は、先ほどもちらっと申し上げましたが、単独親権であることによって悪循環に陥っているなと、こどもに対する接し方を制限され、やがて愛情も少しずつ失われていく親にお金だけ払えという、なかなかむちゃな法制度を日本はとっているわけですが、これが悪循環を引き起こす原因になっているだろうと。もちろん、私も弁護士ですから、親だから払うべきものは払いなさいと常に言っているわけですけれども、しかし、払いやすい状況を作っていくべきだと考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。
 最後に戒能委員、短くお願いいたします。

立法事実ねぇ

○戒能委員

 ありがとうございます。戒能と申します。1点だけ御質問です。本日の提出資料の4でポンチ絵のようなものがございますが、5番目の印のところですけれども、DVを父母の一方が主張している場合、婦人相談所という、突然ここに民法以外の法に根拠を持っている機関が登場いたします。それで、子の受渡しを実施というような強い権限をまるで持っているように書いてあります。これはどういう手続を想定されているのか、それから、そういう強制力を行使するような権限を持ったものとして、新たに、根拠法は当然御存じだと思いますけれども、規定し直すのか、そういうことをしたら、婦人相談所の本来の機能について、御存じなのかどうかということもお聞きしたいのですが、機能しなくなるのではないかと、簡単に言えば、相談になんか行かなくなるのではないかということはお考えになったのでしょうか。
○北村参考人 なかなか難しい御質問ですけれども、子の受渡しを実施する機関として私、婦人相談所の皆さんにヒアリングしたわけではございませんので、そこはそういうことが可能な機関なのではないのかなと理解をしているというところで、御勘弁いただきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。
 時間の関係もありまして、北村参考人に十分に御発言いただけなかったところもあろうかと思います。それから、委員幹事の皆様も御質問をたくさん準備されていたように思いますけれども、質問の数等を制限いたしまして、大変失礼いたしました。あとの参考人がお待ちになっておりますので、北村参考人からの御発言と質疑はここで終了ということにさせていただきたいと思います。
 北村参考人におかれましては、大変お忙しい中を当部会の調査審議に御協力を頂きまして、誠にありがとうございます。それでは、このウェブ会議を終了いたしまして、次の参考人に入室をしていただきたいと思います。北村参考人、どうも本当にありがとうございました。
○北村参考人 ありがとうございました。

素晴らしかった北村参考人!

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