ハピマリ重説2

(民法751条)

1項 夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。

2項 第769条の規定は、前項及び第728条第2項の場合について準用する。


婚姻の効力第二弾。夫婦同氏規定に続く751条は、死別後の復氏の規定。

もはや、ふたりで生きることができなくなったあとの規定が、婚姻の効力の2番目として語られているなんて。しかも、死別後の復氏。離別であれば当然復氏(別途婚氏続称制度あり)とは違い、死別しても復氏するわけではないけども希望すれば復氏できますよ、と。

これは、戸籍の筆頭者が死亡した後、残った配偶者の意思だけで、その戸籍を離脱できるという意味でもある。

これを俗に死後離婚という言葉としてメディアが使い出しているような。


2項がリンクしている内容は、「第769条 ①婚姻によって氏を改めた夫又は妻が、第897条第1項の権利を承継した後、協議上の離婚をしたときは、当事者その他の利害関係人の協議で、その権利を承継すべき者を定めなければならない。
②前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。」

「第728条
①姻族関係は、離婚によって終了する。
②夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。」

さらに、769条からのリンクは、「第897条 ①系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
②前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。」

897条のリンクしている前条は、「第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」

民法751条を読むだけで、769条、728条、897条、896条、合計5つの条文を知ることに!!

中身を見ると、相続は、一切の権利義務の承継→しかし、祭祀に関する権利の承継は、慣習に従う!→そうやって、決めたけど、離婚した後は、改めて権利の承継者を定めるところ、死別のときも、復氏し、かつ、姻族関係終了の意思表示をしたときは、やはり、改めて権利の承継者を定めよ。

そうすると、死別しただけでは、氏は変わらず、祭祀に関する権利を承継するが、希望して氏を戻し、姻族関係を終了することはでき(いわゆる死後離婚)、そのときは、祭祀に関する権利は別の人に承継するよ、という。


批判ではないが、何とも家制度的な香が漂ってくる。今風のカップルに、祭祀と言われても、興味も関心もないのでは。

そういうことを丁寧に規定している民法の家族法。

死後復氏と、姻族関係終了の意思表示は連動するのかどうか。復氏しないけど、姻族関係は終了することがあり得るのかどうかは、要研究。

結婚って何なんだろう、が見えてくる。

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