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「別の形式で保存...」(KOGADOの冒険ワークショップ vol.44)

北川:
 なんかお喋りしません?

西川:
 大丈夫ですけど、何についてですか?
 しゃもじ?

北川:
 なんでだよ。

(何故「しゃもじ」なのかはどうでもいいネタなので、今回は説明割愛)

 そだな、あれの小説化に関してとか、どうです?

西川:
 あ、これBWSですか?

北川:
 そうそう。

西川:
 面白いこと言えそうな気がしないですね……。

北川:
 作業的にはどんなことしてんでしたっけ?

西川:
 あ、始まってるんですね。
 小説に必要な描写を書き足したり、一本のストーリーになるように選択肢や移動先のファイルを取捨選択したり、という作業が主になります。

北川:
 ふむ

西川:
 私は元々シナリオの書き方の癖といいますか、結構地の文が多めなので、割と小説とは親和性が高いかと思ってたんですが……やっぱりゲームのシナリオということで、色々と書き足さなくてはならない箇所が多いことに、作業を始めた後に気がつきました。
 効果音とかはやる前から気付いてたんですが、学院や街の背景とか、絵が存在していてわざわざそれについてゲーム内で説明するってことがなくて当然なんですが、そこをわかりやすく、かつ過不足なく伝えるのが、背景の絵が頭に入ってしまっている分、逆に難しく感じたりしましたね。

北川:
 具体的にはどのくらいの書き足してるの?1.5倍とか? そんなにはならないか。

西川:
 10%も増えないんじゃないかと思います。
 最初のファイル、特に最初に出会う人物や、最初に行った場所なんかの描写は多くなりますが、二度目以降は必要でない限りはほとんど書き足してませんね。
 
北川:
 必要てのは?

西川:
 椅子に座ったりする場合に、椅子の描写とかそういうのですね。その反面、心理描写は、一人称ということもあって結構最初から細かく書いてあるのでほとんど追加はなしというのもあり、全体で見るとそこまで増えてはいないかと思います。

北川:
 へえー。逆に削る作業は?

西川:
 いらない選択肢と分岐くらいなので、そこまでではないですね。もちろん本当に1冊の小説として出すとしたらもっと大幅なカットや修正が必要になるとは思いますが、今回のようなオーディオブック的なものなら、原作の文章は出来るだけ残したいということもあって、そこまで変わっていないものになっていると思います。

北川:
 やっぱりゲームのスクリーンで読むのと、文字だけで読むのは、フィーリング変わると思います?

西川:
 フィーリングですか……。これは人によって結構変わってくるかもしれませんが、私はあんまり変わらないんじゃないかと思ってます。元々読むだけのADVゲームとかは、文字を瞬間表示させて、意味が頭に入ってきたらすぐに次のメッセージに飛ぶ、みたいな遊び方をしていましたので。

北川:
 遊び方それぞれか。確かにね、ノベルゲームはオートモードで流して遊ぶ人もいるだろうしね。

西川:
 ただ、音声をじっくり聞いて、物語の世界に入り込む人にとっては、結構寂しいものになってしまうかもしれませんね。
 あ、でもすでにゲームをプレイしてクリアまで行った人なら脳内再生が余裕かもしれませんw

北川:
 追体験てことか。
 今回はシナリオの小説化だけど、西川さん的には、やっぱりゲームシナリオの方が書きやすいですか? それとも、保存形式を何にするかの違いくらい?

西川:
 そうですね、今までに書いてきた分量でいったら圧倒的にゲームのテキストが多いので、書きやすいのはゲームシナリオになります。
 必要、不必要な描写の取捨選択を自然にやってしまっているところがあるので、一旦ゲームシナリオ的に考えてから、小説的に足りないところを足したりとかは、小説を書いている時にあった記憶があります。
 例を挙げると、ゲームのシナリオだと

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//▼効果音 ドア開く(引き戸)
-----

 みたいな書き方になるんですが、そこをちゃんと書くか、あるいは上のような例だったら、舞台は学校だし、教室のドアは普通引き戸だし、みんなわかるはずだから書かなくてもいいよね、となったりも。

北川:
 なるほど。シナリオ用に作られてんだね、脳内が。

西川:
 インプットした量だけでいえば圧倒的に小説のほうが多いので、慣れみたいなのもあるのかも?

北川:
 でもさ、誰が何して、何を書くかってのは、書き出す前の状態があるわけじゃん? 脳内に、きっと。

西川:
 それは、シナリオ中のキャラについてですか?

北川:
 そう、キャラとか情景とか?
 文字に書き出す前のまだカチッとしてない景色があるわけでしょ、きっと。それを書き出すと、フォーマットがシナリオ形式になるのかな、ってこと。

西川:
 そうですね。その場にいるキャラ達の表情とかの細かいところとか、こんな台詞を言うだろう(言わせたい、言わなくちゃ)みたいなこととか、頭の中にあるシーンを文字として、描写として書き出す感じですね。

北川:
 で、書き出す時に、

//▼効果音 ドア開く(引き戸)

 とかが追加されるんだねw

西川:
 追加というよりは、それも最初にあって、書くときにそういう形になるといいますか……

北川:
 最初からもう脳内でも言語化されてるの?

西川:
 シーン全体がぼんやりとしたイメージとしてある、といったら良いのでしょうか。書きながら追加とか修正とかはもちろんありますけど

北川:
 そういうのを使わずに書く人は、文章内に織り込んで書くのかね。いわゆる一般の小説家さんは。

西川:
 ゲームのシナリオを書いたことのない人は最初から全部文章で描写してると思います。
 他の人がどうやって小説を書いているかはわかりませんが、おそらくあんまり変わらないんじゃないかと思ってます。頭の中でぼんやりとできあがっているイメージを、文章化していくのは共通で。
 シナリオを書き慣れている私なんかは、ゲームの時に必要の無い描写をほとんど無意識にカットしたり、ゲームのスクリプト用に、検索しやすい記号とわかりやすい表記にしてしまっていますが、小説を書き慣れている人は最初から必要な分を必要なだけ書いているだけ、みたいな。

北川:
 ふーむ。西川さんは、ここは絵で見せればいいかって、省略するのか、書き出す時に。

西川:
 そうですね。台詞から想像できる表情そのままなら何も書きませんが、例えば「……バカ」という台詞があったとして、心底馬鹿にする感じなのか、頬を赤らめながらなのか、とかは、指示を書いたりしますね。
 小説なら「バカ」と言いながらも、「カノジョは俯きながら頬を赤らめた」みたいな。

北川:
 それが今回の小説化で追記されてるわけだね。
 さて、どうなるかな?成立するかな。西川さんの脳内にはすでにあるからね、絵が。

西川:
 そうですね。ただ、特にスクリプトもがっつりやったので、ゲーム画面準拠で考えてしまわないように気をつけています。

北川:
 今回実現したら、今までやらなかった出力形式になるでしょ? 楽しみだよね、どうなるか。オーディオブックという形態が初めてだから。

西川:
 そうなりますね……ちょっと不安な部分もありますが。

北川:
 乞うご期待。実現できるかわからないけどw

西川:
 全力を尽くしますので、もし形になった時は、楽しんでいただければ幸いです。

北川:
 ね。
 ありがとうございました。

西川:
 ありがとうございました。


 小説化、オーディオブック……なんでしょうね。
 晴れて実現されることを祈って(暢気か)

 今週はこの辺で。
 また次回。

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