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母音と活舌

こんばんは。こえさがすくじらです。
今回は、母音と活舌について話したいと思います。
「活舌」って子音ばかりが槍玉に上げられがちですが、それだけではありません。
それではまいりましょう。

1. 活舌が悪いとは?なぜ、母音?

まず、「活舌が悪い」とはどういうことでしょう。
本記事の解釈では、「言葉の発音が音声的に不明瞭で意味情報を認識しにくい状態」の事としたいと思います。専門的にはもっと細かく分かれているかもしれませんが、みなさんがこの言葉を聞いてイメージする状態とそんなに離れていないと思います。

活舌が悪く聞こえる原因はいくつかあって、舌が回らないとか、子音の発音が上手くないとか、口の動きが小さいとか、色々ですね。
その中でも今回は、母音の発音が原因である事に焦点を当ててみたいと思います。

なぜ、これに焦点を当てるかというと、話(スピーキング)はもちろん、歌唱において、これが原因で上手くいっていない人を多く見てきたからです。そして、その問題が子音の発音にあると勘違いしている人がとても多かったのです。もちろん、活舌をよくするには子音へのアプローチも大切ですが、母音の大切さを知らないのはとてももったいないです。

2. 母音が原因で活舌が悪い

まずは、普通の活舌の音声を聞いてみましょう。

逆に活舌が悪い音声を聞いてみましょう。

これは何が原因なのでしょうか?
ポイントは「音の立ち上がり」です。順を追って説明します。

3. 音の立ち上がり

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音の立ち上がりとは、いったいどうゆうことでしょうか?
上の図を見てください。音は、「発音」されてから、「聞き取れる音量」になるまでにタイムラグがあります。そして、その聞き取れる音量になることを、「音の立ち上がり」と表現したいと思います。

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音の立ち上がりには、遅い・速いがあります。赤色の線は、緑色の線に対して、直線の傾きが緩やかです。すなわち、音の立ち上がりに時間がかかっている=音の立ち上がりが遅い、ということになります。
実際の音ではこのように直線になることはない(音の波形を見たことがある人は分かると思います)ですが、分かり易くするために直線にしました。

そして、音の立ち上がりは、母音の立ち上がりです。
なぜなら、子音+母音の場合、後ろに来る母音の音が立ち上がって初めて明瞭にその言葉を知覚できます。また、歌唱においては、音程を決めるのは母音だけです。下記記事参照下さい。

4. 音の立ち上がりと言葉

では、実際の言葉の発声において、音の立ち上がりはどのような影響を与えるのでしょうか?

先ほどの音声から「こんにちは」を抜き出して説明します。

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まず、「活舌が良い」バージョンの図です。それぞれの、言葉の音の立ち上がりが次の言葉が始まるまでに間に合っています。

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それに対して、「活舌が悪い」バージョンの音声の場合、音の立ち上がりが遅く、次の言葉が始まるまでに、間に合っていません。これによって、明瞭に音が聞こえる前に次の音が始まってしまう。音がそれぞれくっきりと区別できない状態になります。

これが、音の立ち上がりが原因で活舌が悪くなる状態です。
即ち、母音が原因で活舌が悪くなっているということです。

では、なぜ音の立ち上がりに時間がかかるのでしょうか?
多くの人が陥っている状態としては、声の出し始めに息が抜けてしまっている(息が漏れている)ことが挙げられます。(ややこしいのですが、「息が混じっている」とは別です)

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歌になると余計難しくなるのですが、意図した音(音色)を立ち上げるのに、必要な分量だけ適切に息を流す必要があります。失敗しやすい例として多いのは、音の出し始めに息を吹きすぎてしまうか、声帯を閉じれていないことです。どちらも、息が漏れる原因になります。

5. まとめ

今回のまとめです。

1. 活舌における母音の影響は見過ごされがち
2. 音の立ち上がり=発音された音が可聴レベルに落ち着くこと
3. 発音時、息が漏れると立ち上がりが遅くなる

です。
次回は、具体的な練習方法をお話しします。
今回の記事に興味を持って頂いた方は、是非、次回もセットで読んでくださいね。それではお楽しみに♬

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