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【感想】スタンフォードの自分を変える教室

スタンフォードの自分を変える教室を読んでみての感想

「自分のスキルを磨きたい」

「ダイエットして、健康的な身体になりたい」

「家族のために禁煙をしたい」

どのような人でも、より良い自分の将来像を心のうちに描いて、決意を固めたことがあるかと思う。人によって多少の差こそあれ、今以上の自分になりたいと思うのは、社会的生活を送るうえで当然の感情だろう。

では今ここで、振り返ってもらいたい。あれほど確固たる決意を胸に刻み込んだはずなのに、気が付けばその決意は『仕事が忙しくて時間がない』だの『今日は疲れているから』だの、無数の言い訳に絡めとられ、ゴミ箱行きになっていないだろうか。

「今度こそはやり遂げる!」

そう決意を新たにしても、勢いが続くのは数日だけで、すぐに元の木阿弥である。使わなくなった真新しい健康器具や参考書が押し入れの中で埃を被っている――

そんな経験はないだろうか。私には数えきれないほどある。資格勉強のために買った本は、一度も開かないままもう2年が経つ。


誰しもが経験があるであろう、決意と挫折。

「やろう」と決意したこと、「やらない」と決意したこと。それらが何故続かないのか、どうすれば続けられるようになるのか。

決意と挫折を繰り返して、幾度となく自己嫌悪に陥ったことがある人にこそ、この本『スタンフォードの自分を変える教室』を勧めたい。


本書の中では、各種の実験から得られたデータをもとに、決意に対して人間の心理や行動はどのような動きを見せるのかが示される。それらの、決意から逃亡したい(あるいは逃亡を仕向けられる)心理状況や行動は、私の場合はぴったりと自分に重なって、正直なところ居たたまれなかった。

しかし、無意識、本能的とも言えるような、決意からの逃亡がどのような心理的プロセスによるものなのか、また、私だけでなく人間に普遍的に見られる傾向であることを理解することで、幾分、私は私自身の行動に整理をつけることができた。

強く感じたのは、ストレス下にある人間の脳は、自らを騙すことに本当に長けている、ということだ。「将来の自分ならできているはずだ」という根拠のない自信が取り組むべきことを先送りにさせるし、「今日やらなかった分は明日まとめてやろう」なんて考えた終いには、その明日は二度とやってこない。


やろうと思っているのに、続けられない。

やめようと思っているのに、やめられない。

そんな経験を繰り返したくない、と少しでも思っている方には是非とも一度この本に目を通して頂くと、得られるものがあると考える。

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