「行動する保守」と反差別カウンターの最低事件を比較する 2

前回のまとめ

 前回は「行動する保守」の最低事件である日本を護る市民の会査問事件と反差別カウンターの最低事件である大学院生リンチ事件とそれに派生して行われたセカンドリンチを取り上げ、後者がより酷い事件であると結論付けました。

 今回は、この二つの事件のより詳しい周辺状況をお伝えして考えていきます。

実は日本を護る市民の会の言動に批判的であった「行動する保守」

 日本を護る市民の会査問事件で、加害者側の事件の隠蔽や改竄工作について触れましたが、それに対する「行動する保守」内の動きについても触れておかなければなりません。
 当初は、在日特権を許さない市民の会の全国の支部をはじめとした拠点に対して、黒田大輔さんと事務局長が神奈川支部長の小松勉さんの車で「上映会」行脚したこともあって「行動する保守」内では事務局長に同情的でした。しかしながら、在日特権を許さない市民の会千葉支部などから事務局長の言動に疑問を呈する声があがり、黒田大輔さんや事務局長の言葉を信じる者は少数派となっていきました。日本を護る市民の会査問事件では、「行動する保守」では被害者に対する酷い攻撃を行っていたのは加害者以外にはほとんどいなかったということは注目しておく必要があります。 
 「ニコニコ生放送」で伝説的な放送となった在日特権を許さない市民の会会長(当時)の桜井誠こと高田誠さんと日本を護る市民の会代表黒田大輔さんとの喧嘩生放送も、被害者と同様に加害者から攻撃を受けていた日本を護る市民の会元関西支部長の主張を高田誠さんが聞くという生放送の直後に行われたという時系列の中で行われていました。
 この生放送の翌日に京都地方裁判所で京都朝鮮学園事件の裁判が行われていましたが、傍聴に訪れた作家の安田浩一さんは前日のニコニコ生放送の黒田大輔さんと高田誠さんをせせら笑っていたと聞きます。その安田浩一さんが大学院生リンチ事件でまともに見解を述べることがができない段階に陥ったのは皮肉と言わざるをえないでしょう。
 その後、在日特権を許さない市民の会は黒田大輔さんを除名処分とし、それに反発した黒田大輔さんの提起した民事訴訟のうち2件の被告に高田誠さんが名を連ねることとなりました。
 これらの状況は、加害者を擁護して被害者を追い詰める「エル金は友達」ツイート扇動に多くの主要メンバーが参加した反差別カウンターの大学院生リンチ事件とは大きく異なるものだと言えます。

日を追うごとに被害者側につく者が減っていった大学院生リンチ事件

 反差別カウンター内で発生した大学院生リンチ事件では、日本を護る市民の会査問事件と比較して当初は被害者側につく者が多かったと言えます。それは後者と比較して前者で被害者が事件の解決のためにコリアNGOなどに対して直接動いていたなどの要因があったとも考えられますが、少なくとも当初は加害者側についていた者が多かった「行動する保守」と比較してまともであったと言えると思います。
 しかし、その反差別カウンターから徐々に被害者につく者が減っていきます。これは鹿砦社ムックでも繰り返し触れられていますが、その状況は髪が抜けるように人が去っていくというような生易しい状況ではなく、カツラがとれるように一気に人が去っていくという表現が適切であると思われるものでした。そして被害者を追い詰める「エル金は友達」ツイート扇動が行われます。その目的は被害者を自暴自棄にさせること、被害者を絶望させて心身の健康を損なわせることであったと私は考えています。
 ここで指摘しておかなければならない点は、日本を護る市民の会査問事件では、弁護士等の事件解決のための専門家が関わったのは強姦容疑で被害者が逮捕されるというかなり後の段階であったのに対し、大学院生リンチ事件では事件直後から弁護士が関わっていたという点です。つまり、被害者に対する状況が日に日に悪化していく中で弁護士たちは被害者を救うための活動を何もしていなかったと批判されても仕方のないと言わざるをえないのです。