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大阪市北区堂山町傷害被疑事件第3回公判 9

被告人質問伊藤大介被告人弁護人質問

永田亮弁護士「弁護人の永田からお聞きします。2020年11月24日は何をしていましたか。」
伊藤大介「友人の裁判があって大阪に来ていました。友人が誹謗中傷を受けた裁判でした。」
永田亮弁護士「その友人は反差別運動に関わっている人ですか。」
伊藤大介「はい。」
永田亮「どういう風に関わりになりましたか。」
伊藤大介「差別デモや街宣に対する抗議を通して知り合いになり、裁判の支援や自治体への陳情などを一緒に行うようになりました。」
永田亮弁護士「荒巻さんとは誰ですか。」
伊藤大介「元在特会で日本第一党の党員です。」
永田亮弁護士「どういう人ですか。」
伊藤大介「ヘイトスピーチを伴ったデモを行う人です。」
永田亮「荒巻さんは差別する人ということですね。」
伊藤大介「はい。」
永田亮弁護士「どのように知り合いましたか。」
伊藤大介「古くから差別団体に所属していると認識していました。」
永田亮弁護士「荒巻さん以外にはどういう風に対応していましたか。」
伊藤大介「電話ではなく直接会って差別を止めさせるために話し合いました。」
永田亮弁護士「それが荒巻さんとでは平行線となったわけですね。それはなぜでしょうか。」
伊藤大介「それにより悔い改めた人もいましたし、そうならなくても行動を続けることを止めた人もいます。」
永田亮弁護士「11月24日のことについてお聞きします。その日は裁判の後どのように過ごしましたか。」
伊藤大介「数人で飲食をしました。二人と串焼き屋に行きました。」
永田亮弁護士「その日は神奈川に戻る予定はありましたか。」
伊藤大介「いいえ。」
永田亮弁護士「大川さんが合流したのはいつですか。」
伊藤大介「仕事が終わってから合流しました。確か8時ぐらいだったと思います。」
永田亮弁護士「その後は4人で行動したわけですね。」
伊藤大介「はい。」
永田亮弁護士「解散したのはいつ頃でしたか。」
伊藤大介「午前0時ぐらいです。そして大川さんと私だけになりました。長い時間で量を飲みましたが、酩酊状態ではありませんでした。」
永田亮弁護士「何を飲みましたか。」
伊藤大介「はっきりとは覚えていませんが、二人でタクシーを呼んでもう少しワインバーで飲もうと話していました。」
永田亮弁護士「そのタクシーの中でどのような話をしていましたか。」
伊藤大介「大川さんが『なぜ差別されるんだろう。差別主義者と話したい。』と話したので電話をしました。」
永田亮弁護士「それはなぜですか。」
伊藤大介「大川さんと話し合いをさせたいと思ったからです。」
永田亮弁護士「それで店に行こうとしたわけですね。」
伊藤大介「はい。Jフラッグに行きました。」
永田亮弁護士「Jフラッグに行ったことは何回ぐらいですか。」
伊藤大介「1回です。在特会のメンバーらが集まる店です。」
永田亮弁護士「わざわざJフラッグに行こうとしたのですか。」
伊藤大介「差別をやめさせたいと思っていましたし、大川さんが差別主義者と話したいと言っていたので本人を話をさせたいと思っていました。」
永田亮弁護士「最初にJフラッグに行ったときはどうでしたか。」
伊藤大介「Jフラッグに行って荒巻さんと二人でした。」
永田亮弁護士「そしてどうなりましたか。」
伊藤大介「話にならずもみ合いになってもつれるように倒れました。」
永田亮弁護士「そこで灰皿を壊しましたか。」
伊藤大介「もみ合いでビールサーバーの方に倒れるときに灰皿を壊したのだと思います。」
永田亮弁護士「荒巻さんは警察に通報したそうですが。」
伊藤大介「故意に倒していないと供述しました。荒巻さんは弁償として2万円払えと言い、私は払う必要ないというような話をし、結局荒巻さんに店に来るなと言われました。」
永田亮弁護士「今回も同じことになるとは思いませんでしたか。」
伊藤大介「私は相手に手を出すことはありませんから、同じことになるとは思いませんでした。」
永田亮弁護士「暴力を振るわない自信はどこから来るのですか。」
伊藤大介「2013年にも殴り返すことはありませんでしたから。」
永田亮弁護士「茅ケ崎の傷害暴行について取り調べがあったそうですね。」
伊藤大介「3回ぐらいありましたが、相手の虚偽によるものです。」
永田亮弁護士「荒巻さんと話すときお酒を飲んで0時を過ぎていたというのはなぜですか。」
伊藤大介「店が夜だけで、その時間に会うことができるのは店をやっている荒巻さんだけだったからです。」
永田亮弁護士「どのようにして会おうとしたのですか。」
伊藤大介「タクシーの中から電話しました。」
永田亮弁護士「電話番号は知っていたのですか。」
伊藤大介「電話番号はネットに公開していましたのでわかりました。」
永田亮弁護士「どういうやり取りがあったわけですか。」
伊藤大介「行っていいかと私が話し、荒巻さんが定休日だと言うやり取りでした。」
永田亮弁護士「『どこにおるんじゃコラ』とは言いましたか。」
伊藤大介「私は神奈川県ですからそういうイントネーションではありません。」
永田亮弁護士「荒巻さんから2回着信があったわけですが、どういう話をしましたか。」
伊藤大介「言い合う状態であまりよく覚えていません。」
永田亮弁護士「穏やかな感じでしたか、それとも口論になってしまいましたか。」
伊藤大介「言い合いです。」
永田亮弁護士「どちらが言い合いの状態になっていましたか。」
伊藤大介「どちらもです。」
永田亮弁護士「電話で発信から15分ぐらいで着信があったわけですが、どのような話をしたのですか。」
伊藤大介「荒巻さんから『今から30分で行く。来い。』と言われました。」
永田亮弁護士「荒巻さんから言われたわけですね。」
伊藤大介「はい。」
永田亮弁護士「トラブルになる可能性があると思っていましたか。」
伊藤大介「私は殴り返すことはありませんし、そのようなことにはならないと思っていました。」
永田亮弁護士「そしてJフラッグに到着したわけですが、何時頃でしたか。」
伊藤大介「25日の午前1時頃です。」
永田亮弁護士「荒巻さんが来たのはいつですか。」
伊藤大介「ビルの1階で待っていたら10分ぐらいで来ました。」
永田亮弁護士「荒巻さんが来たのはどうやって気が付きましたか。」
伊藤大介「荒巻さんが『おおい、チョンコ』と言ったので気が付きました。」
永田亮弁護士「そのときの距離はどれぐらいですか。」
伊藤大介「1メートルから2メートルぐらいです。」
永田亮弁護士「大川さん、伊藤さん、荒巻さんの位置関係はどうでしたか。」
伊藤大介「荒巻さん、大川さん、私という位置関係でした。そして刃物を出してきました。」
永田亮弁護士「刃先はどこを向いていましたか。」
伊藤大介「私です。」
永田亮弁護士「荒巻さんの動作はどういうものでしたか。」
伊藤大介「ナイフの形状が気になって詳しくは覚えていません。」
永田亮弁護士「ナイフを出すまでの時間はどれぐらいでしたか。」
伊藤大介「2、3言葉を交わしてすぐだったと思います。大川さんが刃物を持つ手を両手で押さえました。」
永田亮弁護士「ナイフは右手と左手どちらで持っていましたか。」
伊藤大介「右手です。」
永田亮弁護士「大川さんは恐れている様子はありましたか。」
伊藤大介「相手が刃物を持っているので必死だったと思います。」
永田亮弁護士「そこでどうしましたか。」
伊藤大介「荒巻さんの顔面を2発殴りました。」
永田亮弁護士「荒巻さんを制止しようとしたり、羽交い絞めにすることなくそうした理由はなぜですか。」
伊藤大介「大川さんがいましたし、密着すると危険だと思ったからです。」
永田亮弁護士「荒巻さんはどうなりましたか。」
伊藤大介「よろけて建物側に行きました。大川さんが右手を押さえて荒巻さんを押さえる体勢でした。」
永田亮弁護士「そこでどうしましたか。」
伊藤大介「動画を撮りました。差別言動や刃物を持ち出した証拠を残すためです。」
永田亮弁護士「そこで『刺せよ』と荒巻さんを煽ったのはなぜですか。」
伊藤大介「みっともない行為を馬鹿にするという気持ちがあったと思います。刺されたかったわけではなく、馬鹿にすることが目的でした。」
永田亮弁護士「荒巻さんにはたかれてスマホが落ちて、『いいね』と言ったのはなぜですか。」
伊藤大介「スマホが損傷して犯罪の証拠となったことで『いいね』と言ったと思います。」
永田亮弁護士「その後どうしましたか。」
伊藤大介「110番に電話して警察を呼びました。」
永田亮弁護士「110番したのは伊藤さんですね。」
伊藤大介「はい。」
永田亮弁護士「その後どうなりましたか。」
伊藤大介「動画を回していたところ、荒巻さんが左手で大川さんを殴ったり倒そうとしていました。」
永田亮弁護士「そこでどうしましたか。」
伊藤大介「撮影を止めて荒巻さんを殴りました。」
永田亮弁護士「羽交い絞めにしなかったのはなぜですか。」
伊藤大介「荒巻さんが暴れていたので距離を詰めるのは危険だと思ったからです。」
永田亮弁護士「道路中央から端までもつれるように倒れたわけですがどのような体勢でしたか。」
伊藤大介「大川さんが下で荒巻さんが上で中腰になっていました。」
永田亮弁護士「そこでどうしましたか。」
伊藤大介「横から複数回荒巻さんを殴りました。」
永田亮弁護士「荒巻さんの左手はどのような状態でしたか。」
伊藤大介「自由でした。」
永田亮弁護士「ナイフでどうなりましたか。」
伊藤大介「腹部をナイフで刺されました。左手に持った刃物で刺されたものと思います。」
永田亮弁護士「ケガの具合はどうでしたか。」
伊藤大介「幅3センチのケガで浅いものでした。」
永田亮弁護士「刺されたタイミングはいつでしたか。」
伊藤大介「わかりません。」
永田亮弁護士「刺されたことにいつ気付きましたか。」
伊藤大介「大川さんに『刃物は。」と聞いて、『通行人が取ってくれたようです』と答えたときに腹部が濡れていることに気が付いて傷があることに気が付きました。」
永田亮弁護士「その部分は前からケガをしていたということはないわけですね。」
伊藤大介「ありませんでした。」
永田亮弁護士「荒巻さんを殴っていたときに荒巻さんは抵抗をしていましたか。」
伊藤大介「左手を動かして抵抗していました。」
永田亮弁護士「それはどのようなものでしたか。」
伊藤大介「体勢が崩れたり位置も入れ替わるもので大川さんが上から押さえ込みました。」
永田亮弁護士「荒巻さんの右手はどうなっていましたか。」
伊藤大介「大川さんが押さえていました。」
永田亮弁護士「大川さんが押さえこんでいる姿勢はどのようなものでしたか。」
伊藤大介「大川さんが上で、荒巻さんが下でした。」
永田亮弁護士「荒巻さんはどのような状態でしたか。」
伊藤大介「動かない状態でした。」
永田亮弁護士「そしてどうしましたか。」
伊藤大介「刃物がないことに気付いて殴るのを止めました。」
永田亮弁護士「動かない荒巻さんを殴った記憶はありますか。」
伊藤大介「殴ったのは刃物がないと確認する前だけです。」
永田亮弁護士「いつのタイミングでナイフがないことに気が付きましたか。」
伊藤大介「いつのタイミングだったかははっきりと覚えていません。」
永田亮弁護士「伊藤さんが殴るのがやりすぎだと大川さんが言ったのを聞いた記憶がありますか。」
伊藤大介「いいえ。」
永田亮弁護士「そして、自分のケガに気付いたわけですね。」
伊藤大介「はい。」
永田亮弁護士「ケガの写真は撮りましたか。」
伊藤大介「ケガに気付いたので、警察で写真を撮りました。」
永田亮弁護士「弁第16号証を示します。これはどういう姿勢ですか。」
伊藤大介「寝ころんだ姿勢です。」
永田亮弁護士「救急病院で診断を受けて腹部刺創と診断されたわけですね。」
伊藤大介「はい。傷は腹膜に達するようなものではなく大丈夫でした。縫合を受けて朝までICUにいて、その後に一般病棟に移りました。抜糸については神奈川県の病院で行い、その状況について曽根崎警察署の事情聴取を受けました。」
永田亮弁護士「その後どうなりましたか。」
伊藤大介「12月1日に来てくれと言われて大阪府警の本部に行きました。」
永田亮弁護士「その後どうなりましたか。」
伊藤大介「12月6日に警察に逮捕されました。」
永田亮弁護士「身柄を勾留される理由はなぜだったのですか。」
伊藤大介「わかりませんでした。」
永田亮弁護士「警察に対して何かお願いをしたことはありましたか。」
伊藤大介「在宅にしてほしいと話しましたが、だめだと言われました。」
永田亮弁護士「防犯カメラのビデオを示してやり過ぎだと警察に言われたわけですね。」
伊藤大介「正当防衛に当たらないと警察から聞きました。」
永田亮弁護士「今回の事件が仕事に与える影響はどうですか。」
伊藤大介「会社の役員を辞めなければならなくなるでしょうし、個人的な信頼関係で続いていた取引にも影響があると思います。」
永田亮弁護士「弁第16号証の写真を示します。シャツが血に濡れていますね。刺された場面で革ジャンを着ていましたか。」
伊藤大介「はい。」
永田亮弁護士「その着方ですがしっかりと前を締めて着ていたわけですか。」
伊藤大介「はい。」
永田亮弁護士「ボタンは締めていましたか。」
伊藤大介「はい。」
永田亮弁護士「革ジャンに穴は開いていましたか。」
伊藤大介「はい。」
永田亮弁護士「終わります。」