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なされるはずの変更登記がなされない会社3選

 会社の法人格は、設立登記によって取得され、取引の安全のために変更があった場合には速やかに変更登記を申請しなければなりません。しかしながら、当然変更登記がなされると思われる会社が登記を申請していないという不思議な事象に遭遇することがあります。

株式会社ハウスポート及び株式会社e‐ハウスの場合

 株式会社ハウスポート及び株式会社e‐ハウスは、いずれも大阪市北区堂山町傷害被疑事件及び茅ヶ崎市民文化会館暴行被疑事件の伊藤大介被告人が代表取締役を務める会社です。この会社が変更登記をなすと思われる理由は会社の目的にあります。

株式会社ハウスポート
1 宅地建物取引業法にもとづく宅地建物取引業
2 土木・建築工事の設計、施工、監理
3 損害保険代理業
4 前各号に付帯する一切の事業

株式会社e‐ハウス
1 建築工事業
2 宅地建物取引業法にもとづく宅地建物取引業
3 前各号に付帯する一切の事業

 いずれも宅地建物取引業を営んでいる会社で、役員が傷害、暴行等の一定の罪で罰金刑に処せられると、刑の執行終了後5年間又は刑の執行猶予期間の満了までの間、宅地建物取引業の欠格事由に該当することになります。株式会社ハウスポートは、代表取締役が伊藤大介被告人、他の役員は伊藤A女取締役、伊藤B女監査役の役員構成、株式会社e‐ハウスは、代表取締役伊藤大介被告人のみが役員となっています。つまり、大阪市北区堂山町傷害被疑事件で罰金刑が確定したとしても、茅ケ崎市民文化会館暴行被疑事件で罰金刑が確定したとしても二つの会社が欠格事由に該当することになります。欠格事由に該当しないようにするためには、罰金刑が確定すると思われる役員の辞任又は解任では足りず、会社に対する影響力もないようにしておく必要があります。
 伊藤大輔被告人は、「常勝弁護士」とのあだ名を持つ神原元弁護士の手腕に期待し無罪判決の宣告がなされると信じているようですが、罰金刑に処する判決が宣告された場合には、会社から伊藤大介被告人の影響力がないようにするための時間が必要となります。何より、会社のトップが社会運動で会社の存続が危うくなるかもしれない事態を招いたという事実について、従業員がどのように受け取るかという点で不安定要素があるといえると思います。

一緒に面白いことをする株式会社の場合

 一緒に面白いことをする株式会社は、選挙ウォッチャーちだいこと石渡智大さんが代表取締役を務める会社ですが、この会社についても会社の目的について変更登記がなされるものと考えていましたが、現時点においても変更がなされていません。いわゆる「アベノマスク」を株式会社ユースビオが受注していることが報じられたときに選挙ウォッチャーちだいこと石渡智大さんはこう述べていました。

ユースビオの件に関しては、そもそも国が会社の定款にも書いていないような発注をしている時点でおかしいんですよ。会社の定款に書いてないことはやっちゃいけないんだから。それを億単位のお金を払ってやらせる理由って、一体、何なのさ。「オマエの憶測だ!」じゃねぇっつーの!

@chidaisan

 この一緒に面白いことをする株式会社の目的は次のようになっています。

1 事業・イベント等の企画・運営・仲介・リサーチ・コンサルティング
2 各種メディアを活用した広告宣伝・販促の企画・運営・リサーチ・コンサルティング
3 メディアの企画演出・記事提供・映像配信・リサーチ・コンサルティング
4 WEBサイト・スマホアプリの企画開発・運営・リサーチ・コンサルティング
5 飲食店の企画開発・運営
6 雑貨店の企画開発・運営・販売
7 キャラクターグッズの企画開発・販売
8 商品開発のためのリサーチ・コンサルティング
9 前各号に附帯または関連する一切の業務

 定款の作成において弁護士や司法書士に相談しながら作成していたとすれば、目的を列記する際に「・」をこれほど用いることがなく、目的の第1項を例にとれば、次のような目的となっていたはずです。

1 事業・イベント等の企画、運営、仲介、リサーチ及びコンサルティング

 公認会計士を目指している後輩に安いメシを奢って定款を完成させたようですが、定款の目的はそのまま登記に記載されるわけですから、公証人の認証が得られることを目標とするのではなく、登記簿を閲覧した者が信頼できる会社であると認識することを目標とすべきではないでしょうか。

公認会計士を目指して勉強中の後輩。
安いメシをオゴっただけで教えてくれて、
無事に定款は完成。会社名や発起人の名前、
決算日などの基本的なことが書いてあれば、
あとは何を書いていてもOK。
そう言われたので、しっかり必要な項目を
書き記した後、「初心」という項目を作り、
僕がどんな気持ちで会社を設立したのかを
残しておくことにしたのです。

「定款を提出するのに苦戦する男。」チダイズム~毎日誰かを笑わせるブログ~

 本題に戻りましょう。選挙ウォッチャーちだいこと石渡智大さんは一緒に面白いことをする株式会社の業務として選挙ウォッチング及びその記録の販売を行っていると述べていました。その選挙ウォッチングのための費用をクラウドファンディングで賄っているわけですから、一緒に面白いことをする株式会社の目的には「クラウドファンディング事業」が記載されていなければならないはずです。しかも、株式会社ユースビオに対して

「会社の定款に書いてないことはやっちゃいけないんだから」

などと厳しく批判していた選挙ウォッチャーちだいこと石渡智大さんが、自分の会社では費用のかなりの部分を賄っていると思われるクラウドファンディング事業を「前各号に附帯または関連する一切の業務」に含めて定款や登記を変更することなく平然としていることには疑問しかありません。

 そもそも、報道に携わる者は訴訟リスクも含めて記事を書くのが当たり前です。天皇や皇室に関するでたらめな記事が週刊誌で多く掲載されているのも訴訟リスクがまったくない分野であるという理由があるからですし、旧NHKから国民を守る党関連の記事に訴訟リスクが高いのであれば、記事の表現や内容に細心の注意を払って完成させるのが当たり前です。
 しかしながら、可陽麻里布さんに民事訴訟を提起された事件については、東京地方裁判所の判決が示しているとおり、事実の裏付けが非常に薄いにもかかわらず記事にしたことが明らかになっています。

本件事実については、➀N国党が、組織ぐるみで、大量のパンフレットを被告に送付するという嫌がらせを繰り返しているという事実と、②その嫌がらせ行為を、原告が企画立案したという事実とで構成されているとうことができるところ、本件全証拠によっても、上記➀及び②の事実について真実であることが立証されたと認めることは困難である。

「可陽麻里布対石渡智大地裁判決文」証券非行被害者救済ボランティアのブログ

 選挙ウォッチャーちだいこと石渡智大さんにとって、事実を書くというジャーナリズムの基本を勉強しなおすことが最も選挙ウォッチ記事の販売が軌道に乗る方法だと思うのですが、ご本人はそうは考えていないようです。