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大阪市北区堂山町傷害被疑事件及び茅ヶ崎市民文化会館暴行被疑事件判決宣告 最終回

判決理由~違法性阻却事由の判断

 傷害事件の違法性阻却事由について検討する。1時20分に大川が荒巻の手首を抑えた時点からの暴行を第一暴行、伊藤大介被告人が警察に通報した1時29分以降の暴行を第二暴行とする。
 第一暴行において急迫不正の侵害があったかどうかであるが、荒巻はナイフを取り出し、大川に抵抗していた。荒巻に攻撃の意思があり、状況は切迫しており急迫不正の侵害があったと認められ、検察の主張するような急迫性を否定するような事実は認められない。
 第二暴行において急迫不正の侵害があったかどうかであるが、第二暴行の当初、荒巻は攻撃の意思を示しており、大川の襟首を引っ張ったりしていた。その後、伊藤大介被告人が110番通報をした後においては急迫不正の侵害があったとは認められない。大川は荒巻を袈裟固めの形で押さえ込み、荒巻の攻撃の意思も見られなくなった。ナイフについてもどこかの段階で手放してしまっていることが認められる。このような事実から第二暴行については過剰防衛であると認められ、誤想防衛であるとする弁護人の主張は採用できない。以上から主文のとおり判決を宣告する。