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大阪市北区堂山町傷害被疑事件第3回公判 2

検察側荒巻靖彦証人検察官尋問その2

検察官A「令和2年11月25日未明のことについてお聞きします。24日には何をしていましたか。」
荒巻靖彦「実はこの日に結婚して、結婚したお祝いの会に参加していました。そして、翌日0時40分頃に伊藤から電話があって、『どこにおるんじゃ、どこでも行ったる』と言うものですから、私も『Jフラッグの前で待っとけ、行くから』と答えました。」
検察官A「揉め事になりそうだとは思いませんでしたか。」
荒巻靖彦「なると思いました。」
検察官A「Jフラッグに来いと言いましたか。」
荒巻靖彦「はい。」
検察官A「ナイフはいつ購入しましたか。」
荒巻靖彦「1年前です。」
検察官A「どこで購入しましたか。」
荒巻靖彦「通販です。」
検察官A「目的は護身用ですか。」
荒巻靖彦「持ち歩くものではありませんし、家に強盗が入るかもしれませんしね。」
検察官A「ナイフを持っていった理由はなぜですか。」
荒巻靖彦「プロの格闘家が失神したら試合の記憶を忘れるという話がよくありますが、私も失神して記憶が飛んでいてよく覚えていないんですよ。脅しとかだったんではないでしょうかね。」
検察官A「護身の意味もあったということですか。」
神原元弁護士「異議あり。証人は護身用と述べていません。誤導に当たります。」
検察官A「ナイフを持っていった理由について改めてお聞きします。」
荒巻靖彦「脅しとか護身用だったんでしょうね。」
検察官A「どのようにして現場に向かったのですか。」
荒巻靖彦「電話があった後にトイレに行って、2階に上がって『心配せんでいい』と家族に話し、タクシーを呼んで向かいました。携帯電話の着信を見ると、伊藤が2回、私が1回記録が残っていました。」
検察官A「電話ではどのようなやり取りをしていたのですか。」
荒巻靖彦「それは覚えていないんですよ。」
検察官A「タクシーを降りてからはどうしましたか。」
荒巻靖彦「大東洋の脇から商店街を通ってJフラッグに向かいました。」
検察官A「時刻はどれぐらいでしたか。」
荒巻靖彦「11月25日午前1時は回っていたんじゃないですかねえ。」
検察官A「写真を確認しましたか。」
荒巻靖彦「はい。」
検察官A「甲第35号証、1時19分33秒の写真を示します。この写真であなたはどれですか。」
荒巻靖彦(写真で自分の位置を示す)
検察官A「真ん中のマスクをしている人物ですね。このあなただと思う人物を丸で記してください。」
荒巻靖彦(示す)
裁判長「これだと写真と一体化して分かりにくいので赤で示してください。」
検察官A「商店街を過ぎてJフラッグに向かったわけですね。」
荒巻靖彦「はい。」
検察官A「店に到着したらどうでしたか。」
荒巻靖彦「店の前に階段があるわけですが、そこに伊藤が座っていました。」
検察官A「あなたは店でだれが待っていると思っていましたか。」
荒巻靖彦「伊藤です。」
検察官A「あなたの身長と体重を教えてください。」
荒巻靖彦「身長は170センチなくて、体重は65キロぐらいですね。」
検察官A「伊藤大介さんを見つけてどうなりましたか。」
荒巻靖彦「横を通って『来たで』と言うと大川が胸を押して『俺も朝鮮人じゃ』と叫びました。」
検察官A「大川直樹さんと面識がありましたか。」
荒巻靖彦「いいえ。」
検察官A「どういう状況でしたか。」
荒巻靖彦「突き飛ばされました。」
検察官A「突き飛ばされた後、どうなりましたか。」
荒巻靖彦(かき分ける動作をしながら)「『どけ』と言いました。」
検察官A「先程、左手で中心から外にかき分ける動作をしましたが、そういう動作をしながら『どけ』と言ったわけですね。」
荒巻靖彦「はい。」
検察官A「他にはどういう動作をしましたか。」
荒巻靖彦「伊藤の所に行こうとしましたが、力負けしました。」
検察官A「その時のやりとりはどうでしたか。」
荒巻靖彦「一瞬でしたから覚えていません。」
検察官A「音声には『どけ』というものも残っていましたが、そのようなことは言いましたか。」
荒巻靖彦「多分言ったんでしょうね。」
検察官A「その後どうなりましたか。」
荒巻靖彦「近寄っていって言い合いになりました。」
検察官A「それは誰とですか。」
荒巻靖彦「二人ともです。」
検察官A「その後どうなりましたか。」
荒巻靖彦「もちくちゃになってナイフを出しました。」
検察官A「どのような形で出したのですか。」
荒巻靖彦「それが覚えていないんですよ。警察では『ナイフ出したらこうするのではないか』と振り上げた姿勢を見せられましたが、『示しただけではないですか』と答えました。」
神原元弁護士「異議あり。検察の尋問は誤導に当たります。」
裁判長「検察の質問の趣旨は何ですか。」
検察官A「証人の認識を確認するためです。
証人にお聞きします。前に突き出したナイフを振り上げましたか。」
荒巻靖彦「それは覚えていません。大川にすぐに押さえられてしまいましたから。」
検察官A「どのような姿勢で押さえられましたか。」
荒巻靖彦「そりゃ、無茶苦茶に押さえられました。」
裁判長「どのような動作で押さえられたのですか。」
荒巻靖彦(証人席から離れて法廷の地面に四つん這いになる)
検察官A「中腰になった状態で後ろから大川直樹さんに押さえられたということですか。」
荒巻靖彦「はい。」
検察官A「伊藤大介さんはその時何をしていましたか。」
荒巻靖彦「『刺してみい』と挑発して殴ってきました。私の鼻血が出ている動画があるはずです。」
検察官A「そこでどのようなことを言われましたか。」
荒巻靖彦「「刺してみい』と笑いながら動画を撮影していました。」
検察官A「伊藤大介さんは証人のナイフを取り上げましたか。」
荒巻靖彦「そんなことはなかったと思います。」
検察官A「その後どうなりましたか。」
荒巻靖彦「道路の向こうで大川に押さえられて四つん這いになり、20発以上殴られて失神しました。失神する前に『あんた、止めとき。死んでしまうで」と女性の声でおばさんが叫んでいました。これ、後から気づいたのですが、おばさんではなくておっさんだったんです。意識が薄れていく中で『俺、死ぬのかな』と思ったのを覚えています。」
検察官A「ナイフを持った状態で四つん這いにさせられたということですか。」
荒巻靖彦「はい。」
検察官A「伊藤大介さんがフレームアウトするタイミングがありますが、そこで、『止めとき』という声が聞こえたわけですか。」
荒巻靖彦「はい。意識が遠のいて気がついたら警察官が6人いてパトカーに乗せられました。」
裁判長「気がついたときは、仰向けでしたか、うつ伏せでしたか。」
荒巻靖彦「仰向けでした。どこかでひっくり返されたのでしょう。」
検察官A「どの段階で仰向けにされたか覚えていますか。」
荒巻靖彦「わかりせん。」
裁判長「うつ伏せのとき、大川さんは刃物を抑えていましたか。」
荒巻靖彦「はい。」
検察官A「下側に四つん這いにされて横側から大川直樹さんが押さえているということですか。」
荒巻靖彦「はい。」
裁判長「左手は押さえられていましたか。」
荒巻靖彦「押さえられてはいませんでした。」
検察官A「殴られるときはどのようにしていましたか。」
荒巻靖彦「頭などを庇おうとしていました。」
検察官A「事件の時のビデオを観てどう思いましたか。」
荒巻靖彦「『ああ、終わったんだ』と思ったら、また殴られましたが、こんなふうに殴られたのかと改めて思いました。」
検察官A「警察が来てどうなりましたか。」
荒巻靖彦「警察官に『立て』と言われて手錠をかけられました。」
検察官A「怪我の具合はどうでしたか。」
荒巻靖彦「病院で診断してもらいましたが、ひどいものでした。」
検察官A「被告人の伊藤大介さんに対してどう思っていますか。」
荒巻靖彦「許せません。あいつらは私が殺人未遂だとか言っていましたが、どっちが殺人未遂やねんという気持ちです。」
検察官A「あなたに対する処分はどのようなものでしたか。」
荒巻靖彦「罰金20万円で、脅迫と銃刀法違反でした。傷害や暴行もついていません。」
検察官A「終わります。」