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語彙の選択を誤った町田ゼルビア黒田剛監督

注目していた町田ゼルビア黒田剛監督

 昨年のJ2リーグを独走状態で優勝してJ1に昇格した町田ゼルビアですが、私は黒田剛監督の言語化の能力に着目していました。町田ゼルビアは選手が歯車のようにかっちりとかみ合ったサッカーをしており、メディアで注目される黒田剛監督の言語化能力が大きな働きをなしているのではないかと考えていました。
 J1リーグに昇格した今シーズンも町田ゼルビアは首位を守っており、黒田剛監督のメディア対応も含めて引き続き注目していました。しかし、天皇杯2回戦筑波大学戦でのPKによる敗退から、横浜Fマリノスとのゲームに至るまでの流れの中で決定的に言葉の選択を誤ったようです。

 ここ数日、町田は騒動の渦中にいた。12日の天皇杯2回戦で対戦した筑波大に対し、黒田剛監督が「ラフプレーがあった」と指摘すると、かえってネット交流サービス(SNS)上で批判された。
 横浜マに勝利後の記者会見で黒田監督はこう持論を述べた。
 「天皇杯でいろいろあったが、町田は決して悪ではなく正義。駄目なものは駄目と訴えながら、しっかりと貫いていく」
 町田は筑波大戦で骨折2人を含む計4人が長期離脱のけがをした末にPK戦で敗れた。黒田監督は筑波大を強い言葉で批判。クラブの幹部が試合の判定基準を巡り、日本サッカー協会に文書で問い合わせる方針も示した。
 しかし、そもそも町田は球際の強さを持ち味とするチームだ。筑波大戦の時点でファウル総数、1試合の平均ファウル数がともにJ1で3番目に多かった。そんなチームスタイルも影響し、SNSでは「因果応報」「自業自得」と批判の声が上がった。
 横浜マ戦は筑波大戦から中2日で行われた。「ファウルをしづらい雰囲気だったのでは」と報道陣から質問されたバイロンは、試合前に主将の昌子源がチームを鼓舞した言葉を明かした。
 「いろいろ世間に騒がれて、ここで(激しく)行かなくなったら俺たちじゃない。そんなプレーでは勝てないぞ」
 この日も球際の強さや素早い攻守の切り替えを見せ、逆転勝ちにつなげた。批判の声が消えたわけではないが、黒田監督は「我々が勝つためにやっているサッカーを信じ、それが勝つために必要だと選手の皆が理解している」と強調した。【高野裕士】

毎日新聞「『悪ではなく正義』 町田の黒田監督が天皇杯を経て強調したこと」

「正義」を軽々しく用いる語彙感覚

 この黒田剛監督のコメントに関しては、J1昇格プレーオフの煽り動画を制作しているShindowsさんの批判に尽きると思います。

監督コメントに使ってはいけないワーディング。彼の認識の是非はともかく、少なくとも他の言い方にする必要があった 広く根強く定着したネガティブイメージを払拭するのは至難。広報さんやメディアを熟知するフロントの方はどんな打ち手を講じるか?社としては「勝てば良い」と放置できるはずないので

@Sindows

「正義」「聖戦」は、使い方を相当注意しない限り、 煽りVですら使えないワーディングですよ

@Shindows

 「正義」という言葉は、スポーツの世界で用いるには非常に強い言葉です。「正義」が最も用いられる場面が、国際紛争、それも武力による衝突や戦争において、兵士や国民を鼓舞するためであることからも明らかです。国や国民を守るために自らの命を失うかもしれない修羅場に人間を送るのですから強い言葉が必要なのです。しかし、スポーツは違います。「サッカーは戦争だ」と表現されることがしばしばありますが、これはサッカーが戦争ほどの修羅場でないからなされる表現であって、そのような世界に「正義」という言葉を持ち込むのは語彙の選択を誤ったと言わざるを得ません。同じ意味で用いるならば、「町田は正しい方向に進んでいる」でよいでしょうし、元教育者である黒田剛監督がこのような語彙選択誤りを犯すのは非常に残念でなりません。