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大阪市北区堂山町傷害被疑事件及び茅ケ崎市民文化会館暴行被疑事件判決宣告 2

判決理由~大阪市北区堂山町障害被疑事件の事実認定~

  「弁護人は伊藤大介被告人の暴行行為は、自身又は大川直樹の正当防衛、護送防衛であると主張する。伊藤大介被告人らの行動は防犯カメラの映像で確認することができる。なお、この防犯カメラには時刻表示がついており、通過する車両の状況を他の位置にある防犯カメラの映像と比較したところ、時刻のずれがないものと認められる。
 伊藤大介被告人と大川は反差別運動を通じて知り合いとなったもので、荒巻靖彦は政治活動を行っている活動家である。伊藤大介被告人と荒巻は、争いになってもみ合いになるというトラブルが過去に発生していたこともあり互いに面識があったが、大川と荒巻は面識がなかった。 
 令和2年11月24日、伊藤大介被告人らは店をはしごして飲酒した。大川の求めに応じて荒巻と会おうということになってタクシーの車内から荒巻に電話を架けたのが11月25日の0時21分、荒巻から伊藤大介被告人に受電があったのが0時50分で荒巻のバーの前で会うことになった。
 1時8分にビルの前にタクシーが到着し、1時19分に荒巻が到着した。荒巻と口論になり、荒巻が刃渡り10.5センチのナイフを取り出し、大川ともみ合いになった。そのもみ合いになってもなお荒巻はナイフを手放すことはなかった。
 甲第31号証の映像では荒巻は画面の左側から手を動かし、一旦画面の外に動いて映像から姿が認識できなくなったが、次に画面に映ったときには大川ともみ合いになり、大川に押されて後ずさりしていた。
 検察は、大川に押されたことで荒巻がナイフを取り出したと主張するが、画面から外れて次に画面に映った時にはすでにナイフを取り出していたことが確認できることや、画面の外に動く時に手を動かしていたことから、大川に押される前にすでに荒巻がナイフを取り出していたものと認められ、検察の主張は採用することができない。
 大川と荒巻は、大川が荒巻の右手首を押さえ、伊藤大介被告人がその様子を動画に撮影していた。大川は伊藤大介被告人に警察を呼ぶように叫び、伊藤大介被告人は「刺せ刺せ」と荒巻を挑発していた。
 1時24分に伊藤大介被告人が110番通報した。
 1時27分に伊藤大介被告人は、荒巻の動画撮を再開した。荒巻は、「卑怯者やのう」と手を伸ばし大川の襟首を引っ張ろうとしていたことが認められる。
 1時28分に大川と荒巻はもみ合いになり、大川が荒巻の上に馬乗りとなる体勢となった。体勢を崩した荒巻を伊藤大介被告人が殴り、1時31分に大川は袈裟固めの体勢となり、荒巻は手からナイフを手放したと認められる。
 1時32分に伊藤大介は動かなくなった荒巻を殴った。なお、伊藤大介被告人の腹部刺創は、荒巻のナイフでなされたものと認められる。