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柔道混合団体競技のデジタルルーレットに関する私見

おそらく公平であった柔道混合団体競技のデジタルルーレットの何が悪かったのか

 柔道混合団体競技で3対3の局面でなされるデジタルルーレットでの決定について様々な発信がなされています。デジタルルーレットについては、おそらく公平なやり方でなされていたと思いますが、そのデジタルルーレットがどうして批判の対象となってしまうのでしょうか。

2021年東京オリンピック(五輪)の柔道男子60キロ級金メダリスト高藤直寿(31)は4日朝、テレビ朝日系「サンデーLIVE!!」(日曜午前5時50分)に出演し、パリ五輪の柔道の判定に対する疑問や、混合団体戦代表戦での「デジタルルーレット」についてコメントした。
番組では、この日行われた混合団体戦決勝で、第1シードの日本が開催国フランスに敗れ、2大会連続の銀メダルとなったことを報じた。場内が完全アウェーの中、日本はリードしたものの、終盤追い上げられて3-3の同点とされ、代表戦は、それぞれの階級の数字がクルクル回る「デジタルルーレット」の結果、男子90キロ超級になり、日本の斉藤立(22)と、男子100キロ超級の金メダリストで、フランスの英雄テディ・リネール(35)が対戦。斎藤は、無念の一本負けとなった。
この「デジタルルーレット」方式で決めるやり方には、SNSで賛否両論の声があるほか、混合団体戦代表戦で、国の英雄でもあるリネールの階級である90キロ超級となった展開には、SNSでは疑問の声も出ている。
パリの同局スタジオから生出演した高藤は、東京のスタジオから番組MCの平石直之アナウンサーに「もう少しアナログにするとか、そういうことは、高藤さんどうなんですか?」と問われた際「いろいろ言われているところですが、オリンピックっていう舞台で、不正は絶対にない。ルール上、そうなっているので」と応じ、90キロ超級となったことに「不正」はないと断言した。
さらに「ほかに誤審とか言われている部分でも、ぼくが見た感じでは、いつもどおりの柔道だった。審判、スタッフたちは、かなり丁寧に対応してくれていたという印象でした」と、「誤審疑惑」についても私見をまじえて言及した。

日刊スポーツ「柔道混合団体戦『不正は絶対ない』高藤直寿、代表選のデジタルルーレットめぐり言及」

 前回の東京大会銀メダルで、悲願の金メダルを狙う日本は、決勝で東京五輪金メダルのフランスと再戦し、3-4で敗れ、2大会連続の銀メダルに終わった。選手は涙を流し、謝罪した。
 日本が3-1で王手をかけて迎えた第5試合の男子73キロ級では、個人66キロ級2連覇王者の阿部一二三が、本来1階級上の男子73キロ級銀メダリストのガバと対戦。8分を超えた死闘となったが、8分52秒にすくい投げを浴びて、一本負けに終わった。ガバは3分11秒で先に指導2つを浴び、その後も終始、阿部が攻め立てる展開が続いたが、なかなか3枚目の指導が提示されなかった。
 死闘は3-3でゴールデンスコアによる代表戦に。ルーレット抽選による階級抽選で、90キロ超級・斉藤立-リネールに決まった。今大会を含め個人で金メダル3回の実績がある絶対王者リネールを相手に、本戦で敗れていた斉藤がリベンジを狙ったが、牙城を崩すことができず、6分26秒の死闘の末に大内刈りで一本負け。フランスの英雄の巧みな柔道に再び屈した。
 国際柔道連盟(IJF)のインスタグラムはフランスの優勝を伝える投稿を行ったが、コメント欄はさまざまな言語で批判が殺到。「本当の勝者は日本」「日本4-1フランス」「マジでルーレットが“ランダムに”+90kgを選んだ」「恥ずべき審判と“偶然の”ルーレット」「とても不公平」「恥を知れ」「ひどい審判だった」「ランダムじゃないだろ…」「日本は尊敬に値する」など、世界中から反響が集まっている。

デイリースポーツ「柔道団体戦 国際柔道連盟に世界から批判が殺到『本当の勝者は日本』『恥ずべき審判と”偶然の”ルーレット』」

「公平」であることより重視すべき「公平感」

 私は、このデジタルルーレットには公平感を与えるという側面が著しく欠けていたことがその理由であると思います。デジタルルーレットはその抽選の過程が可視化されておらず視聴者や観客に対してブラックボックスのように感じられ、批判がなされるということになるのであると思います。
 このようなコンピューターによる無作為抽選方式は、複雑な条件を加味してなされなければならない抽選でよく用いられます。例えば、Jリーグのリーグ戦の対戦相手を決定するいわゆる「日程くん」などがあげられますし、イタリアのセリエAの抽選システムでは、ローマダービーやイタリアダービーなどのダービーを平日に設定しないという条件を加えて抽選がなされていると聞きます。
 トーナメントやグループステージ抽選は、UEFAチャンピオンズリーグやワールドカップなどでなされていますが、同じ国のクラブが対戦しないとか、一定の条件の下同じ地域の国が同じグループとならないという条件を加えたうえで数値化されたクラブや国の強さの基準に基づいて第1ポット、第2ポットのようにポット分けされ、それぞれのグループのクラブや国の力が均衡するように抽選がなされます。
 今回の柔道混合団体競技の勝利決定戦である第7試合の階級を決めるためになす抽選は、単に6つの階級の中から一つを選ぶだけのもので、難しい計算に基づいて選出しなければならないわけではありません。
 したがって、双方の国が試合に臨む前、中を見ることができないプラスチックの球状のケースの中に出場全6階級を記載した紙を入れた球状のケースの中に入れて外から見ることができないようにし、大きなケースの中で6階級の紙を入れた球状のケースが試合中も舞っており、第7試合を行う意必要がある場合に主審などが中に手を入れて一つのケースを取り出すというのが、観客や選手も抽選経緯を目で確認することができることで観客や選手に「公平感」を与える手法であると思います。公平感を与える手法という形で抽選がなされるという点に全く配慮されていない今回のデジタルルーレット方式の抽選は今回限りにすべきであると思います。