おそらく公平であった柔道混合団体競技のデジタルルーレットの何が悪かったのか
柔道混合団体競技で3対3の局面でなされるデジタルルーレットでの決定について様々な発信がなされています。デジタルルーレットについては、おそらく公平なやり方でなされていたと思いますが、そのデジタルルーレットがどうして批判の対象となってしまうのでしょうか。
「公平」であることより重視すべき「公平感」
私は、このデジタルルーレットには公平感を与えるという側面が著しく欠けていたことがその理由であると思います。デジタルルーレットはその抽選の過程が可視化されておらず視聴者や観客に対してブラックボックスのように感じられ、批判がなされるということになるのであると思います。
このようなコンピューターによる無作為抽選方式は、複雑な条件を加味してなされなければならない抽選でよく用いられます。例えば、Jリーグのリーグ戦の対戦相手を決定するいわゆる「日程くん」などがあげられますし、イタリアのセリエAの抽選システムでは、ローマダービーやイタリアダービーなどのダービーを平日に設定しないという条件を加えて抽選がなされていると聞きます。
トーナメントやグループステージ抽選は、UEFAチャンピオンズリーグやワールドカップなどでなされていますが、同じ国のクラブが対戦しないとか、一定の条件の下同じ地域の国が同じグループとならないという条件を加えたうえで数値化されたクラブや国の強さの基準に基づいて第1ポット、第2ポットのようにポット分けされ、それぞれのグループのクラブや国の力が均衡するように抽選がなされます。
今回の柔道混合団体競技の勝利決定戦である第7試合の階級を決めるためになす抽選は、単に6つの階級の中から一つを選ぶだけのもので、難しい計算に基づいて選出しなければならないわけではありません。
したがって、双方の国が試合に臨む前、中を見ることができないプラスチックの球状のケースの中に出場全6階級を記載した紙を入れた球状のケースの中に入れて外から見ることができないようにし、大きなケースの中で6階級の紙を入れた球状のケースが試合中も舞っており、第7試合を行う意必要がある場合に主審などが中に手を入れて一つのケースを取り出すというのが、観客や選手も抽選経緯を目で確認することができることで観客や選手に「公平感」を与える手法であると思います。公平感を与える手法という形で抽選がなされるという点に全く配慮されていない今回のデジタルルーレット方式の抽選は今回限りにすべきであると思います。