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菅野完さんの民事訴訟まとめ

 「日本会議の研究」がベストセラーとなり、立憲民主党の石垣のりこ参議院議員の選挙や議員活動に大きな影響を与えていると思われる著述家の菅野完さんですが、少なくない民事訴訟に関わっています。

著作権侵害に基づく損害賠償請求事件

 この民事訴訟は、宗教法人である生長の家のシンポジウムに参加した菅野完さんがツイキャスでシンポジウムを生放送したことが著作権法違反であるとして損害賠償を求められたものです。少額ながら菅野完さんに金員の支払いを命ずる判決が言い渡され、すでに確定しています。
 ところで、菅野完さんは、ツイキャスなどで選挙のサポートをなしている斎藤まさしこと酒井剛さんを厳しく批判することが多く、「選挙を生業としながら公職選挙法違反している斎藤まさし」という発言をよく聞きます。これが石垣のりこ参議院議員の選挙サポートばかりでなく、宮城県の立憲民主党の選挙サポートを広く手掛けつつある菅野完さんがライバルとなりうる斎藤まさしこと酒井剛さんを予め排除させようとしているのか意図は不明ですが、著述家として著作権使用料で収入を得ている菅野完さんが著作権法違反で敗訴していることをどのように整理なさっているのか一度お聞きしたいものです。

「日本会議の研究」による名誉毀損に基づく慰謝料請求等事件

 菅野完さんの著書である「日本会議の研究」で最も厳しく批判されていたのは安東巖さんでした。その安東巖さんが「日本会議の研究」の表現が名誉毀損にあたるとして慰謝料請求と「日本会議の研究」の出版差止めを求めて訴訟を提起したのがこの裁判でした。この民事訴訟では「日本会議の研究」での「理想世界百万部運動で自殺者が出たにもかかわらず、安東巖さんが平然としていた」旨の表現が大きな争点となりました。しかしながら、この民事訴訟は意外な展開となります。
 東京地方裁判所は、安東巖さんの仮処分申立てを認め、「日本会議の研究」の出版差止めを命じたのです。しかも、その理由は、安東巖さんが自殺者が出ているにもかかわらず平然としていた旨の表現が名誉毀損にあたるとするだけでなく、理想世界百万部運動で自殺者が出た旨の表現についても取材メモ等などから事実とは認められないとするものでした。この仮処分が認められたことがこの民事訴訟の行く末をほぼ決定づけたと言えるでしょう。その後に名誉毀損である部分を黒塗りにした「日本会議の研究」を出版するなど話題になることはできましたが、菅野完さんの敗訴は動きませんでした。なお、菅野完さんの訴訟代理人はリンク法律事務所の山口貴士弁護士でした。

性的暴行に基づく損害賠償請求等事件

 この民事訴訟は、菅野完さんが社会運動に携わる中で知り合った女性に同意なく性行為をなそうとしたことが不法行為にあたるとして損害賠償の請求などを求めた民事訴訟です。この民事訴訟では、被告の菅野完さんが原告の請求の棄却を求める一方で、予備的請求としてすでに社会的制裁を受けているとして原告の請求する220万円ではなく5万円が相当であるとの主張をなしていることでも注目されました。第一審の東京地方裁判所が菅野完さんに110万円の金員の支払いを命じ、控訴審、上告審においても判決が覆ることはありませんでした。この民事訴訟で菅野完さんの訴訟代理人を務めていたのは京葉弁護士法人に所属する三浦義隆弁護士です。
 この民事訴訟で私が注目したのは、記事の第一報を含め、最も多く取り扱ったメディアが週刊金曜日という点でした。菅野完さんの主張は週刊金曜日と重なるところが多く、イデオロギーで判断すれば菅野完さんを擁護しても不思議ではなかったわけですが、菅野完さんを厳しく批判していたのが印象に残っています。特に、原告の女性がその後刑事告訴に踏み切り、その告訴に基づいて不起訴となった後に菅野完さんが行った記者会見においての女性記者の質問は非常に厳しいものでした。なお、この記者会見において、菅野完さんは原告の女性に対しては謝罪するが世間などについて謝罪するつもりはないと断言していたことを付け加えておきます。

そして初めての勝訴に向かって

 そして、私が知る限り菅野完さんが初めて原告となった民事訴訟の判決の言渡しが間近に迫っています。被告はNHKから国民を守る党代表で元参議院議員の立花孝志さんです。立花孝志さんの動画によれば、この民事訴訟は性的暴行に基づく損害賠償事件に関して立花孝志さんが強姦であると述べたことが名誉毀損であるとして訴訟を提起したものであるそうです。
 週刊SPA!の巻頭コラムやRKB毎日放送「櫻井浩二インサイト」の水曜日の「インサイトコラム」の仕事などメディアの仕事がなくなっており、かつてツイキャスで安東巖さんについて「裁判を運動にしている」と評した菅野完さんがどのような意図があって民事訴訟を提起したのかわかりませんが、菅義偉総理大臣が学術会議委員の任命拒否をなしたことでゆるゆるのハンガーストライキをなして世間の注目を集めようとしていることと関係があるのかもしれません。なお、RKB毎日放送の仕事は週刊現代で菅野完さんの米国でのDV被疑事件が報じられた後、週刊SPA!の巻頭コラムは性的暴行が原告であった女性によって刑事告訴された後に終了していますが、関連があるのかどうかはわかりません。
 いずれにしても、私が知る限り勝訴した民事訴訟がない菅野完さんが初めての勝訴に向かって進んでいるはずの民事訴訟の判決に注目が集まります。