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コロナの時代にデザインができること|NTT Com KOEL Talk レポート#1

こんにちは、KOELの細谷です。本noteでは2020年7月30日に開催されたイベント、「コロナの時代にデザインができること:NTT Com KOEL Talk #1 」の様子を三回に分けてご紹介します。

COVID-19の猛威によって私たちの仕事や暮らしが大きく変わろうとしています。これからの世界をよりよくするために、デザインやクリエイティブの力はどう活かせるのか。新しい世界に向かっていく上で、デザインの力をどう使っていけば良いか。
本イベントでは、「コロナの時代にデザインができること」と題して、元IDEO Tokyo 石川俊祐さん率いる新進気鋭のデザインファームKESIKIと、4月に新設されたNTTコミュニケーションズのデザイン組織KOELのメンバーとともに、これからの時代に求められるデザインの役割について話し合いました。

パート1では、「いま、デザインファームにできること」として、KESIKIさんからコロナの時代だからこそ大切にすべき軸をお話しいただきました。
パート2では、大企業でデザインを浸透させる意義と難しさ、壁の超え方をお話しさせていただきました。
そしてパート3では、KOELとKESIKIでコロナの時代に活躍するデザイナーの条件など、イベントに寄せられた質問についてディスカッションさせていただきました。

各パートごとにnoteを分けて、今回はパート1の内容を紹介します!

大事なのは、なぜ我々は存在しているのかをクリアにすること

最初に石川さんから、コロナにより今まで求められていた価値観が揺らぎ、新しい価値観が生まれつつある話がありました。そして新しい価値観を作っていく上で、大きな方向性となるPURPOSE(目的・存在意義)の重要性にも言及しました。

石川さん:今回のコロナの一件で、今の経済や会社、働き方のあり方について皆さんも一瞬立ち止まって考え直す機会があったと思います。僕自身、経済性や効率性を求めるだけでなく、もっと優しいあり方があるんじゃないかと思っています。
KESIKIはそこで働く社員や、お客様や取引先、社会や地球環境などのステークホルダーに「愛される会社」をデザインすることを掲げています。愛される会社には、自分の会社や自分自身が何のために存在しているのかを示すPURPOSEが必要です。今までの当たり前が崩れていくこのコロナの時代において、ブレないPURPOSEを持つことは会社にも個人にも求められていきます。

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「新規事業を生み出しましょう」や「新規事業室を作りましょう」という話が先行してしまう話はよくあります。しかし、そのような状態でチームができても、どこに向かって走ったらいいのかわかりません。

そこで大事なのが「そもそも我々は何をする会社なのか。会社として信じているものは何か」と問うこと。それがクリアになれば同じ方向に向かって走れると石川さんは説明します。

PURPOSEを作るだけでなく、どう組織に浸透させるかまでデザインする

続いて登壇したのは、KESIKIで事業投資や組織デザインを担当する内倉 潤さん。内倉さんは前職で石川さんと出会い、その中でPURPOSEの重要性を強く認識したそうです。

内倉さん:数年前までプライベートエクイティファンドで仕事をしていました。その時はあるホテルへ投資をしていて、上場を目指して様々な改革に取り組んでいました。
使うシステムや会議体、報告資料に至るまで様々な変化が伴い、現場の人たちも大変でしたが「歯を食いしばって上場を目指しましょう!」「ここを乗り切れば収入が上がりますよ!」と声をかけて、現場の人たちも最初は頑張れたのですが、一年くらい経ってふと「何のために上場するんだっけ?収入が上がって、その後どうなるんだっけ?」と考え始めた。その途端にいきなりブレーキがかかってあらゆる改革が進まなくなったんですよね。

そのような状況で内倉さんと石川さんは出会い、なぜこの会社はあるのかをクリアにして、その上で新しいホテルのあり方を示す新規サービスを作っていきました。これが内倉さんがデザインと出会ったきっかけだったそうです。

話はPURPOSEの浸透に進みます。「PURPOSEをどうクリアにして、どう組織に浸透させていくのかを今も大事にしている」と語る石川さん。

石川さん:ブランドブックを作ったりルールを定めたりするだけでなく、どう行動に移すのかが大事。せっかくPURPOSEを作っても棚に飾ってあるだけってよくある。

内倉さん:PURPOSEを共有できているのかも大事。色々な粒度のPURPOSEがあるが、自分たちの行動を変える問いの形にまで落とし込めれば、チームが一丸となって走っていける。これは社内でもそうだしクライアントと一緒にやるときもそう。KOELとのプロジェクトもそうだけど、人事制度設計や評価基準など、組織設計のハード面まで踏み込んでやっていくのが大事。ここまでやって初めて今の時代のデザインファームだと言えると思います。

日々の習慣や口癖をデザインする

組織設計の上でもう一つ大事な観点が、日々の習慣や口癖だとKESIKIの二人は語ります。

内倉さん:我々が大事にしているもう一つはRitual。わかりやすく説明すると日々の習慣、自分たちらしい行動や口癖のことです。

石川さん:以前いたIDEOやBCGでも共通して口癖になっていたものは「まず作ってみたらいいんじゃん」でした。新規事業となるとどうしてもコンセプトがどれくらい詰まってるとか、事業規模やマーケットという軸で判断しがちですけど、それだけだと新しいことは生み出せない。彼らが常に新しい価値を生み出せるのは「作ってみたら?」という口癖があるからです。Ritualは組織を動かす根っこになります。

バックグラウンドがバラバラな人たちが集まって一つの課題に挑む世界になりつつある今、「我々の口癖は?」という問いの重要性を語られました。

コロナの時代を切り抜けるためには、素早い実験と実装ができる環境が必要

次に、コロナの時代に求められるマインドセットについてお話がありました。石川さんは「新しいものは紙の上で生み出せない。実験して体験して初めてアイデアが出る」と話し、リモートワークを例にコロナで日本中が体験したであろう「スピード感のある実験と実装」の大切さを話しました。

石川さん:日本企業って今まで実験しづらい環境にいたんですが、コロナの影響で日本全体が突然リモートワークを余儀なくされましたよね。リモートワークの制度はあったけど、初めて体験したって人も多いんじゃないでしょうか。実際にやってみると良いところも悪いところもたくさん発見したと思います。体験して初めてわかることがあり、新しいビジネスはそこから生まれてきます。

内倉さん:ロジカルに考えると、リモートワークができない理由は100も出てくる。そうじゃなくて、できる理由を探してまずやってみる。この思考は会社の文化を大きく変えて、新しいサービスやプロダクトを生み出すことにもつながります。

石川さん:コロナを切り抜けられている会社はPURPOSEが明確で、社員が自分たちなりに新しいものを考えて、それをすぐ実験できる環境が用意されています。すぐに実装して変化を起こす。時には会社のビジネスモデルすら変えてしまうものを組織や職種を越境して実装してしまう。それをやれるカルチャーが根底にある会社は強い。

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KOEL 嵯峨田によるグラフィックレコーディング


最後に、内倉さんからKESIKIのオフィスについて紹介がありました。KESIKIではカルチャーデザインと銘打って、多様なバックグラウンドが集まって新しいカルチャーを生み出す場として毎週金曜にオフィスをオープンにしているそうです。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

次回は、我々KOELが大企業でデザインする意味と難しさを赤裸々に語っていきます!合わせてご覧ください。

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