TEACCHプログラム研究会東北支部のセミナーを終えてー本質はいつも同じー
この記事は2,522文字あります。個人差はありますが、4分〜5分でお読みいただけます。
東北支部で考える「強度行動障害」
今日はTEACCHプログラム研究会東北支部の研修会でした。テーマは「強度行動障害の状況にある方々を地域で支える」です。講師には、ぼくが信頼している伊瀬陽子先生(福島県発達障害者支援センター、精神科医)にお願いしました。
伊瀬先生は、"強度行動障害は「状態」を表す言葉で診断名ではありません"と仰っていました。つまり、そうした状態になっている理由があり、そうした状態が生じていることに何らかの意味があるだろうと考えられます。
また、強度行動障害といった時には知的能力に困難のある方々の文脈で取り上げられることが多いのですが、「何らかの理由があり、苦しくなっている状況」と考えた際には、知的能力に困難があってもなくても大事なテーマだろうと思い、伊瀬先生にはそうした点も話をしていただきました。
状況や状態は違っても本質は同じ
今回は、強度行動障害の研修でよく話される、こうした状態が生じるメカニズムについて触れつつも、多くの事例をもとに解説をしていただきました。
知的水準や年齢もさまざまな事例を出していただき、それぞれに対してどのように考え、対応してこられたのかをお話しいただきました。
伊瀬先生は、「知的発達水準に関係なく、本人の自閉症特性に基づいた視点が必要」と強調してくださっていました。色々な事例を通じて、それぞれの難しさはあるけれども「本質は同じで、特性の理解とそれに基づく対応をすること」「その視点なしでは何もできない」ということをお伝えくださったのではないかなと感じています。
現場における課題
今回は、ぼくを含めて5名のスタッフが中心となり、講義後に30分ほどグループに分かれてディスカッションする時間を設けました。ぼくのグループでは、現場の課題として「現場の温度差」があげられました。
研修の機会やそれに参加するスタッフも増えているかもしれないけれども、それが実際の支援に反映されているかはまた別の問題です。支援を考えていく際には、「これさえすればいい」という魔法のような方法はありません。むしろ、今の支援の見直しを一からしていくことが必要であり、とても時間のかかるものです。
でも、実際の現場では「そうした余裕はないし、とにかく、今の状況をなんとかしたい!」ということもあるかもしれません。それでも、ぼくはいつも思うことがあります。
近道も、楽な方法もありません。派手さもありません。大変なこともあるかもしれませんが、大事なことは基本から考えていくことです。つまり、下記のようなことです。
・自閉症であれば自閉症の視点から考える
・そのためには自閉症のことを知らなければならない
・その上で、課題の背景にある問題を考え、自閉症特性から支援を考える(構造化という考え方に基づきながら、環境調整をしていく)
一緒に考える仲間を
こうしたことを実現していくためには、同じ志をもち、共通の学びをしていく仲間が必要ではないでしょうか。東北支部ではそうした仲間の方々を募集しています。東北支部には、実は東北以外の方々も仲間になってくださっています。そうした仲間の方々と下記のような取り組みをしています。これ以外にも、いくつか思案中の活動もありますので、そうしたことは随時共有していきたいと思います。
ぜひ、一緒により良い支援の未来を考えませんか?
そうした仲間の方々を、我々は増やしていきたいと思っています。
TEACCHプログラム研究会東北支部
代表 佐々木康栄
2023東北支部活動
▼9月3日の研修会のお申込み▼
▼保護者限定勉強会▼
・100名まで
・参加費は無料
・東北支部会員または東北支部会員から紹介を受けた親御さん
という条件にしたいと思います。会員の方で、親御さんたちにお声がけできる方がおられればご協力お願いいたします!
▼他支部での講演会
9月10日(日)にTEACCHプログラム研究会東京支部にて、「ASDのアセスメント~多様性のある人たちのより良い生活に向けて~」というテーマでお話をさせていただきます。支部会員の方は講義は無料、ワークショップは500円でご参加可能です。後日配信もありますので、ご検討ください。
そのほか、広島や大阪でもお話をさせていただく予定ですが、詳細が分かり次第お知らせいたします。
▼会員限定座談会▼
8月26日(土)8:45〜9:30には東北支部会員限定の座談会を開催したいと思います(会員の皆さんには、これから周知いたします)ので、会員の方でご都合つかれる方は是非ご参加ください。詳細はまた会員のメーリングリストで流したいと思いますが、過去の座談会の様子は下記よりご確認ください。
▼会員限定動画▼
これまで、会員の皆さんには限定のコラムや動画を配信してきました。現在下記のような動画を配信中です。閲覧にはパスコードが必要です。何度かメールでご案内しておりますが、もし会員の方で「パスコードがわからない!」という方はteacch.tohoku@gmail.comまでご連絡ください。
▼会員限定コンテンツ▼
現在、会員限定の質問フォームを設けています。匿名にしようかとも思ったのですが、会員の方からのご質問であることを確認するためにお名前のご記入をお願いしたいと思います。ご質問については、全てにお返事できるわけではなく、会員の皆さん全体にとって有益だろうと思うものを中心に取り上げて、限定コラムなどで書いていきたいと思います。
▼その他▼
ここに記載した以外にも、東北支部ではさまざまな取り組みを今後もしていきます。会員の皆さんには、「今こんなことを考えています」というのもお届けしますのでお楽しみに。公式LINEもあり、会員以外の方もぜひご登録ください!定期的に情報発信していく予定ですので、「TEACCHって何だろう?」「興味はあるんだけれども、どんな活動をしているんだろう?」という方はぜひご登録ください!
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