悪化

声の出し辛さを感じながらも誤魔化しながら仕事は継続していました。
2020年秋と2021年春に転勤があり、環境も大きく変化しました。新しい仕事仲間が増えるのは嬉しかったですが、一部では歓迎されず辛い思いをしました。声が詰まるようになった2018年頃からストレスで円形脱毛症を何度も繰り返し、慢性的な頭痛に悩まされていました。

私生活では心の拠り所がありました。しかし、逆にそれが負担になっていることに気がついたのはもう少し後になってからです。

2022年春、転勤から一年経ち環境にもようやく慣れてきたところでした。仕事仲間とは飲みに行ったり、カラオケに行ったり良い関係性を築けていたと思います。

お昼を過ぎた頃です。事務所に一本の外線電話がかかってきました。
いつものように受話器を握り「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇でございます」と話す予定でした。

「..........っ」

なんの声もでてこないのです。
いつの間にか誤魔化しが効かないところまで症状が悪化していたということに気がつきました。

第一声目の前に小さく「えっ」とワンクッション入れて見ても声が出ない。
「お電話ありがとうございます」を「大変お待たせいたしました」に言い換えようとするも声が出ない。ただ口をパクパクしているだけ。
あまりの恥ずかしさとパニックで顔が熱くなっているのを感じました。

一言も話せぬまま、パニック状態で電話の受話器を置きました。

その日は上司が不在で横のデスクで仕事をしていた同僚に声を掛けます。

「ごめん、声出ないわ」
「え、まじ?俺が全部電話取るわ」
「本当ごめん」
「お前明日絶対病院行けよ」
「何科?」
「心療内科だろ」

その日は同僚の手厚いフォローもあり無事に退勤。次の日は休日なのでさっそく病院を調べます。
[ 声が出ない 地名 病院 ]
検索結果はやはり精神科、心療内科ばかり。

県の言語聴覚士協会にも問い合わせをしました。回答は〇〇県には事故の後遺症に特化した言語聴覚士しかおらず対応不可、心療内科の受診を勧められました。
すぐに近くの心療内科に電話し、経緯を説明すると翌日診ていただけることに。

電話で一切声が出ないという恐怖で心臓はバクバク。
よく眠れないまま次の日を迎えます。

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