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音響効果・選曲のワザってすごいよねって話

ナレーター・MAミキサーの小枝です。

今日お伝えしたいのは、テレビ番組などの音響効果(選曲)!

音響効果ってどんな仕事?

テレビ番組で流れる音楽は、その多くが「音響効果」や「選曲」といわれる人が選んでいます。ローカルでは、僕のようなMAミキサーが選曲することも多いようですが、東京の番組だと多くが専門職です。

テーマ曲などは、番組の演出の方向性を決める上でも、とても重要な仕事です。

例えば、笑点、ナニコレ珍百景、よしもと新喜劇のOP…etc

どのテーマ曲も脳内再生されると思います。(ちなみに、よしもと新喜劇の原曲は失恋を謳った洋楽で、それをジャズアレンジしたものだそうです)

この世にある全ての曲の中から、番組のテーマ用に、1つだけ決めるというのは、かなりセンスが問われると思います。

自分でボイスサンプルを作ってみても、選曲に悩んでしまって意外と時間がかかるので、テーマ曲となるともっと大変なんでしょうね…。

さらにこれだけではなく、テロップにSEをつけたり、尺に合わせて曲を編集しなければいけません。この辺りはスピードと技術が必要です。

モノにもよりますが、30分のバラエティ番組で音づけをする場合、ほぼ丸一日はかかるそうです。

"作曲は出来るんですか?"

一緒に仕事をしている人に聞いたところ、作曲出来る人とそうでない人は半々くらいでした。

完全オリジナル楽曲を作る案件もあるそうですが、それなりにお金はかかるみたいです。ただ、中にはトラブルもあるようで…

とある音効さんに聞いたところ、制作の方が「カラオケ用の簡単なBGMでいいからつけて」という依頼を受けて作ったところ、「伴奏もつけて!」と言い出し、最終的には「メロディーも打ち込みっぽいのじゃなくて、もっと生音使って豪華に!」と言い出すこともあったとか。流石にギャラに見合わないと判断し、結果、二度と仕事しなかったそうです。作曲するのってめちゃくちゃ大変だと思うのですけどね…。

音に限らず、クリエイターは安く見積もられがちですが、実力のある人には、きちんとした報酬が支払われて欲しいです。 

"ベテランの業"

僕が尊敬してる音効さんは、すごくアーティスティックな方なんですが、とても作業が早い。しかしそれ以上に、提案力がスゴイです。制作の方も「この人なら全部任せていいや」と言うほど、全幅の信頼を寄せています。

今日紹介したいのは、昔担当したドキュメンタリー番組のとある回のエピソードです。

書道家の武田双雲さんを取り上げた回の時のことでした。

生い立ちや作品についてのインタビューを一通り終えたあと、床一面に広げた大判紙に大筆で文字を書くという5分くらいのシーンがあったのですが…

さて、みなさんなら、このシーンにどんなBGMをつけますか?

<シンキングタイムのBGMが流れてるイメージ>

どうでしょうか?おそらく、太鼓や三味線など、和楽器を使った曲を選ぶ人が大半だと思います。

しかし、その音効さんが提案してきたのは、「フラメンコ」でした。

当然、制作チームは「えー!なんでこの曲なの?」と尋ねたのですが、その音効さんはこう答えます。

「大筆の雫がぽたぽたと落ちる音が聞こえるじゃないですか。その粒だった音を聴かせたいなって。けど、和太鼓とか三味線だと太くて響く音だから、パタタっていう雫の音が埋もれちゃう。だったら同じ粒っぽい音のギターが良いかな…、と。それに加えて勢いとか情熱とかもほしいし…、じゃあ"フラメンコ"だなって」

その場にいた全員が「ほー!なるほど!!」と感心し、がっちりと心を掴まれていました。

もちろん自分も感動していたのですが、そのあとでこっそり「いやー音効さんの技ってスゴイですねえ」と言ったところ「僕も気に入ってるんだよねー。でもまあ、ああいうふうに言ってるとさ、プロっぽいでしょ?」

そう言うと、少し照れくさそうにニコッと微笑み、じゃあねーと帰っていきました。

カッコいい!ニクい!!説明まで含めてが「ワザ」ということですね・・・!このユーモアセンスは、そうそう簡単には真似できないや・・・。

とりあえず、「プロっぽいでしょ?」のフレーズだけ使わせていただきます!

それでは、また。

小枝シンヤ

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