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自分の中のポートフォリオ

これはもう8年前くらいの話。社会人になって最初の1−2年、自分が組織に染まり、社会に溶け込んでいくのを感じていた。どこか味のなくなった風船ガムみたいに、クタクタになって、このままいくと飲み込まれるんじゃないかと思ったりもしていた。飲み込まれないように、己を取り戻すために、自分が想い、感じていることを、やりたいことを、タダヒラスラに紙に書き殴っていた。そして描いていた。まだ見えないけど、見たい未来を。

あの時の僕は真っ直ぐだった。今も真っ直ぐだけれど、もっと濃かったかもしれない。4Bの黒鉛筆くらい。そんな紙を通じた自分との対話を何回も繰り返すうちにチャンスが巡ってきた。そのチャンスに向かって少しずつ、自分の想いを馳せ、行動を移し、叶ったことが2つある。一つ目が海外駐在。二つ目が海外でビジネスを立ち上げるといこと。自分の中のポートフォリオに「英語力を含めたグローバルでのコミュニケーション力」✖️「ビジネス立上げ経験」が出来上がった。

ポートフォリオと聞くと、資産形成を思い浮かべる人が多いだろう。銀行預金、年金、外貨建保険、投資信託、個別株、不動産と、ポートフォリオに組み込める要素は多様だ。何も資産だけでなく、一個人の人生にポートフォリオという考え方があっても良いのではないかと思う。その時その時に応じて、持つべき枠や増やすべき枠と、減らす或いは捨てる枠を上手に使い分けながら人生を楽しんでも良いかもしれない。

それもそう、社会人初期の頃から紙に描いていた文化や芸術に触れるということに、やっと今のタイミングで手を出し始めることができているのが嬉しい。去年の秋口からボイトレに通っている。全くの新体験なのに、どこかスポーツに似ているところがあって、自分が考えていることを身体を使って表現をするところが面白い。自分の中に新しいポートフォリオが育っているのを感じている。長い目で少しずつ育てていきたい。いつかどこかで何かと繋がり種が芽吹くことを少しだけ期待して。

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