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七つの物語

これまで作った音源をまとめて、アルバム「七つの物語」を作りました😃
(6/1 音けっとで頒布しました。ご購入いただいた方には、本当にどうもありがとうございました。)

アルバムの世界観になるミニ・ストーリーをご紹介します。
クロスフェードを聴きながら雰囲気を味わいください。

抱きしめる (オープニングアウト)

あさ目覚めたら、目の前に七つの物語が置かれていた。
どれも独特の風格を漂わせ、読まれるのを今か今かと待ってくれている。
良い物語は相応しい香りを身にまとっているものだ。
そして七つの物語にはそれぞれ異なる不思議な香りがただよっていた。

物語の大きなページを開け広げた(Opening Out)
異世界の景色が、広々と現れてきた。
いままで知らなかった空気を、音を、光を、風を、物語の世界を抱きしめた。

お仕事リズム (はたらく少年の物語)

少年の朝は早い。
親方が起きてくる前に火を起こし、希少な材料を手際良く揃える。
すっかり準備が終わったあと、親方がぶるぶると腕を回す。
その腕が自分の頭に落ちてこなければ、少年の勝ちだ。

今日は勝負に勝ったらしく、親方は調子良く細工物を作り始めた。
次々と差し出される手にリズムよく材料や道具を渡すのも、大事な少年の仕事だ。親方と息があってうまく行ったとき、なんだか嬉しい。
こうして1日は瞬く間に過ぎていく。
少年は意外とこの仕事が気に入っている

吟遊詩人の叫び (老吟遊詩人の物語)

その吟遊詩人は路地裏にいた。
深く刻まれたシワ、鋭い目。
関わらないでおこう、と思って立ち去ろうとしたときに一瞬目があった。
いきなり歌が始まった。釘付けになった。

吟遊詩人が口伝で代々語り継いできたこと。
過ぎ去っていった人々の思い。
自分の目で感じたこと。
この動乱・混沌の世界に思うこと。
語り口が熱を帯びて来た。
そして歌は最後には叫びへと変わった。

歌はこころにへばりついて、いつまでも離れなかった。

空飛ぶ練習 (魔法使い見習いのお話)

彼女は魔法使い。まだ見習いだ。
魔法使いなら当然ホウキに乗って空を飛ばなければいけない。
攻撃魔法、防御魔法、ヒーリング…
たいていの魔法はうまくこなせるのに、どうして飛行魔法だけはなかなかうまくいかないんだろう?

なんども転んで泥だらけになった体をはたく。
そして空を仰いだ。
吸い込まれる様な高い高い空。
その中をすすんでいく自分の姿を思い描いた。

とたんに、ふわっと体が浮き上がった。
初めて空の一部になった。
ギクシャクしながらも高度はどんどんあがって、ついに雲の向こうが見えた。

空と一体になった。

水のきざはし (水の重なる世界の物語)

その世界には水の層が幾重にも重なっている。
水の階段(きざはし)はいくつあるのかわからない。
そのひとつひとつの階層に、文化も言葉も違う民族が暮らしていた。
違う階層に足を踏み入れると災いがおこると、昔から言われていた。

獲物を追いかけているうちに道に迷った少年。
争いを避けて逃げてきた少女。
その二人が出会ったのは、きざはしが偶然ほつれていた場所だった。

もう村には帰れない。 でも…
言葉が通じなくても伝わることがある。
一緒にいたい。
守りたい。
生き延びたい。

そして新しい物語がはじまった。

ブラウ・ユーヴェリーア (宝石の神秘の世界)

ある場所から産出された宝石には、不思議な力が宿っていた。
宝石に中にキラキラ光るファイアの色が、だんだん次々と色合いを変えていく。
その色合いの変化が世界の鼓動と一致した時に、とてつもない力が生まれると信じられてきた。

あまりにも希少なため、その力を手に入れたものは世界を統べることができる。そんな噂話に魅せられた冒険者たちが何人も探索に挑んできたが、帰ってきたものは誰もいなかった。

そんな希少な宝石が、なぜこの宝石商にはこんなにも大量にあるのだろう。
探偵は宝石商の秘密に迫ろうとして、何者かに拘束された。
探偵が目にしたのは、時空を超える場所だった。

航海用時計 (マリン・クロノメーターの物語)

地球を取り巻く海。安全に航海するためには自分がどこにいるか知る必要がある。緯度は北極星の高さでわかるが、経度は正確な時間がないと分からない。
ところが船の上では振り子時計が使えない。

海を超えてそして還ってくるためには、暑さ寒さに耐えて長時間揺られてもなお正確に動き続ける特殊な時計、マリン・クロノメーターが必要だった。

イギリスの大工職人の息子、ジョン・ハリソンはこの難問に挑戦した。
そして30年間、全能力をかけて正確なマリン・クロノメーターを作り出した。

産業革命のイギリスは、7つの海を自由に行き来できる様になった。
経度0度はイギリスのグリニッジ天文台を通る線に決められた。
そして世界は狭くなった。(実話)

夜明け前 (青の時間の物語)

ふわふわとした感覚が落ち着かなくて目が覚めた。
そうだった。ここは空の上だった。
どうしても空の上の夜明けを見たかった。
ハッチを開くと、青い冷気が入ってきた。

なんという広さだろう。
なんという深い色だろうか。

眼下には真っ黒な大地。
その中を大きな川が緩やかに蛇行しているのがかすかに見える。
ときどき鳥のような影がいくつか飛んでいく。
紺碧の空にはまだいくつか星が輝いていた。

かすかな高層の雲がいく筋か流れて行くほかは、動くものはない。
視線を水平に落とすと藍色は徐々に薄れ、進行方向のやや右側を中心に淡い橙色の光の帯が見えた。
自分たちは南東に向かっているのだ。

クロスフェード

約1分半で雰囲気がわかるクロスフェードを作りました。
やさしく美しいアルバムになっています。


ご購入希望の方へ

最初は音けっとで頒布するだけと思っていたのですが、まさか通販まで始めてしまうとは自分でも思っていませんでした。(本当)

メロンブックス様にてご購入いただけます。( ¥628(税込))

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2423469

長文お読みいただきまして、どうもありがとうございました。


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