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中回転域で静音化:CWTP 高風圧&静音120mmファン CWTP-FN120B

全世界36.5±10億人の皆様こんにちは。誤差調整で1/3も人口が上下してたら世の中結構な割合で大惨事になるような気がするのですが、治安は守られるでしょうか。肩パッドとバイクとバット用意しておいたほうが良いんでしょうか。この人は何を言っているんでしょうか。いつもながら知ったことではありません。香月です。

さて、今回は冷却ファン。「えくすとり~むぐりす」で「萌え系グリス」という謎のジャンルを開拓したCWTP製のラジエター向け高静圧ファンです。こちらは萌えキャラ等はいないようなのですが、ファンに向かって「あ”ー」ってやってる猫耳の女の子とか描かれていたら可愛いと思うのですが……ドラム側に目を回した女の子のラベルが貼ってあるとか。

本製品は販売代理店「株式会社タイムリー」さんより提供を受けてのテスト・評価となります。

LED等の無いシンプルな120mmファン、デイジーチェーンの為には別途アダプタが必要

黒いフレームに黒いブレード、ドラム部分の金色が目立つ系

まずはざっくり本製品の外観を見ていくのですが、さほど見る点は多くありません。というのも、本製品はLED照明等は搭載されておらず、また外見も黒ベースでまとめられている事もあって、非常にシンプルな見た目に仕上がっています。パッケージもいわゆる「白箱」で、裏面にCWTPロゴ、表面に製品仕様のラベルが貼り付けられただけ、というシンプル具合。同梱物等も無く、1つのパッケージに1本のファンのみ、となっています。

排気側。ドラムを支えるフレームが一般的なファンより多め?

裏面、排気側にはCWTPのステッカーが貼り付けられているのみとなっており、デザイン的には「縁の下の力持ち」的な位置づけの製品といえそうです。ドラム(モーター部)を支えるフレームが湾曲しながら計7本、うち1本がケーブルガイドとなっており、繋がっているのは4ピンPWMのケーブルのみ。ケーブル自体も単純なストレートケーブルで、デイジーチェーン用の分岐などもありません。そのため、ラジエター等で2~3本のファンの回転同期を取るには、別途アダプタが必要になります。

適当に余っていた分岐アダプタを接続

分岐アダプタ自体は安価なものが多く出回っているので、多少自作慣れしている方なら選択は難しくはないと思いますが、一応……という事で、上の写真で赤い端子は4ピンすべてが繋がった「プライマリ」側、黒い端子2つは3ピンのみ接続となっている「セカンダリ」側。プライマリに繋いだファンで回転数を読み取りつつ、セカンダリは回転数読み取りはせずにプライマリファンと同じ回転数のPWM信号を送るようなもの。PWM対応の分岐アダプタだとこのタイプが主流で、簡易水冷キットに含まれる事も多いと思います。かくいう私の使ったアダプタも、簡易水冷キットに含まれていたものの流用。

フレームには回転方向や給排気方向を示すローテーションマークは無く、「ドラムが金色のほうが吸気、CWTPロゴのほうが排気」となっています。ドラムを支えるフレームがついているほうが、大抵のファンでは排気側になるので、BIOS画面等で確認がてら接続して動かしてみると良いかもしれません。くれぐれも指を引っ掛けて怪我をしないように。

風量はかなりのもの、静音性を求めるなら50%くらいまでか

ファン排気部分にティッシュペーパーを置いてテスト

さて、実際の動作状況を確認していくわけですが、以前別のファンをテストした時と同様、ファンの風量を確認しつつ、音の具合をチェックする内容となります。また、今回の比較対象は以下の記事で紹介したXPG製簡易水冷キットに付属のファン(「XPG HURRICANE 120 ARGB」同等品?)となります。

ファンの付け替え中。黒系PCだと、金色のドラムが目立つ目立つ

測定にあたっては、BIOS画面のハードウェアモニタ上でラジエター以外のファンをすべて止めて、ラジエターのファン3本のみ駆動状態でチェック。VGAに関しても負荷がかかっていないため、ファンは停止状態です。今回のCWTPファンが「30~80%に強い」という事だったので、30%、50%、80%の3段階でテスト。ちなみにどちらの製品も、最大回転数は2,000rpm付近となる為、それぞれの割合ごとの回転数も同等と判断して比較しています。

MSIマザーボードのUEFI内「Hardware Monitor」画面

XPG HURRICANE 120

まずはXPG HURRICANEから。

30%設定で天板部にティッシュペーパーを置いた状態。わずかに浮き上がる程度
50%設定。回転数増加と相応の風量
80%設定。流石にここまで来るとかなりの風量。ティッシュペーパーが暴れるくらいに

30%の時は少し心配になるくらいのエアフローでしたが、50%を超えたあたりからしっかりとラジエター越しに風が抜けているようで、80%の段階では不安を感じる事はなくなりました。元々水冷キットに同梱されているファンという事もあって、その点は問題は無い、と思いたいのですが、それにしては30%の時はちょっと不安。

駆動音に関しては、30~50%あたりは風切り音よりもサーボのノイズといった感じの音が気になる感じ。だいぶ静かに頑張っているとは思うのですが、耳を寄せると結構気になります。80%の時点では流石に風切り音が強くなっており、机上で60cmほど離れた位置からもハッキリ音が聞こえるようになります。80%ともなれば、サーボのノイズよりも風切り音が大きくなるのは予想できていただけに、想定通りの音の響きかただったなと。

CWTP-FN120B

続いて今回の主役、CWTP-FN120Bでテスト。

ファン回転数30%時。かなり強めの排気
同じく50%時。あからさまにガッチリと風が抜けている様子
80%時。根本から吹き上げられるくらいには強烈な排気

「そこまで大きく変わる事はなかろう」と予想していたのですが、想定以上に強いエアフローが確認できました。30%の時点で、XGP側のファンの50%と同程度には強い排気が出ています。50%や80%は言わずもがな、これだけのエアフローが確保できていれば、ファンが原因で冷却不足、なんてことはまず起こり得ないでしょう。

一方の音に関して、30%時はほぼ無音と言っても問題なさそうなくらいに静かに回っています。上で掲載したようなエアフローを出している割には非常に静か。一方で50%を超えると若干サーボのノイズが目立ち、80%では風切り音がハッキリと聞こえてきます。公式では「最大回転数(2,000rpm)時でもグラフィックボードファンと同等」となっていますが、80%付近だと「ちょっとだけ負荷のかかったグラフィックボードファン」といった感じ。静かである事は間違いないのですが、静音性を求めて設定を出すのであれば、50%までの範囲で確認してみると良いかもしれません。

冷却系パーツの新しいブランド「CWTP」、組み合わせて使うのも

水冷化すると激増する冷却ファン

さて、今回はCWTPから販売開始となった120mmの冷却ファンを、簡易水冷キットに付属しているファンと交換して比較をしてきました。事前に準備をしていない場合や、そもそも同梱品を使う等、簡易水冷クーラーを使う際には同梱されているファンをそのまま使うケースも多いかと思いますが、ファン部分を変える事で「水冷機構そのもの」の冷却効率が上がったり、静音性の向上が見られたりするのは、いわゆる「高級ファン」の存在からもおわかり頂けるかと思います。そうした「高級ファン」は一本3,000円くらいがおおよその目安ラインだったりしますが、本製品は記事執筆時点で一本1,980円。決して安いとは言えませんが、それにしてもこれまでの高級ファンよりはお安い製品です。

冷却効率としては、ラジエターを抜ける風量が明らかに多く、高静圧系の製品であるため、回転数を上げればその分しっかり冷却、騒音を低減する為に回転数を落とすにしても、従来のファンよりも低回転で回してもしっかり冷却してくれる、という点で、本製品は優秀と見て良いと思います。

一方でLED照明等が一切無いシンプルさは、ガラスケース等を使った「魅せる系PC」で運用する時に悩みどころになるかもしれません。中身が見えないケースで使うなら気にすることではありませんが、中身が見える状態で使用するのであれば、別途LEDテープなどを使ってあげるのも良いでしょう。白系のケースではかなり目立ちそうですが、黒系のケースであえて部分的に本製品を使用する事で、その部分をブラックアウトする事もできる反面、ドラム部分に金色が配置されているのをどう扱うか、で色々と変わってきそうです。下手にテープなどを貼ると、軸上のバランスがわずかでも崩れてしまうので、偏心や騒音の原因ともなりそうです。

それ以外の方法として、ラジエターをサンドするように両側にファンを配置する、という方法もあります。ケース内のスペースが充分にある場合に限られますが、外側に本製品を、内側にLEDファンを搭載する事で、さらなる冷却効果を得ながらライティングも楽しめる、という感じにもできそうです。ファン回転数の管理が複雑化するというネガティブはありますが、検討の余地はあるでしょう。

本製品の残念なところとしては、やはりデイジーチェーンに関する機構が一切無い点。別途アダプタを用意してやれば良いだけの話なので、この点は人によりけりかとは思いますが、そこを見落として「買ってきたは良いものの、開けてみたら全部単発ケーブルだった」という事もなきにしもあらず。2本、3本のセット販売は現状無いようですが、そういった販売が予定されているのであれば、アダプタの同梱も検討して頂きたい所です。グリスも同様ではあるのですが、CWTP製品は「ある程度自作PC慣れしてる人向け」といった雰囲気もあるだけに、もうひと工夫をしてあげることで、裾野が広がるのでは無いかな、と思います。

ともあれ、正しく装着してあげるとキット同梱のファンから大幅に風量を増加させられる本製品、「どこを変えようかなぁ」と悩んでる方に向けて「とりあえずファン変えてみたらどうよ? 冷やせるし静かにも出来るよ」とオススメできる製品ではあります。自作やBTO含めたPCの「最初のカスタマイズ」としては昔からファン交換が鉄板だったりするので、もしカスタマイズで悩んでいる方は是非試してみてはいかがでしょうか。グリスも併せてメンテナンスする事で、「冷却性能は上がるしカスタマイズの勉強にもなる」といったステップアップにはモッテコイな製品です。あとは萌え系の女の子がグリス同様登場したら……とかいっちゃうくらいには、同社製のグリス製品に毒されています。ファンに向かって「あ”ー」のアイディア、使っていいですよ。良いんですよ。ね?