見出し画像

新世代が出揃ったAMDのCPUとGPU、乗り換えは?:CPU編

全世界の4096億人のAMDファンの皆様、こんにちは。今日も今日とてAMDのリサ・スーCEOに向かって祈りを捧げている香月です。問題が一つあって、今リサ・スー女史がどこにいるのかわからない為、とりあえず毎日ルーレットを回して矢印が止まった方角に向かって祈りを捧げています。死ぬほどどうでもいい。

というわけで、今回は前回の続き。本命といえなくもないCPUに関しての内容です。GPUに関しては前回の記事でおおよそ書き散らしたので以下を参照ください。

現時点で4モデルが販売開始、価格は全体的に上昇気味

画像1

画像はこちらのニュースサイトより借用

CPUに関しては既に日本でも販売が開始されており、初値ではありますが価格も既に判明しています。その部分も加味した上での記事となります。

上に並べたAmazonでの販売価格に関してはかなり流動的となりますが、記事執筆時点では明らかにプレミア価格がついている状態なので、おとなしくPCパーツ扱いのショップで購入を検討したほうがよさそうです。

現時点で販売されているラインナップとしては、ハイエンドとなる「9系」から2モデル、ミドルハイに位置する「7系」と、ミドルローとなる「5系」から1モデルずつの計4モデルとなっており、ローエンドになる「3系」が出ていない他、内蔵グラフィックス搭載の「APU(G型番)」は販売されていません。また、付属クーラーに関してもRyZen 5 5600Xのみとなり、7系以上の3モデルは別途クーラーを用意する必要があります。

ざっくりショップ販売の価格を確認した限りでは以下の価格からスタート。

・RyZen 9 5950X(16C/32T):96,800円
・RyZen 9 5900X(12C/24T):64,980円
・RyZen 7 5800X(8C/16T):53,480円
・RyZen 5 5600X(6C/12T・クーラー付属):35,800円

(以上税抜表記:参考サイトはこちら

これまでの第3世代「3000番台シリーズ」で最上位であった、RyZen 9 3950X(16C/32T)の初値がおよそ89,800円(税抜)であった為、同クラスとなる5950Xの時点で7,000円の上乗せとなっています。競合となるIntel系のCPUで同種のモデル(いわゆる「メモリ4本系」)では、現時点の第10世代で「Core i9 10900K(10C/20T)」が性能比較対象として挙げられており、こちらが現時点でおおよそ60,000円程度。単純にコア数のみで比較した場合に完全に同じモデルが存在しない為、5900Xから2コア削ったら1コアあたり2,000円くらいだった、というザックリした計算を元にすれば、まぁまぁ妥当なラインではあります。

これまで、Zen世代初頭あたりまでのコストパフォーマンス、及び「単体としての販売価格」がIntel系に比較して大きく有利だったAMD系のCPUとしては、かなり強気な価格設定であるという印象です。また、上位ラインとなる「ThreadRipperシリーズ」に関して、第3世代に16コア構成の製品が存在しない為、直接比較は出来ませんが、第2世代の「2950X(16C/32T)」の現在価格を見ると、おおよそ9万弱といった位置づけ。第3世代で最もコア数が少ない「3960X(24C/48T)」は18万~19万といった価格帯の為、ThreadRipperに関しては第3世代(Zen2世代)の時点で下のモデルを削り、アッパーモデルにシフトした、という見方が出来るものと思います。16コアモデルまでであれば、AM4系のシステムでカバー出来るレベルになった、ということでしょう。第2世代まではチップセット更新が無く、PCIeのバージョンが3のままである部分も注意が必要になります。

そんなワケで、これまでのAMD製CPUで5万円を超えるとなると「結構買うにも度胸がいる」という感じもありましたが、「安価だけど性能もまぁぼちぼち」という従来の製品群(Zen系初期くらいまで)から「ハイエンドモデルとして充分な性能を有している」という事で相応の価格帯に入り込んだ、という見方も出来ます。パッと見た感じ、AMDにしては「エラい高いな」と思ってしまいそうになりますが、これに関してはある種の「数字のマジック」なのかもしれません。実際の所は製品のスペックも確実に上がっている他、そもそも「9系」に関しては競合がいない(上位の「メモリ8本系」とぶつかる)状態なので、一般的な環境での使用に関しては独走体制と言えそうです。

また、こちらもAMD製CPUでお馴染みだった「結構しっかりしたリテールクーラーが付属してくる」という点について、今回はRyZen5のみとなっていますが、こちらは7系以上がTDP105Wという設計に起因してくるものでしょう。RyZen5のみ今回も65Wの為、従来の付属クーラーでも対応出来るようですが、TDP100W超えのCPUを冷やすとなれば相応の性能が必要になったり、製品によっては「水冷を推奨」となる事もある為、むやみに高価になりそうなクーラーを付属させるより、別途調達してもらう事として価格上昇を抑えた、と見て間違いないでしょう。「TDP105W」と掲載されていても、環境によってはその数値以上の発熱を起こす場面も出てきます。安定した冷却を行うのであれば、可能であればTDP200W程度は冷やし切れるくらいの冷却機構を載せてあげたいところです。

価格の面ではコストパフォーマンスには優れているものの、単純に支払う金額となる価格に関しては、今までのAMD製品に慣れていると「ちょいキツいかも」という印象がありました。第2世代RyZenあたりまでは割と当たり前のように最上位を導入していましたが、第3世代でちょっと様子見、今回の第4世代でどうしようか、と考えていただけに、非常に難しいチョイスになりそうです。

現環境で既にThreadRipperを使用中、更新コストはCPUのみでは済まされない

画像2

(「家庭向け」じゃねーよバカ野郎!)

さて、ここからは私の現環境から鑑みてどうするか、という話になるわけですが、現状動かしている3台のPCはそれぞれ以下のような構成。

・メイン作業用:RyZen ThreadRipper 1950X(16C/32T)・RAM16GB*8
・VR系配信用:RyZen 7 2700X(8C/16T)・RAM8GB*4
・NASサーバ:Athlon 220GE(2C/4T)・RAM8GB*2

スペック内容からCPU周りだけ抜き出した感じですが、現状このような構成の上でソフトウェア上の設定出しも行って使用しています。最も置き換え順位を早くしたいメイン環境に関してはTR環境という事もあり、仮に今回のRyZen系に置き換えようとした場合には、最低でもマザーボードも一緒に置き換える必要が出てきます。さらに言えばメモリ領域も計128GBをほぼフルまで使うような作業内容もある為、メモリに関してはスロットが4本に減る分、32GBモジュールを4本という構成に変更する必要も出てきます。思いっきり大雑把に計算して、16C/32T構成のRyZen9 5950Xで検討した場合で20万近くはぶっ飛ぶ計算になります。まだ本格水冷で構成ガチガチにしてなかっただけ救われたようなモンですが、現状使用しているCPU向けの簡易水冷クーラーにしてもソケットTR4向けの専用設計モデルの為、さらにクーラーも追加になります。目眩がしてきました。

一方でVR系に使用しているサブ機に関しては、使用用途に比較して現状のスペックでほぼ飽和状態、強いて言えばVGAがVEGA64なのでちょっと世代が古くなってきたかな、程度の為、こちらの更新は正直な所そんなに急いではいません。これもまた最悪の場合ではありますが、現状の構成そのまんまでどっかに嫁がせて、その分で同じ8C/16TのRyZen7 5800X環境に変えても良いかなとは思いますが、差額の足がどの程度出るかは微妙な所。こちらも主だった原因としてはマザーボード。

そして一番ダークホースだったNASサーバなのですが、先日OSのアップデートを行った所、「NASサーバ向けOSながら、その中でVMを動作させる事が可能」という機能を確認、元々ストレージ用としての構成だった為にAthlon(CPU実売6,800円くらい)で組み上げたのですが、普段常時稼働させているサーバでVMを走らせる事が出来るようになると、これまたかなり色々と出来ることが増えるので、場合によっては現在のメイン機で使用中のThreadRipper環境をそのままNASサーバで稼働させる、という方針も検討しています。ThreadRipper自体が第3世代時点でチップセット更新によってアップグレードパスが消えた為、どうしてもTR環境で更新したいのであればこちらもマザーボードから揃え直しとなります。しかも、今回のZen3系ではまだThreadRipperシリーズが発表されておらず、チップセット更新が再びかかるのか、もしくはDDR4の現状では第4世代(?)を投入せず、DDR5向けの環境が揃い次第、先行してTRから投入開始となる可能性もあり、現時点でTR周りの環境更新を行うのはかなりの悩みどころになります。

こんな訳で、現状私の手元にある環境においては、どのPCを更新するにしても「CPU+マザーボード」のセットで更新する必要が出てくる為、予算確保という面では正直かなりキツくなります。フラッグシップとなる16C/32Tの5950Xの導入は絶望的と言っても過言では無いような状態……なのですが、仮にメインマシンを更新するなら、最低でも16C/32Tないとお仕事の関係で「システム更新したのに仕事の効率落ちた」という笑えない状態にもなるので、いやはや参ったもんだと。

B450チップセット搭載モデルで対応BIOSの公開が開始

画像3

(さすが変態ASRock)

今回のRyZen5000シリーズは、先んじて第3世代(3000シリーズ)の時に登場した「500系」のチップセットがネイティブ対応となっています。そもそも500系が出た時点で「次期CPUにも対応する」と明言しており、実際にそうなった、という形なのですが、AMD側としては「500系以外は弾く」というスタンスでは無く、「あくまでもM/Bベンダーにて判断をする」としながら、一つ前の400系でも動作する事が示唆されており、2021年に入ってから順次公開、という予定も組まれていました。

……とかなんとか言ってたら、やってくれました変態ASRockもう既にB450向けに対応BIOSが公開されています。爆発的な人気だったSteelLegend系も対応しており、新機能が多数使えなくなるとはいえ、「ひとまずM/Bは変えずに石だけ変える」ができる環境はそれなりに整ってきました。

実は先日、VR用サブ機のM/BをB450 SteelLegendに入れ替えたばかりで、「これで暫くいじる事も無いだろうなぁ」とかなんとか思っていたらこのザマですよ。VR機だけでも5800Xとか突っ込んでやりましょうか。メリットが殆どないアップグレードですが。

現時点では上記の通り「B450」製品のみとなっていますが、今後その上位にあたる「X470」のBIOSも更新され、RyZen5000シリーズが使えるようになる見通しです。年明け頃には安定版のBIOSとして、各社からダウンロード可能な状態になるものと思います。

PCIe4.0は必要か?

画像4

(RyZen3000シリーズ、X570チップセットから対応したPCIe 4.0)

ここ1~2年くらいの間でCPUやチップセットに悩む点として一番挙げられそうな部分が、このPCIe4.0への対応。主に使われるグラフィックボードに関しては、Radeon6000番台、GeForce3000番台双方とも対応こそしているものの、「対応している事が理由で速い」という点は無いようです。不確実な情報である事を前置きすると、AMD環境に関しては「RyZen5000系+Radeon6000系+500系チップセット」の環境において、「Smart Access Memory(SAM)」という機能が有効になり、CPUからPCIeレーンを通してダイレクトにGPUやVRAMへアクセスできる、としているのですが、この件をよくよく調べると「別にバージョン4.0のPCIeじゃなくても良い」「元々PCIe仕様に入っていた機能でブランクだったもの(※)を活用している」と言った内容が見られました。
(※PCIe登場当初、現在のように64bitOSや環境が主流では無く、32bitとの互換性を保持する為に使用できなかった部分、との事です。現状では新規導入の場合、極端な例外を除いてほぼ64bit環境なので、それが使えるようになったということでしょう)

PCIe4.0に関しては私としてはちょっと懐疑的な部分があるのですが、3.0との違いはあくまでも「物理層(ハードウェア)の設計や使用材料による品質を元にした」もので、実際にRyZen3000番台が出た当初、B450のBIOSを最新版に書き換えたらPCIe4.0が「表示だけでなく、実効速度も」出たという事もあり、チップセット側でもレーンを持つX570ならともかく、チップセットでPCIe4.0レーンを持たないB550、あるいはA520であれば、「それB450でよくね?」みたいに考えてしまう感もあります。

この点に関しては、今回の記事で主題にしている「M/BとCPUを同時に入れ替える」という点では多少メリットがあり、「とりあえず石だけ入れ替えて、予算を組み直した上で500番以上のM/Bを後追いで入れ替える」という方法も取ることができる為、実際にはそのような導入をしようかなと検討中です。

メイン機で入れ替えるなら5950X一択、M/Bはかなり絞り込み済み

画像5

(だって16C/32T無いと業務効率落ちるんだもん)

そんなわけで、そろそろ〆という事で、私としてはどうするんだって話なのですが、まずは現状TR1950Xのメイン機、こちらは5950X一択です。「最上位モデルだから」とか「AMD信者だから」とかいう理由ではなく、「CPU処理の効率が落ちるのは話にならない」という、とてつもなく実用面、業務面での理由。M/Bに関してはX570とB550で候補をひとつずつ挙げています。

この2点に関しては、双方とも「Thunderbolt3に対応している」という条件で絞ったもの。どちらもTB3対応、かつDP Alt対応として映像出力も可能である為、TypeCでケーブルを統一して配線類をシンプルにできる事、今後TB3対応の広帯域使用機器が出てくることを見越して、という感じです。お値段的にもデザイン的にもVISION Dが気になっているのですが、現在NASサーバで運用中の「X470 MasterSLI」の実質的な後継機となるX570 Creatorのド安定性も気になる所。お値段がお値段なだけに、どうにも悩みどころです。

一方、VR用のサブ機に関しては、現状はもう少し様子見かなと考えています。こちらは先述の通り、現段階で使用用途に対してスペックが飽和している為、それこそVGAでメイン機にRadeon6000系を入れた後、5700XTを挿してあげればあと3年は持つかなと。そもそもから2台同時アップグレードができるような予算も無いので、まずはメイン機の構成をガチッと決めてからにしようかなと思います。

CPU/GPUともついに他社ハイエンドと真っ向勝負になったAMD、CPUに続いてGPUの追いつき逆転なるか

画像6

(信じる者は救われるが、まずは金を出してからだ)

さて、そんなわけでGPU編から少し時間が経ってしまいましたが、AMDの新製品となる「RyZen 5000シリーズ」「Radeon 6000シリーズ」の簡単な紹介と、実環境での導入計画に関して書いてみました。例によって最終的なオチは「予算ねぇんだわ」に落ち着くわけなのですが、それにしても今回の新製品はかなりパンチが効いている印象です。ここまで来ると、メモリ周りに関してもDDR4は今回のRyZenで終わり、次期RyZenではDDR5へ移行する可能性は充分に考えられます。

一方のRadeonに関しても、当初から言われていた「PlayStation5」「X Box Series X」の2つのゲームコンソールにCPU・GPUとも搭載される関係でレイトレーシング用のコアが搭載されるなど、かなりの面でGeForceの上位モデルと殴り合いができる製品になってきました。その分お値段は確かに上がってはいますが、お値段以上のパフォーマンスを発揮できる事自体は、情報を集める限りでは間違いないようです。AMDに関してはとにかく初期ドライバの出来が微妙すぎてアレなのですが、熟成してくると「ドライバ更新しただけでアホみたいにパフォーマンスあがった」というお約束があるので、今回もそのあたりに期待したいところです。

ガッチリ検証するので、誰かCPUとVGAとM/Bプレゼントしてください。メモリくらいは自分で用意するので。相変わらずひどい〆。

例によって欲しいものリストに入ってたりとかするので以下略。