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連載小説/【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿(完結)

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この世に悪魔は存在する。そしてそれらを屠るハンターも。 現代のアメリカを舞台に悪魔を狩り続ける老練のデビルハンター ”ジュディ” とその仲間を描く、ハードボイルド・パルプ小説。
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『赤、青、白』 #パルプアドベントカレンダー2021

 ――2021年12月24日 四谷三丁目  二ヶ月ぶりに来てみれば、四谷の夜に活気が戻っていた。新宿通りから一本入ったこの通りにも、クリスマス効果でずいぶんと人が流れてくる。真っ赤なショートダウンにサンタ帽姿の私に、道ゆく人たちの目が向いて、それて。向いて、それて。向いて、それて。  私は小さく咳払いして、もう一度―― 「クリスマスケーキ、いかがですか……」  バイト収入を失う大学生が多いなか、不定期でも仕事をくれるこの店はありがたい。ただ、いくら人手が足りないからっ

目次)【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿

いらっしゃい。 -ジュディ- 【第1話】ロッキー山脈 # 01   # 02   # 03   # 04 【第2話】ウォルデン # 05   # 06   # 07  【第3話】ゴールデン # 08   # 09   # 10   # 11   # 12  【第4話】シティ・パーク # 13   # 14   # 15  【第5話】日本 # 16    # 17   # 18   # 19  【第6話】米/日/米 # 20   # 21   # 22   # 23

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #ChristmasSpecial

ソリの扱いは意外と得意。 -ジュディ- ―― 2017年12月25日 コロラド州 デンバーの繁華街、16番ストリートに店を構えるメキシコ料理店 ”デビルズキッチン” 。 オーナーとシェフを兼ねるソフィアが1年前にオープンして以来、その悪魔的な味と彼女の人柄によって一躍人気店となり、この2日間のディナーは予約客だけでほぼ満席という繁盛ぶりだった。 店の地下に設けられた秘密の部屋。その扉を開けて飛び込んできたスーツにポロコート姿の男―― ゴードンが、息を弾ませながら膝に手を

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #1(第1話:1/4)

死人に口なし? あるよバカタレ。 -ジュディ- 「ああジュディ。深夜にすまない」 バリケードテープをくぐる老婆にゴードン特別捜査官が声をかける。 「ったく。こんな山奥の道端でババアが死ぬかい?」 不満を垂れながらジュディは咥え煙草を始末し、ざっと死体を観察した。 「手首の擦過傷と足の具合からして監禁された後に徒歩で山中を逃走… 道に飛び出し轢死。監禁場所は半径2マイル圏内か。退屈な事件」 「顔照合で身元は判明。エマ、68歳。住所はデンバーで夫と息子が1人」 「じゃ、さっ

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #2(第1話:2/4)

楽しい楽しいハンティング・タイム。 -ジュディ- <前回のジュディ> アメリカ、コロラド州。 ゴードン(FBI特別捜査官)の要請を受け、事件現場に到着したジュディ。退屈な事件と思われたが、 "能力" を使い死体のババアに喋らせてみると ”奴ら” の仕業と判明し、テンションアップ。  (#1(第1話:1/4)はこちら) (目次) ……………… ■#2 胴体から斬り離されたゴードンの頭部がきりもみしながら宙を舞い、トサッ、と小さな音を立てて薄雪の上に転がった。 え? 俺は…

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #3(第1話:3/4)

出し惜しみするバカは死ぬ。 -ジュディ- <前回のジュディ> 雪積るロッキー山脈の森。 薄汚れたピチピチタンクトップ姿のアンドレ・ザ・ジャイアントみたいな大男が鉈を振ってゴードンの首を刎ねた。ジュディの狩りがはじまる。 (前回(#2(第1話:2/4)) (目次) …………… ■#3 「シィィィィネェェェェェ!」 およそ老婆とは思えぬ大怒声をあげたジュディが人間離れした速さで雪上を駆け、大男との距離を一気に詰める。 「エッ? …ハ? 速ッ! 斧? チョ」 予想外の展開に怯

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #4(第1話:4/4)

前始末、奴らの始末、後始末…… 狩りの大事な三要素。 -ジュディ- <前回のジュディ> タフでヌケサクな大男の頭を粉砕した。 (前回(#3(第1話:3/4)) (目次) …………… ■#4 事前にトミーの顔を把握していたゴードン曰く、”首だけゴードン” 状態で目視した大男の顔はトミーで間違いないということだった。 「待たせてすまない。よし、あの小屋を調べてみよう」 トミーを仕留めてから5分。 ”本来あるべき位置に戻した自分の頭部” が安定してきた様子のゴードンが言った。

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #5(第2話:1/3)

あの子が山にやってくる あの子が山にやってくる あの子が山に あの子が山に あの子が山にやってくる 6頭の白馬をあやつって あの子を迎えに出かけよう あの子が山にやってくる -She'll Be Coming Round the Mountain- <前回のジュディ> ここ数回の事件を調べた結果、”山奥の田舎町” と ”奴ら” の間に何か関係があるのでは… と睨んだゴードン特別捜査官。それを聞いたジュディはゴードンを置いてけぼりにしてピクニックに向かうと決めた。 (前

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #6(第2話:2/3)

おやおや。 こんなに沢山、殺れるかね。 ……殺れるね。 -ジュディ- <前回のジュディ> エリザベスと山奥の田舎町までピクニック。教会で ”奴ら” に襲われた。リーダー格っぽい牧師とザコ4匹を処分したが、まだまだいそうな予感。 (前回(#5(第2話:1/3)) (目次) …………… ■#6<ジュディNote> 「エリザベスの能力テスト結果」 ・左右いずれかの ”手” で触れた対象を瞬間移動させる ・運動エネルギーも物体とともに移動する ・彼女自身を移動させることは不可 ・

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #7(第2話:3/3)

殺す。 -ジュディ- <前回のジュディ> 田舎町で大量の ”奴ら” と戦うことになったジュディとエリザベス。順調に狩りを進めたが、突然あらわれた男によって戦況が一変した。その男とは―― (前回(#6(第2話:2/3)) (目次) …………… ■#7”奴ら” ………… 人々を罪に陥れるもの、神に背く悪が人格化されたもの、堕落した天使、煩悩の化身…… 宗教文化により捉え方は異なるが、人々は ”悪” を象徴する超越的、超自然的な存在を ”悪魔” と呼んだ。 悪魔を狩る者 ”デビ

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #8(第3話:1/5)

Judy Potter and the Chamber of Secrets. -ジュディ- <前回のジュディ> 77年ぶりに相対した男。母親の仇。戦いを挑んだジュディ。しかし…… 討つことはできなかった。そして、エリザベスは連れ去られた。 (前回(#7(第2話:3/3)) (目次) …………… ■#8ウォルデンでの戦いから2日後の深夜。 デンバーの繁華街、さまざまなショップが建ち並ぶ16番ストリートに店を構え、ひときわ美味いと評判の人気メキシコ料理店 ”デビルズキッチン

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #9(第3話:2/5)

今日は自宅でゆっくりするさ。 -ジュディ- <前回のジュディ> 会合の結果、危険を知らせるためにゴードンとソフィアが ”ゴールデン” に行くことになった。傷を負ったジュディはヴィクターがうるさいので自宅療養することにした。 (前回(#8(第3話:1/5)) (目次) …………… ■#9 「ったく、大漁だったのはいいが…… 記念すべき1000匹目がザコってのが残念だね」 自宅のデスクでウォルデンでの一戦を記録し終えたジュディは独り不満を口にしながらペンを置き、煙草に火をつけ

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #10(第3話:3/5)

『ゴードンの事件簿』? ジュディ外伝? ゴードンの野郎ふざけやがって……。 -ジュディ- <前回のジュディ> 自宅でマッタリ療養。一方、孤児院に到着したゴードンとソフィア。院長のルーシーが悪魔の気配を察知したというが、そいつは一体どこに―― (前回(#9(第3話:2/5)) (目次) …………… ■#10ルーシーさんが指さしたのは、私のピックアップトラック。 誰も乗っていないはず。 でも…… 彼女が間違えるとは思えない。 ソフィアは半信半疑のまま、 現在に至るまでのことを

【デビルハンター】ジュディ婆さんの事件簿 #11(第3話:4/5)

ぺちゃくちゃ喋るヌケサクは嫌われる。 -ジュディ- <前回のジュディ> 乱歩の真似事をするキモイ全裸男がでてきた。 セクハラ言動に怒りを燃やすソフィアはタイマンを挑む。 (前回(#10(第3話:3/5)) (目次) …………… ■#11 中庭に突っ立ってこちらの出方を伺う全裸の変態男。 得物はお互いナイフ。ナイフ格闘には自信があるけど油断はできない。 一対一とはいえ、私の背後にはゴードンとルーシーさんが控えている。なのにあの男が浮かべる余裕の表情…… 不気味。 「で…