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『資本主義の次に来る世界』はいつくるの?

私たちがどっぷり浸っている資本主義。
お金を持っていることが社会的な成功。たくさん稼げば豊かな生活が送れる。裕福な人は、物だけでなく心身の健康や地位も手に入れる。
ますます”お金こそ価値がある”と考えるようになる。

それでも大多数の人は気づいている。
最初から持たざる者が、勤勉に働いても貧富の差は縮まらないし少しも豊かにならない。
こんな社会で本当にこれでいいのだろうか?
本当に価値あるものってなんだろう?

人が地球環境に及ぼす影響(気候温暖化、プラスチック問題、生態系の破壊)や、世界中の人が幸せに暮らすための環境(グローバルサウス、貧富の差)など、あふれでてくる多種多様な問題。

どうしたらいいのか?
まるで、夏休み遊んでばっかりで最終日に手を付けられなくなっている宿題を前に途方に暮れる子どものよう…

先日読んだ本『資本主義の次に来る世界』にヒントがありそうです。
日本では2023年5月に出版されていて、本国の出版は2020年です。
2020年は『人新生の資本論』という本が日本でも注目を集め、世界的な波があったのかもしれません。
「脱成長」「使用価値」「希少価値」「コモン(資本主義以前のコミュニティ)」というワードが出てくることからも親和性が高いです。
(というか今読み直してみるとかなり言っていることは近い)

原書タイトルは『LESS IS MORE』脱成長が世界を救う。
だいぶ以前からこういう考え方はあったんですね(しかもデザイン発)
温故知新。

"Less is More"とは、20世紀の建築家、ミース・ファン・デル・ローエが残した、『少ない方が豊かである』こと意味する言葉です。
シンプルさを極限まで追求することで、真に美しく、豊かであるデザインや空間が生まれるという哲学が込められています。

この哲学は、建築のみならず、プロダクトデザインやWebデザインにおける引き算の美学や、ひいてはミニマルなライフスタイルを象徴する言葉としても使用されます。
https://eleminist.com/article/874

各書評でも高いレビューを得ている本書。
すでに「脱成長」が言われているので目新しさはなく、西洋の視点にやや距離があり、日本と状況が異なる点もあります。いくつか単純化しすぎているきらいもあるかなと思いました。(デカルトの思想=悪とか)

論点は単純で
・資本主義は資源(自然、人)を搾取するために刷り込まれた仕組み
・私たちは資本主義に組み込まれた価値観になっている
・資本主義のままでは自然も人も破綻する。
脱成長(脱資本主義)を。

感想をたったひとことで言ってしまうと
この不平等な世界は資本主義がそもそもの原因。
これを詳細に懇々と説明している本です。
一方で、”資本主義の次に来る世界”をどう実現できるのか、明確な答えがなかったことに少しがっかりしました。

ここでは、原始社会(資本主義より前)の共同体やアニミズム(自然崇拝的な考え)を取り戻すことが大事だと言っています。
社会の仕組みをつくっている側が資本主義を壊したくないから、仕組みを変えられないというジレンマがあります。

それでも今、読まれていることに意義があります。
統計の数字を見せられてもなかなか自分事にはなりませんが、
本書ではその意味がすっと入ってきます。

2020年はコロナウイルスが世界中に蔓延して、ウイルスとはなにか生命とはなにか?といった生物学が注目された頃でした。
日本は古来からのアニミズムをずっと根っこに持っていると思います。
それって妖怪のしわざ?神様のばちがあたるよ。
日常の何気ない言葉のなかにもみえるようです。
さまざまの神様がいるその土地の神社で、誰もが気軽に参拝しています。
自然の神格化、自然への畏れは日本人のDNAに刻まれているのでは。

資本主義が浸透して経済優先で進めるようになり自然破壊が行われていますが、一方で自然を守る活動もあったりします。
もし自然が自分の一部だと考えられれば、一時の利益のために傷つけるようなことはしません。

個人でできることはなんだろう?
食べ物を自分で作る(畑、養鶏あたり?)
消費するものを選ぶ(安さや得や見た目で選ぶのではなく、”正しく”つくられたもの)
環境に負荷をかけない行動

それよりも価値観を疑ってみることでしょうか。
成長=良いとは限らない
使用価値と希少価値は一緒ではない
使用価値のあるものだけを認めること

それから待っていても何も変わらない
自分から考え方、行動を変えること
身の回りが変わったら企業を動かせる
企業が動いて社会全体が変われば、国を政治を動かせる

案外、小さなきっかけで
ビッグウェーブを起こせるかもしれない。

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