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アウトカムの定義なくしてサクセスプランはつくれない

4/24に、CS HACKさんのイベントで、『導入成功へ。プロジェクトを進める技術 - CS HACK #92』におじゃまして、プ譜をつかったサクセスプランの制作ワークショップを行いました。このnoteでは当日の内容のさわりをお伝えします。

解約に至る原因の連鎖

冒頭、アイスブレイクを兼ねて『プロジェクトの病態関連図』をカスタマーサクセスにあてはめて説明しました。

プロジェクトの失敗にある「使われない、使いこなせない、機能しない」や「コスト超過(費用対効果が合わない)」という言葉が顧客から出始めたら、それはカスタマーサクセスにとって解約フラグです。

じゃあなんで使いこなせないとか費用対効果が合わないのかというと、いろいろな原因があります。
例えば、CSとしてはあまり影響を与えられませんが、顧客側の情報共有や合意形成が不十分で、製品がぜんぜん使われないということがままあります。

他にも、営業時の期待値調整がうまくいっていなかったり、顧客の目標が無謀だったり、仮説の論理のジャンプの幅がありすぎたりするのも、解約に至る原因です。

こうした「原因の原因」は、製品を手段として用いて顧客の目標を実現する計画=サクセスプランをうまくつくれていないからではないか?というのが最初に参加者のみなさんと共有しておきたかったことでした。

わざわざプロマネの資格を取る必要ある?

このサクセスプランをつくる際に、プロジェクトマネジメントの考え方が参考になると考えているのですが、ちゃんと時間をかけて勉強して資格を取りましょうといっても、そんな余裕をなかなか持てないのが実情かと思います。また、そこに投入するお金と時間と内容が、カスタマーサクセスの業務内容にマッチしているか?見合っているか?というと、どうしても帯に短し襷に長し、なところがあります。

そこで紹介したのがプ譜です。未来の目標と現在のリソース(成約)、その間をつなぐ仮説を1枚で把握できるのが特徴で、小学生から使える実績もある学習コストの低いフレームワークです。これをサクセスプランのテンプレートとして用いましょう、というがワークショップのテーマでした。

カスタマーサクセス担当者も顧客担当者もプロジェクトマネジメントのエキスパートではないなか、必要にして十分なプロジェクトを成功に導くための共通言語・基盤として、プ譜を活用頂けるのではないかと思い、とある製品を題材にサクセスプランをつくる手順を説明しました。

アウトカム=勝利条件を定義せよ

サクセスプランをつくるうえで最も重要なのはアウトカムの定義です。アウトカムはプ譜の勝利条件に該当します。

自社製品を導入する顧客の目的は、大まかな範囲では似ていますが、その勝利条件は各社各様です。
厄介ことに勝利条件はその性質上、あいまいだったり、複数あってどれも重要としていたり、そもそも考えていなかったりすることがほとんどです。顧客担当者の頭の中だけでなく、部署や会社として合意していないことが少なくありません。

勝利条件の不在は考えなければいけないことや実行しなければいけない作業を際限なく増やしてしまいます(こういう状態を「無限定」と言います)。勝利条件のブレは計画のブレに直結します。優先順位やトレードオフを判断できなくなります。
勝利条件はプロジェクトの進め方を規定する最も重要なものでありますが、そもそも考えていなければ、顧客の言葉でそれを表現できるように、問いかけ対話しながら、しっくりくる言葉を生成していかなければなりません。
複数あるなら、どれが最も取り組むべきものなのかを考えて決めていかなければなりません。

ワークショップではそうしたことを顧客に考えてもらうための「問いかけリスト」を一部紹介し、参加者のみなさんが相対している顧客をイメージして、プ譜を用いてサクセスプランをつくっていただきました。

サクセスプランから勝ちパターンを見出す

サクセスプランを一度つくると、それを一つのパターンとして他の顧客にも応用できるようになります。サクセスプランの種類が増えるほど、「こういう条件で、こういう勝利条件の顧客には、この施策の組み合わせが有効」というパターンが見出しやすくなります。
SFAやCRMなどに解約理由を記入し、それをリスト化して解約されやすい業界や製品利用目的や顧客側の体制から分析していくのも一つの手と思いますが、早く「全体像をつかむ」「パターンを発見する」という点において、プ譜の紙1枚の表現方法は有効ではないかと思います。

手始めに「解約されている状態」のプ譜をつくる

このレポートと関連リンクをご覧になって、自社のサクセスプランをプ譜でつくってみようと思って頂ければ、ぜひ取り組んでみて頂きたいですが、サクセスプランをつくる前の、お勧めのアクティビティがあります。

「こうなっていると製品が使われない(解約される)状態」をプ譜に表現してみてください。製品の継続利用=顧客の成功にとって望ましくない状態は、プ譜の「中間目的」欄に記述します。

その望ましくない状態を望ましい状態に変えることができれば、論理的には顧客は成功するはずです。
中間目的の導出はプ譜をつくるうえで難易度が高いものですが、「望ましくない状態」から書いた方が書きやすいことがありますので、よろしければこの方法も試してみて下さい。

もしどうしてもうまく書けない。アドバイスが欲しい、ということがあれば下記ページの下部にあるお問い合わせフォームより連絡いただければと思います。

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サクセスプランを作成するにあたって、古今東西のビジネス事例や漫画などを題材に、勝利条件を定義したり、KPIを設定してその測定方法を検討したりするための思考を鍛えるドリルを提供しています。
10問用意していますので、気になるものがあれば是非チャレンジしてみてください。


未知なる目標に向かっていくプロジェクトを、興して、進めて、振り返っていく力を、子どもと大人に養うべく活動しています。プ譜を使ったワークショップ情報やプロジェクトについてのよもやま話を書いていきます。よろしくお願いします。