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プロジェクトの「わからない」13図解パターン

もし、自分がつくろうとしているモノの説明書やマニュアル、料理のレシピや行こうとしている場所までの地図に、穴あき問題のような空白があったらどうなるでしょうか?
次の工程で何をすればいいかわからない。どのくらいの量を、どのくらいの時間行えばいいかわからない。複数の選択肢のうちどれを選べばいいかわからない。「わからない」には色々な種類がありますが、こんなことでは望ましい目標の姿や状態の実現がおぼつかなくなります。
説明書・マニュアル・レシピ・地図には、基本的にそうした「わからない」はありません(情報の表現の仕方で「わかりにくい」はままあります)。

しかし、全人類が食べたことのない食事を使って料理をつくるときや初めて訪れる未開の土地にはレシピも地図もありません。どうしても「わからない」ことが出てきます。同じように、テーマや対象を問わず、初めて行うプロジェクトの仮説・計画には必ず「わからない」があります。
「わからないと知っている」ものもあれば、「わからないことがわからない」、「わからないというものに気づけていない」ものもあります。
この「わからない」が多いままでは損失が大きくなり望ましい結果を得られなくなる可能性が高くなってしまうため、事前にできるだけ「わからない」を潰しておく必要があるわけですが、「わからない」ものごとをただ「わからない」と言ってボーっと突っ立っているわけにはいきません。

すべての「わからない」を潰すことはできなくても、少なくとも何がわからないのか、どこがわからないのかを認識しておくことができれば、対処のしようがあります。慌てふためかないで済みます。「プロジェクトを進めながらわかっていけばいい」という態度を手にすることができます。

この「わからない」を「わかる」ようにする道具が「プ譜」です。
プ譜はプロジェクトの仮説・計画を立て、ふりかえり、進捗を確認し、仮説を更新していくために必要な情報・要素を1枚で表現します。

その構造ゆえに、プロジェクトで必要なわかるべきことが入力されるようになっています。言い換えれば、そこに入力されていない・入力できないものが「わからない」ことの現れです。

では、プロジェクトで生まれる(プロジェクトに存在する)「わからない」にはどのようなパターンがあるのか?
それを具体的にわかるようプ譜で図解したものを紹介します。

1.プロジェクトの目標はあるが、成功の定義=勝利条件がわからない

2.プロジェクトの目標があり、所与の条件も把握しているが、成功の定義=勝利条件がわからない

3.プロジェクトを構成する要素に、どんなものがあるのかわからない

4.プロジェクトを構成する要素が、どんな状態になっているべきかがわからない(要素の望ましい状態がわからない)

5.要素の状態を実現するための手段(施策)がわからない

6.要素の状態を実現するための手段(施策)が複数あって、どれを採用すべきかわからない

7.施策をどの程度実行すれば、望ましい状態を実現するかわからない

8.どの施策から順に実行すればよいかわからない

9.思いついた施策によって、要素がどのような状態に変容するかわからない

10.所与の条件がわからない、知らない

11.所与の条件や環境が施策の実行や選択に与える影響がわからない

12.要素間の前後関係や依存関係がわからない

13.どの要素に直接影響を与えられるか?どの要素を管理できるかわからない

これらの「わからない」は、わかるようになる難易度が異なります。
「10.所与の条件がわからない、知らない」は調べればある程度わかる話です。情報がなければその情報を持っていそうな人や組織をあたればよく、「わからない」の度合いは浅いです。
「わからない」の度合いが高いものには、「9.思いついた施策によって、要素がどのような状態に変容するかわからない」や「12.要素間の前後関係や依存関係がわからない」があります。

それぞれの「わからない」パターンは別の記事で詳しく解説しようと思いますので、今回はパターンの提示に留めるとして、このようなプロジェクトの「わからない」をつぶし、プロジェクトの仮説・計画を立て、進めていく方法を、新著『ゼロから身につく プロジェクトを成功させる本』に収録しました。

プロジェクトの「わからない」をあいまいなままにして怯え、不安になるのではなく、「わからない」を認識し、「わかる」ようになっていく楽しさを感じてもらえるよ思いますので、ぜひご購読ください。

未知なる目標に向かっていくプロジェクトを、興して、進めて、振り返っていく力を、子どもと大人に養うべく活動しています。プ譜を使ったワークショップ情報やプロジェクトについてのよもやま話を書いていきます。よろしくお願いします。