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寄せ集めのプロジェクトチームの生産性をどう上げるか?

ネットのビジネスマッチングサービスやクラウドソーシングが普及してきたことで、一度も会ったことがない人と一緒に新しいサービスをつくったり、仕事を発注したりといったことが増えてきました。企業も今までやったことのないタイプの製品やサービス開発に取り組むため、外部の人材と一緒に仕事することが増えています。こうした定型業務ではないことに取り組む非固定型のチームを、ここではプロジェクト型チームと呼びます。プロジェクト型チームの問題は生産性が低いことです。

プロジェクトチームの生産性が低い状態とは

「生産性が低い」とは、具体的に分けると以下のような状態です。

・仕事へのこだわり、進め方が異なっていることに気づいていない
・本当にやりたいことがメンバー間で統一されていない(ことに気づいていない)
・意思決定のスピードが遅い(時間がかかる)
・意思決定の基準がない
・最終決定者が決まっていない
・役割分担、責任の所在がわからない
・プロジェクトの状況がどうなっているかがすぐにわからない

このチームの生産性を上げるうえで、「あるべきではない状態」を構造で表現したプ譜が下図になります。(拡大してご覧ください)

プ譜は寄せ集めチームの生産性を上げる

仕事へのこだわり、進め方が異なっていることに気づいていない

固定型のチームは定型業務を行うための作業の進め方、指示・連絡系統、マニュアルなどが整備されています。規模が多少異なったとしても定型業務を繰り返し行う過程で、求める品質、大事にする価値観やこだわり、判断基準がメンバー間で共通のものになっていきます。浸透していきます。求める品質や判断基準が明確で、それがメンバー全員の共通項となっているチームは早く効率的。しかし、繰り返し行われたことのないプロジェクト型業務では、こうした有形無形の資産がありません。
生産性を低くする原因は、こうした無形の資産が”ない”ことではありません。それぞれがこれまで培ってきた常識が基準が異なっていることです。
同じ業務でも使用する技術や言語が違うといった「道具・ツール」の違いというのは目に見えるのでわかりやすい(意識が向きやすい)です。違いに気づきにくいのは、仕事の進め方やスタイルといった無形のものです。例えば、ある人にとっては資料を七分目までつくって後は上司とつくりこむというスタイルが常識だったのが、ある人は完璧に仕上げてから持っていくというスタイルが常識ということがあります。ここがズレていると一方にとっては「中途半端なもので持ってきやがって」となりますし、一方にとっては「つくり込んでから修正じゃ却って時間がかかるじゃないか」となります。コミュニケーションのレスはテキストでも絵文字でも何でもするというのが常識だった人と、重要でないものは何のレスも必要なしというのが常識だった人とでは、ある人には本当に伝えたいことが伝わったかで不安になったり、ある人にはうっとうしいと感じたりします。こうした身体的なスラングは、固定型チームにおいては生産性を高めても、プロジェクト型チームで通じないスラングになっていたら生産性を低くしてしまいます。

求める品質・意思決定の基準・全体像を共有できていない

求める品質の基準が共通項としてあれば、いちいち上司やリーダーに出来栄えを見てもらわなくてもひとりで作り込めますが、基準がないとその都度確認し合うわなければ、思っていたものと全然違うものになっていた、ということが起こります。それをやり直すということも生産性を低くします。また、起きた出来事や遭遇した事象の評価にも時間がかかります。これもまた生産性を低くします。
同じ場所に常に一緒にいないということは、個人的にはあまり大きな問題ではないと思っていますが、時空間が同期されていないと、プロジェクトの状況がすぐにわからなくて困るという声もあります。
次にすべきことが何か?何が障害になっているかがわからない。誰が、今、何をやっているかがわからない。どこまでやれば、続ければいいかわからない。一区切りのタイミングがわからないといったことで困っています。要は全体像が共有されていないという問題です。

常識の違いを明らかにせず、意思決定の基準もなく、全体像が明らかになっていないチームは、いくら個々の能力が高かったとしても烏合の衆の域を越えません。こうした固定型チームにとっての「あるべきではない状態」が、プロジェクト型チームの常態といえます。今まで自分が慣れ親しんできたような生産性の高いやり方は、ありません。やりながら高めていくということを受け入れるしかありません。しかし、事前に生産性を高めるためにできることがあります。
それがこの記事の冒頭に挙げた生産性を低くしている「あるべきではない」状態を、「あるべき状態」にしていくことです。あるべき状態はいきなり100%完璧な状態にはなりません。状態は0から100になることはほとんどなく、時間をかけて“なって”いきます。その“なって”いくための方法の一つとして『プ譜』が使われ始めています。
プ譜とは何か?プ譜をつかって「あるべきではない状態」をどのように「あるべき状態」にしていくかは、下記の記事をご覧ください。

プ譜をチームで書いたり、個々のメンバーが書いたプ譜を共有するワークショップを行うことで、取り組むプロジェクトに対して個々のメンバーが求める品質や大事にしているポリシーなどの違いを明らかにしたり、意思決定の基準をつくっていくことができます。

やったことがある仕事で身につけた様々な常識は、常識を異にする人々と、やったことのない仕事に取り組むことで一度解体するチャンスを与えてくれます。それがいかに個別具体的な状況に癒着していたものかを自覚することができます。これは自分の成長の伸びしろを増やすまたとない機会です。
プ譜がそれをやりやすくするツールとして役に立てていただくことができます。もし興味を持ってくださるようでしたら、お気軽にメッセージをお送りください。

未知なる目標に向かっていくプロジェクトを、興して、進めて、振り返っていく力を、子どもと大人に養うべく活動しています。プ譜を使ったワークショップ情報やプロジェクトについてのよもやま話を書いていきます。よろしくお願いします。