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保育園給食を作る前に知っておきたいポイント

こんにちは!こどもSHOKUデザイン(@kodomo_shoku)です。

保育園給食を提供する中で欠かせない工程の1つに「調理」があります。
提供する人数が多いと「大量調理」ということもあり、家庭で料理する場合とは異なる観点で進めていく必要があります。

今回は、調理をする前に知っておきたいポイントをお伝えします。

大量調理(給食)と少量調理(家庭料理)の違い

大量調理と少量調理(家庭料理)には違いがあります。
家庭で作っている料理と同じ手順で進めることで、不都合が出る場合が多いからです。
場面に応じてそれぞれに適した調理方法や手順を選択できるよう違いをおさえておきましょう。

大量調理と少量調理では、下記のような違いがあると考えています。

大量調理

・食べる人数が多い(規模によっては、100人以上の食事提供が必要な場合も)
・決められた提供時間までに食事を提供する
安心安全な食事を提供するための明確なルールや決まりがある
・量が多いので、調理手順や材料の火の入り方など配慮すべき項目が少量調理とは大きく異なる
・決められた人数で調理するため、ひとりひとりの役割が明確である
・使用する器具が、業務用であること など

少量調理

・食べる人数が限られている
・目安はあるが、料理が出来上がってから食事の時間とすることができる
・安心安全な食事を提供するが、明確なルールや決まりがない
・家族の中で料理が担当できる人が行う
・フライパンや鍋など普段見慣れている調理器具を使用する など

他にも挙げられる違いはあると思いますが、大量調理では特定多数の人に対して継続的に食事を提供することになります。
衛生管理はもちろん、調理技術など、注意すべき点が異なるのが特徴です。

食事提供の留意事項

給食はただ美味しい食事を提供すればよいというものではありません。
「安心で安全な食事」「栄養管理されていること」など、保育園給食を提供する上で留意する点が4点あります。

詳しくは今後の記事の中でお伝えしていきますが、まずは全体像を掴むためにも「保育所における食事の提供ガイドライン」に記載されている内容に沿ってお伝えしていきます。

1.栄養面について

保育園に通う子どもたちは、発育・発達状況、栄養状況、家庭での生活状況などについて、年齢差や個人差が大きい時期でもあります。
子どもたちの状況を把握し、一日の生活の中で保育所の食事を捉え、各保育所における食事計画を立てる。
そして、それに基づいて作成された献立に沿って食事を提供することにより、子どもの栄養管理を行うことも必要です。

2.衛生面について

保育所における食事は安全、安心な食事であることが基本です。
安全性の高い品質管理に努めた食事を提供するため
・食材や調理食品の衛生管理
・保管時や調理後の温度管理の徹底
・施設・設備の衛生面への留意と保守点検、検査、保存食の管理
を行い、衛生管理体制を確立させることも大切なことです。

3.1人1人に応じた対応について

年齢差や個人差が大きい時期のため、ひとりひとりの状況に合わせて対応する場面も多くあります。
「離乳食」「食物アレルギー」「延長保育・一時保育」など、園全体の園児ではなく、ひとりひとりに合致した食事を提供する必要があります。

4.保育との連携について

保育の一環として食育を推進する上で、その軸となる食事の提供も、保育と連動して取り組むことが必要です。
そのため「保育所保育指針」は、その解説書において、食育を推進する上で、保育士、調理員、栄養士、看護師等の全職員が協力することが必要であることを強調しています。
食事の提供を担う調理員や栄養士は、常に子どもの保育に関わる全ての職員と連携し、子どもの成長を支えていくことも大切な仕事の1つです。

参考文献:厚生労働省,保育所における食事の提供ガイドライン


保育園給食での栄養士・調理員の役割

子どもの成長を支えるためには、保育との連携も必要不可欠です。
保育士とコミュニケーションを取りながら、食育や食事提供を進めていく必要があります。
ここでは、その役割についてお伝えしていきます。
すべてを実践することは、最初は難しい部分もありますが、できることから少しずつ始められるように全体像を掴んでおきましょう。

1.保育と連動した栄養士の役割

保育所に配置される栄養士は、子どもに対する栄養管理、食事の提供、栄養指導という一般的な役割に加え、食育の計画・実践・評価や保護者支援、地域連携、職員連携など、食育の推進役としての役割が期待されている。
■食育の計画・実践・評価
■授乳、離乳食を含めた食事・間食の提供と栄養管理
■子どもの栄養状態、食生活の状況の観察及び保護者からの栄養・食生活に関する相談・
助言
■地域の子育て家庭からの栄養・食生活に関する相談・助言
■病児・病後児保育、障害のある子ども、食物アレルギーの子どもの保育における食事
の提供及び食生活に関する指導・相談
■食事の提供及び食育の実践における職員への栄養学的助言 等

引用文献:厚生労働省,保育所における食事の提供ガイドライン

2.保育と連動した調理員の役割

調理員は自らを食育のための人的環境であると自覚し、保育士と協議の上、保育の場にも積極的に赴き、子どもと関わる必要がある。特に、自らが調理した食事を子どもと一緒に食べ、食事の楽しさや美味しさを共感し合うこと、また、子どもが愛情のこもった食事であると実感できるよう、調理に込めた思いを伝えることなどを通して、感謝の気持ちを育てる役割を担うことも大切となる。さらに、食事中、子どもか料理や食材に関する質問が出れば、専門的な立場から、わかりやすく答えるとともに、子どもの食べる様子を直接把握し、調理法の改善を図ることも求められる。このことは、自園の調理員だけではなく、外部委託、外部搬入の場合でも同様であり、連携がとれるようにする必要がある。

引用文献:厚生労働省,保育所における食事の提供ガイドライン

給食室の1日の流れ 〜 保育園ver 〜

大量調理では、1日の給食室の流れを追いながら作業をしていきます。
給食の提供時間は決められているので、提供時間に間に合わせるように作業をしていくことも大切です。
1日の流れを掴んだ上で各内容を読むとより理解が深まると思いますので、ここでは1日の全体の流れについてお伝えします。

以前にもお伝えしたことがありますが、給食を提供する場合の1日の流れは下記の通りです。

8:00 現場の立ち上げ・衛生チェック(給食室・個人)、食材納入・検収、下処理
8:30 麦茶づくり、食材仕込み
9:30 午前おやつ配膳、各クラスへ麦茶を配膳、各献立の調理
10:30 検食、盛り付け、離乳食配膳
11:00 乳児食配膳
11:30 幼児食配膳、片付け、おやつ準備、保育室巡回
12:00 休憩
13:00 洗浄、おやつ・離乳食の午後食調理
14:30 検食、盛り付け
15:00 おやつ配膳、保育室巡回
15:30 翌日の調理打ち合わせ
16:30 給食室片付け、清掃
17:00 業務終了

「朝おやつ」「お散歩の準備」「昼食」「昼おやつ」(夕食も提供している場合には、「夕食(夕おやつ)」)のタイミングで食事を提供する必要があります。
その間で、「各食事の準備」「後片付け」「当日や翌日の調理工程の確認」などの作業を行っていきます。

終わりが決められているからこそ、それぞれの工程でどれだけ効率化しながら、安全で美味しい給食が提供できるのかが大切になってきます。

この工程については、20人に食事を提供しているのか200人に食事を提供しているのか、施設の規模感によって変わる部分もありますが、根底にあるものは変わりません。

大量調理を行っていく上で、一番最初におさえておきたいポイント・基本となるのが「衛生管理」です。

今回は全体像についてお伝えしてきましたが、次回は大量調理において、「衛生管理」が大切な理由についてお伝えしていきます。

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