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保育園で提供している食事と役割

こんにちは!こどもSHOKUデザインです。

保育園で提供している食事は、子どもが一日で摂取が必要な栄養のうち約50%をも占める割合で提供しています。

この数値を聞くだけでも一日あたりの約半分の栄養を摂取することになる保育園での食事も大切であることがわかりますね。


また厚生労働省から出ている資料の中で、保育園で食事を提供する時に参考となる資料がいくつもあります。(一部掲載)

日本人の食事摂取基準
授乳・離乳の支援ガイド
保育所における食事の提供ガイドライン など

これらの資料も確認しながら、保育園給食の食事や役割、子どもたちの特徴を知った上で業務に従事することが必要です。


ということで、今回は、保育園給食のイメージをしてもらいやすいように、「保育園で提供する食事と役割」と「保育園で働いていたときの経験から感じた本当に大切なこと」をお伝えしていきます。

保育園における食事の提供の意味

「保育所における食事の提供ガイドライン」には、食事の提供の意義が記載されています。

第2章 保育所における食事の提供の意義

保育園で預かるこどもは0歳〜6歳までの年齢差が大きいこと、また同じ年齢児であっても個人差も大きいことが特徴である。
(中略)
乳幼児期から正しい食事のとり方や望ましい食習慣の定着及び食を通じた人間性の形成、家族関係づくりによる心身の健全育成を図るため、発育・発達過程に応じた食に関する取組を進めることが必要である。

引用文献:厚生労働省,保育所における食事の提供ガイドライン 「第2章 保育所における食事の提供の意義」,p24


これがすべてではありませんが、子どもが心身ともに発育・発達していく過程で保育所での食事提供の重要性や期待されていることなどが記載されています。

保育園に通う子どもの特徴としては
・年齢差や個人差が大きい時期
・身体の発達や精神の発達が大きい時期
・家ではなかなか口にしない食材を食べることもある
など、いろいろな面からたくさんの経験をする時期でもあります。

こういったことへ考慮しながらも「栄養士が給食を作った先にいる子どもたちの食べ進めや変化を見て適切な食事を提供すること」「食育をすすめること」などが求められています。


子どもたちにとっての食事の場面は、コミュニケーションの場であったり、「いただきます」の挨拶をするなどの食事のマナーやルールを覚える場であったり、子ども一人一人にとって、いろいろな意味を持つことがあります。

目の前にいる子どもたちを見ながら、子どもたちにとっての食事とはどういう意味があるのかなどを考えて、日々の食事を提供したり、食育を行うことで見えてくることもあるかもしれません。


では、保育園における食事の提供の意味を踏まえた上で、実際に保育園で提供している食事がどんなものなのかみてみましょう。

保育園で提供する食事

それぞれの施設の規模や特色に合わせて変わる部分はありますが、参考例を元に保育園で提供する食事についてお伝えしていきます。

まず、保育園で提供している食事のパターンについてですが、基本的に下記のような分け方をします。

離乳食:0歳児クラス
 ・初期食:5〜6ヶ月(※1)
 ・中期食:7〜8ヶ月
 ・後期食:9〜11ヶ月
 ・完了期:12〜18ヶ月
乳児食:1〜2歳児クラス
幼児食:3歳〜5歳児クラス

※1 保育園によっては、「初期食」は提供していないところもあります。

各パターンの呼び方は地域や施設によって異なることもあります。
この他にもアレルギー対応が必要な園児が所属している場合には、それぞれのパターンに対してアレルギー対応を行うこともあります。


また、保育園で提供する食事区分の基本は下記です。

・朝おやつ(0歳〜2歳児クラス)
・昼食
・昼おやつ

上記の食事区分の他に延長保育を利用している子どものために、夕食または夕おやつ(補食)を提供しているところもあります。


これらを時系列でまとめたものが下記の画像です。

画像1

画像2

画像3

複数のパターンを記載していますが、これ以外のパターンも考えられます。
給食室で働く人数やお預かりしている園児数、給食室の規模などから、それぞれの施設で、何をどこまで対応できるのかで決められていきます。

保育園で提供する食事から考えるそれぞれの役割

保育園で提供する食事には、それぞれの役割があります。
その中でも特徴があるものを紹介します。

幼児食

保育園で提供する食事の基本としては「薄味での調味」「(辛いものなどの)刺激物を提供しない」「提供する食べ物の大きさ」など、注意するべき点がいくつかあり、大きな特徴となります。

また、一生の食生活の基盤は、乳幼児期からの食体験がとても大切なため、「一日3食食べる」という食事の基本をおさえることや「食事のマナーを身につけること」「友達と一緒に食べる楽しみを味わう」など、心身ともに発育・発達していく過程で重要な時期と考えられます。
離乳食

離乳食では子どもがミルク以外の食べ物を初めて口にする時期です。
大人でも見たことも食べたこともないものを口にするのは、なかなか勇気がいることだと思います。
まさにこの時期の子どもたちもこの状態ですので、個人差が一番大きく出てくる時期でもあります。
子どもの食べ進み方を見ながら、個別対応をしていくことが必要になります。
おやつ

「朝おやつ」「昼おやつ」と記載がありますが、大人が食べているようなおやつとは異なります。
子どもは1回で食べられる量が少ないため、3食だけで栄養を補おうとすると無理があります。なので、3食では補えない栄養を補うためにおやつ(補食)として提供をしています。
食の楽しみの一環として、イベント食の時に手作りケーキを提供したりもしますが、基本的には、1日で必要な栄養を補うための役割があります。

子どもの成長に必要な栄養とは?

栄養素という観点から保育園で配慮が必要と言われている主な栄養素は下記です。
栄養管理報告書でも記載が必要とされている地域は多いです。

エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物
ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンC
カルシウム・鉄・ナトリウム・カリウム・食物繊維・食塩相当量

可能であればこれ以外の栄養素も配慮できると良いですが、必要最低限は上記の項目を抑えておくとよいでしょう。

上記の他に、新生児や乳児期の子どもには、「ビタミンD」や「ビタミンK」などの栄養素も考慮する必要があります。

「それぞれなぜ配慮が必要なのか?」
気になった方は、ぜひ調べてみてください。

まとめ 〜 本当に大切なものは? 〜

今回の記事では、基本的なことの紹介や留意が必要なポイントをまとめてきたので、書いている内容ももちろん大切なことです。
でも、日々の業務に追われて本当に大切なことを見逃してしまうのは、本位ではありません。

では、「本当に大切なこと」とは?

栄養に関して言えば、どれだけ栄養価が完璧な献立を作っても、子どもたちが食べないと意味がありません。
作った給食を子どもたちが食べて消化されることで初めて栄養になり、意味のあるものになります。

また保育園で求められているものは、ただ食べれば良いというものでもありません。

食習慣の定着及び食を通じた人間性の形成

食を通じて、身体の成長だけではない、子どもの成長を支える役割があります。

このような点から見ても、子どもたちが食事を楽しく食べてくれることがなによりも根本にある本当に大切なことではないかと私は思います。

食を通じて子どもたちの成長を支えるために、あなたが考える「大切なこと」を考え、見つけてみてください。

そして、いろいろありすぎて難しいときは、まずは一番基本的な目の前の子どもたちが食事を楽しく食べられるような給食の提供や環境を整えることから実践してみましょう。

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