見出し画像

融資できる?できない?

今の部署では融資は業務の中心ではないもののある程度知っている必要がある中、個人畑の後輩も一定数いることもあり、「この会社に貸出できますか?」ということをよく聞かれました。

極論すれば大事なポイントは2つだけ。さて何でしょうか?

借入が兆単位の会社、例えばトヨタ自動車とかは法的な金額上限があるのでまた別なのですが、このポイントさえ守っていれば銀行的には融資可能です。

少し引っ張りますが、子供がいきなり10万円貸して、必ず返すからって言ってきたらなんと答えますか?

・・・
一体何に使うの?返すってどうやって返すの?と返しますよね。

はいそうです、資金使途と返済原資です。稟議を書く上で一番大事なのは、この2点です。実は恥ずかしながら、銀行員でもこの点の理解が曖昧な人は意外に多いのですが、ここだけは外してはいけません。

昔こんなことがありました。取引先の社長が5千万円急いで貸して欲しいと言いました。私は『社長何にお使いですか?』と聞きましたが、「いや運転資金とか色々と・・・ごにょごにょ」という感じでした。

今振り返ると、確定申告終わっているはずなのに決算書がなかなか頂けないとか、気になる点は他にもありました。

ただ、社長に他行持込を示唆されたため、功を焦った私は、商業手形割引だったこともあり、「えいや」で稟議を書いてしまいました。

ちなみに割引というのは、取引先が受取った約束手形を銀行が金利分を「割引いた」金額で買い取る、最も基本的な融資形態です。最終的に手形が決済されれば、持ち込んだ取引先に何かあっても返済されます。

なんとなく雰囲気が伝わったかと思いますが、この取引先はその数週間後、法的整理を申請してしまいました・・・私が外出中に後輩が上司に「金色のバッジつけた人が来られてます」と呼びにきたそうです。弁護士ですね。

結局本件の融資代金は、恐らく法的整理(この時は民事再生)の申し立て費用に使われたと推測されます。民事再生や会社更生はマスコミでは事実上の倒産と表現されたりしますが、お金がないと申請できません。

返済はどうなったかというと・・・手形が無事決済されセーフでした。実は決済が不安な銘柄もあったので、振出銀行の他メガに勤務する先輩に電話して信用照会をするも、もちろん、答えられるわけないだろ!と一蹴されたのでした。

つまり、資金使途や返済原資があやふやな融資は返ってこない確率が相対的に高いんですね。

よく取引先が「運転資金です」「支払資金です」と言うことがありますが、その説明では相手がちゃんとした銀行員であればあるほど、稟議を書いてもらえません。

お金に色はない、と良く言いますが、バンカーの仕事はお金に色をつけること、つまり資金使途をよく整理して、バランスシート上借入が何に充当されているかを説明できる融資をすることなんです。

だいぶ長くなりましたので、一旦この辺で終わりにしたいと思います。

#銀行 #融資 #資金使途 #倒産

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?