大学院生のお金の話(赤裸々)

 勤務医の頃は特に金のことは考えていなかった。地方の医局関連病院なので本給も高く、家賃を含め生活費も安く抑えられていたからだ。所得税や社会保険料は天引きされ、住民税も特別徴収で天引きされる。何も考えずに済んでいた。(投資もせず、ふるさと納税しかしていなかったクチです)

 私はおりこうさんだったので、バイト禁止を遵守し続けてきたし、その傾向は余計であった。

 だが今年からはそうはいかなくなってしまった。ここに赤裸々に収支を書いてみる。

【収入】

 医局斡旋の外勤が組まれている。私は週2回の平日午後の外来、隔週土曜日の朝から昼過ぎまでの外来を与えられており、その他毎月2回弱の臨時の宿直勤務を与えられている。それ以外の自主的な外勤は禁止とされている。

 一般に医局斡旋の外勤は「おいしい(相場やコスパがよい)」と噂されるが、OB クリニックの出向になることが多く、そこの OB の性格による気がする。

 私は週2回の平日午後の外来で、それぞれ 4.0万、5.0万を労働対価の給与として得ている。そして隔週土曜の7時間超の外来で 7.5万を得る。今月は臨時の当直が1回あって 4万、臨時の日当直(日曜日)が1回あって 10万を得ている。いずれも療養型なので救急外来もなく、管理当直としての、いわゆる寝当直(本来的な意味での当直)である。すると今月は 65万円の額面ということになる。思ったよりはなかなか良い数字だ。

 先月までの勤務では額面が 95~115万だったので大幅なマイナスには違いないが、3次救急の大病院でのフルコミットだった負担を考えれば、コスパは圧倒的に良い。COVID19 の影響で感染拡大防止のため外勤禁止を指示される大学院生や大学病院勤務医が経済的に死活しているという話題が出ているが、この「非常勤形態の方が常勤よりコスパが良い」という歪んだ構造は、いずれ是正されていくだろう。それまでの間、貧乏人の私は大学院時代をやり過ごしていこうと思うわけなのだが。

【支出】

■ 医療保険

 今までは勤務医として健康保険だったわけだが、今後は国民健康保険になる。すると保険料の所得割は 10% 程度と高額になる。額面 750万円とすると、毎月 4.5万円ぐらいになるだろう。

 ・・・果たして本当にそうか?実は他のシステムもある。例えば東京都医師国民健康保険(医師会年会費、保険料 3.2万円程度)だったり、任意継続システム(勤務医時代の健康保険組合を継続できるという制度。標準報酬月額の上限は 30万円なので、保険料は 3.2万円程度が上限となる。しかし2年間の期限付き)だったり。他大の院生から聞いた話では、任意継続で2年間が経過すると大学が1ヵ月だけ雇い、そこで更に卒業までの2年間の任意継続ができるという「裏技」を組織的に行っているところもあるようだ。

 当方の医局には組織的なシステムはなく、各個人が勝手に対応をしている。全員が東京都医師国民健康保険を利用しているようだ。私は医師会年会費払うのがなんとなく精神衛生上いやだったことや生粋のめんどくさがり屋ということもあり、とりあえず任意継続を選択した。12ヵ月分をまとめて支払うと少しだけ安くなるらしく、38.5万円を一括で支払ったばかりである。2年後は医師会に入らねばならないわけであるが、任意継続であれば前の職場が手続きをやってくれるところもあるので一先ず楽ちんである。問題の先送りに過ぎないわけであるが。ガンバレ、未来の私!

■ 年金

 国民年金と厚生年金に加入させられていたわけだが、国民年金のみでよいことになる。実際に国民年金以外を払っている人間は周囲に観測されなかった。それだけ年金というものに期待はしていないのだろう笑。

 私も国民年金だけでよいと思っているので、保険料は毎月 1.7万円となる。こちらは COVID19 の影響で手続き書類の郵送が可能になったため、そちらに書類を送ったものである。まだ返事は来ないが、こちらも確か 12ヵ月分一括払いで少しばかり安くなるはずだ。20万円の支出となるだろう。

■ 所得税

 基本的に私はリスクをとって物を見る考え方なので、以後も数字に関しては四捨五入はせずに、収入は切り捨て、支出は切り上げとして計算しています。なので所得税計算も、令和2年分以降の厳しめのものを使用して計算します。

給与等の収入金額(国税庁 HP より)
給与所得の源泉徴収票の支払金額 給与所得控除額
3,600,000円 ~ 6,600,000円 収入金額×20%+440,000円
6,600,000円 ~ 8,500,000円 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,000円 ~ 1,950,000円(上限)

 さて額面 750万円とすると、基礎控除 38万円および185万円の給与所得控除、社会保険料控除 58.5万円(38.5万円+20万円)を受けますので、課税される所得金額は 469万円となります。私は華の独身貴族で幸い健康体なので、これ以上は控除を受けません。ここで、平成27年分以降の速算表は下記のようになります。

所得税の速算表(国税庁 HP より)
課税される所得金額 税率 控除額
330万円 ~ 695万円 20% 427,500円
695万円 ~ 900万円 23% 636,000円
900万円 ~ 1,800万円 33% 1,536,000円

469万円×20%-427,500円=51.1万円。これが年間で支払うべき額となります。

■ 住民税

 最後に住民税。これが厄介でして、前年度の年収をもとにして今年の支払いが決まるわけなんです。大学院生1年目にはこれがキツい。

 取り合えず来年以後を計算すると、基礎控除 33万円(所得税と異なるんですね)、給与所得控除 185万円、社会保険料控除 58.5万円(ちなみに私は体液管理が好きですので、58.5 と聞くと NaCl の分子量を想起しますねぇ!(深夜テンション))ですので、474万円が課税される所得金額となります。10% ですから所得割が 47.5万円になりますね。あと 3000円ぐらいとられるので、48万円にしておきましょう。

【支出まとめ】

医療保険 38.5万円

国民年金 20万円

所得税 52万円

住民税 48万円

トータルですと、158万円になりますね。ちなみにふるさと納税の上限額は、ふるさとチョイスで上記の値を入力すると 13.4万円となります。

158万ですか。月々に直すと、13.1万円ですね。年収750万円(月収 62.5万円)ですと所謂手取りは 49.4万円となります。

【その他の支出(税金や社会保障を除く】

■ 学費

 国立大学の学費はある程度の幅をもって各大学が自由に設定できるのですが、最近は経営難のため値上がりしてきている傾向にあります。当方は 55万円です。入学料などは忘れると、月々にして 4.6万円ですね。

■ 家賃

 貧乏な OL と同棲しているのですが、東京メトロの某駅から徒歩 20m の 2LDK 65m2 の築 2年で 18.8万円を毎月払っています。前回までは家賃をケチって後悔していたので大盤振る舞いしましたが、やはり後悔しています。4年間で1000万円をどこぞの大家に払うわけですね。そういえば金持ちの大学同期は、大学から目と鼻の先にマンション買ってましたので家賃は0でしたね。格差だなー(しみじみ)。

■ その他

 食費、光熱費、通信費、日用雑貨品などでしょうか。後は本代や学会年会費、学術集会参加費などですね。手取りから学費と家賃を除いた 26万円の中で遣り繰りをせねばなりません。

 実際には彼女は毎月 5万円入れてくれるので 31万円です。経済的負担を考えるともう少し入れて欲しいところですが、節約家なので許しています。そんな状況で諸々を悲観的に見積もると、外食込みの食費は 9万円弱(自炊はしてくれるのですが果物などは迷いなく買っています。それは重要なことだと私も考えています)、光熱費は 2万円弱、通信費は 1.2万円(スマホ+無線 Wi-Fi)、日用雑貨品 2.8万円として 15万円。

 そして本や学会関係の費用(学会関連で年間 10万、教科書で毎月 1万でしょうか)で月々 2万円。

 残すところ 14万円しかありません。後はここから私の趣味や被服代、時折寂しい髪の毛を整える代、が差っ引かれていきます。私はブランド物の服に興味はありませんし趣味も安上がりですので、何とかマイナスにはならなそうです。貯金もごく僅かながらできそうですね。

 そうだ、忘れていました。私はとても家族愛のある人間ですので、弟の家賃補助を毎月払っておりますが、今回の転勤に伴って自動車を弟に譲り、その維持費(ガソリン費除く)を肩代わりしてあげようとしています。

 自動車税、自動車重量税、自賠責、任意保険、車検費、駐車場代、燃料費がかかりますが、40万円ぐらいはかかりそうです。兄の負担が 36万円として 月 3万円の出費になりますね。トホホ。

 今月はたまたま 10万円の日当直が入りましたが、それもレアですので、結果的に毎月 5万円の貯金ができれば御の字といったところですかね。

 それにしても年収 750万と聞くともう少し余裕ありそうなものだと思っておりましたが、なかなか厳しいところがありますね。

 そしてお金の話をすると、どうしてもですます口調になってしまいます。今回も途中からですますに変化していますね。これは昔からの癖です。

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