法人が預金利息を受け取った場合の仕訳計上について

法人が預金利息を受け取った場合、源泉所得税が差し引かれた後の金額が入金されることになります。

預金通帳やネットバンキングの入金明細は当然に入金額が記載されていますので、単に以下の仕訳を計上するだけでは不十分です。

普通預金××円(対象外)/ 受取利息××円(非課税売上)
※かっこ書きは消費税区分を表しています(以下同様)。

特にクラウド会計ソフトはAPI機能により、インターネットバンキングの入出金の動きと会計ソフトの仕訳計上を連動させることが出来るため、上記の誤った仕訳が計上される可能性が非常に高くなります。

数値例を交えながら、あるべき仕訳を考えてみたいと思います。

例:法人の預金口座に預金利息850円が入金された。この時の仕訳は?

普通預金850円(対象外)/受取利息850円(非課税売上)

…ではありません。源泉所得税が考慮されていないためです。

現時点では、源泉所得税は15.315%(国税+復興特別所得税)徴収されますので、受取利息を源泉所得税考慮前の数字に戻してあげる必要があります。以下、算定式です。

①入金額:850円
②受取利息:850円÷(100%-15.315%)=1,003円
③源泉所得税:1,003円-850円=153円
※②③共に円未満端数切捨

従って、正しい仕訳は以下の通りとなります。

普通預金850円(対象外)/受取利息1,003円(非課税売上)
仮払税金153円(対象外)

上記に仮払税金という科目が登場しています。
これは期中に源泉所得税の税額を管理しておくための仮勘定の位置づけなので、各四半期、決算では正しい勘定科目へと振替仕訳を行う必要があります。

仮払税金の振替仕訳ですが、状況によってパターンが2つに分かれます。

①納付ポジションとなっている場合
納付ポジションの場合、所得税額控除を適用することで、税額控除を受けることが出来ます。
普通預金の利息から発生する源泉所得税は全額控除可能となるため、納付ポジションの場合は基本的に以下の振替仕訳を計上します。

法人税、住民税及び事業税153円(対象外)/仮払税金153円(対象外)

②還付ポジションとなっている場合
還付ポジションの場合、控除する税額がそもそもないため、所得税額控除を受けることが出来ません。
ただし、源泉所得税は税金の前払いの性格を持つため、法人税申告書にきちんと記載することで、翌期に還付を受けることが出来ます。還付ポジションの場合は基本的に以下の振替仕訳を計上します。

未収還付法人税等153円(対象外)/仮払税金153円(対象外)

実際に還付される翌期のタイミングで未収還付法人税等を取り崩します。

普通預金153円(対象外)/未収還付法人税等153円(対象外)

基本的な事項とはなりますが、クラウド会計ソフトで仕訳を計上した場合、検証を疎かにすると漏れやすいところになるかと思いますので、記事にしてみました。

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