2,000円のたこやき

関西出身ということもあり、たこ焼きが定期的に食べたくなる。

たこ焼きは関西では身近なもので、繁華街や地元には必ず1店舗はあるといっても過言ではない(自分の地域だけかもしれないが)。

個人的に思い入れがあるたこ焼き屋さんは2店舗ある。

まず1つはスーパーの入口スペースに出店していたたこ焼き屋である。毎週土曜日にしか出店しない、移動型の店舗だ。たこ焼き自体はふわふわとしており、ほんのり甘い生地とソースが良く絡み合い、また次食べたくなるような美味しさだった。小学校の高学年ぐらいまではそこでよくたこ焼きを買っていたのだが、引っ越し等もあったため、足が遠のいてしまった。

もう1つは、かつて自分が通っていた小学校のすぐ近くにある個人経営のたこ焼き屋さんである。真っ赤な大きな蛸が描かれた背景色が黄色の店舗用テントが2階部分に取り付けられており、一目でたこ焼き屋さんとわかる風貌だ。小さい頃から存在は知っていたものの、成人を迎えるまで全く利用したことがなかった。入りにくかったこと、家が反対方向であったことが主な理由である。

この店舗を知ることとなったきっかけは、成人式で再会した小学校の友人との飲み会である。飲み会のシメとして「ここに行こう」と提案があった。初めて注文をしたのだが、1つ1つがとても大きい。通常店舗の1.5倍ぐらいはあるのではないだろうか。先ほどのたこ焼きとは対照的で、外はカリカリのたこ焼きだ。加えて中の蛸も大ぶりで歯ごたえもある。そのおいしさに感動し、頻繁に通うようになった。

と、たこ焼きの思い出を記載してみたのだが、注目すべきはその価格である。上述したたこ焼き屋さんのうち、前者は6個入りだったか8個入りだったか忘れてしまったが、500円だったことは強く記憶している。また、後者は8個入りで650円だったと記憶している。

私は現在関東に住んでいる。関東はとても住みやすく、満足しているのだが、個人経営のたこ焼き屋さんがほぼ無い。そのため、たこ焼きを食べようと思うとチェーン店やフードコートに入っている店しか選択肢がない(住んでいる地域柄の問題なのかもしれないが)。

今日も唐突にたこ焼きが食べたくなったのだが、某チェーン店のものをUberで取り寄せるしかなかった。16個入っていたため、お腹はいい感じに膨れたのであるが、1,680円もした。配送料を含めると2,000円を超える。

代替する選択肢がない場合、必然的にそれを選ばなくてはならないことから、少々価格が高くなったとしてもそれを選ぶしかない。旅館におけるアルコールの自販機もその一例である。

代替する選択肢がない、これほど強いものはないだろう、将来開業した時にこの考え方は頭の片隅に置いておきたいな、と2,000円のたこ焼きを食べながら思った。


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