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30年後に向けた価値観を作っていく

だれも知らない未体験ゾーンに突入

日本の人口減少、高齢化は誰しもが知る事実だと思います。そう思いながらも、皆さんはこれからのビジネス、働き方に対してどう考え、プランを練っているでしょうか。昨今のコロナ禍で、従業員の働き方に対する「意識・考え方」のリアルがちらついてきたという話をよく聞きます。そして、これからを担う「中間層」を対象とした勉強会や座談会などの依頼も、有難いことに増えてきました。今回は、すこし視点を変えて私の考える「これから」について記載をしてみたいと思います。

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こちらは皆さんもよく研修などで見る図だと思います。日本の人口が減少し、高齢化率が上がっていくことを示しています。事実、日本の人口は2008年をピークに年々減少をしています。2019年と2020年10月1日同月を比較しても29万人が減少しています。長期的に見ると、日本という国が出来てから、数百年間ほぼ右肩上がりだったと言えます。
・1868年 明治維新 3,330万人
・1945年 終  戦 7,149万人
・2004年 ピーク  12,784万人
そんな短期的な減少はあっても、長期的な減少はこれまでにありません。すなわち、いま私たちが生きている時代、これから進むべき時代は誰も経験したことがない、「人口減少時代」なのだと言えます。

あと何年働きますか?

皆さんの年齢によっていわゆる定年までの期間は異なります。また、いつまでもらえるかわかりませんが、年金の受給開始までの期間も異なります。最近よくこんなスライドを使うのでご紹介します。

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先ほどの人口推移に、自分の年齢から現時点で年金がもらえる「65歳」までの期間を曲線化してみました。比較対象として親世代である現在「65歳」という方の曲線も引いています。見づらいかもしれませんが、私の年齢ある35歳以下の世代は、人口増加時期をほぼ経験することがなく、人口が減り続ける未来を生きていかなければいけません。そしてそれは先ほど書いたように「未体験ゾーン」です。

個人的には、年配の方々と目指す方向は同じでも、別の価値観を持って未来を見ていかなければいけないと思っています。

ネガティブかもしれませんが、日本の産業規模の推移と、求めらえる労働者数を考えないといけません。現時点では一般的な定年は「65歳」で線を引いていますが、健康寿命延伸など色々な理由から定年年齢の引き上げ、年金受給年齢の引き上げが検討されていますが、人口と共に日本の産業は萎んでいきます。小売店や飲食店などの「BtoC」は大きな影響を受けるのではないでしょうか。それは薬局などの医療機関も考えられます。店舗数は減るが、退職年齢の引き上げなどによる労働環境の減少が見えてくるような気がしています。

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つい最近発表(10月23日)された最新版の厚生労働白書を見ると、「非正規雇用労働者数」の増加、人口減少の中でも就業者数が余り変わらないこと、なによりもカッコ書きになっている「医療福祉従業者数」の増加が気になります。慢性的に労働者不足している介護分野が主立つのではないでしょうか。

薬局業界は人口不足?

薬局業界においては「空白の2年」と呼ばれる薬学部6年生を経て急激な薬剤師不足の時代を迎えました(その他、出店数の急増などが理由)。新卒採用600万円というニュースがあったことも記憶に新しいです。では今、薬剤師の需給はどうなっているのでしょうか。

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こちらは平成30年度厚生労働省行政推進調査事業で名城大学 長谷川洋一先生によって行われた「薬剤師の需給動向の予測および薬剤師の専門性確保に必要な研修内容等に関する研究」報告書の一部です。今年度にはいり厚生労働省そして文科省が「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」を開催し、薬剤師の需給に関する最新予測を作ろうとしています。

少し前の予想ではありますが、平成30年から令和2年(2020年)くらいまで需給は均衡しているとしたものの、令和4年(2022年)ごろより供給過多になるという予測がたてられています。予実の判別は難しいですが、薬局薬剤師の求人情報や新卒給与の水準などからも充足してきていることは判断がつきそうです。

働きたくても働けない時代!?

コロナの影響で大きく変わったのが働き方です。テレワークの推進や、オンラインによるビジネスの普及が一気に進みました。国の施策としてもより一層のICT化が進められていきます。

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こちら求人、求職及び求人倍率の推移(有効求人倍率)です。有効求人倍率は「有効求職数」に対する「有効求人数」の割合です。その割合が「1」を上回れば求職者の数よりも、探している企業数が多いことを指し、下回れば求職者数の方が多いことを示します。リーマンショック期に大きく凹み、アベノミクス効果なのか、回復をしていたところ平成30年度より下落傾向、そして今回のコロナにより大きく凹みました。

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これまた見づらくて申し訳ないですが、ハローワークのデータから抽出した職業別有効求人倍率の推移です。(医科・歯科・薬剤師)
三師の数字なので、「薬剤師」に限定は出来ないですが、有効求人は減少傾向(充足に向かっている)、直近の有効求人倍率は2016年の8.0%をピークとして直近では、2.84%と過去最低値となっています。

日本は国家であり、会社みたいなもんである

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令和2年度第2次補正予算後に財務省が発表した予算がこちらです。
当初の102兆円をおおきくこえて、160兆円に修正されています。BS的に見るなら「歳入=収入」「歳出=支出」です。きちんとバランスが取れているように思いますが、その実態は赤みが強い「公債金」です。国としての税収は70兆円、それに対し支出は136兆円(総額から国債返済を除外)です。この予算自体がいいかどうかは別として、約65兆円ちかい負債をどうしていくのか、これからの世代にのしかかります。消費税増税によるプライマリーバランス黒字(単年黒字化)は新しい政策パッケージにより夢のまた夢となりました。いまの日本は超赤字会社と言えます。

まとめ

結局なにが言いたいのかというと、
・これからは誰も経験したことがない時代
・日本の市場は減少
・働き方改革などで、より効率化、働く場所も減る
・日本はお金がないのでより効率化を進めていく

普通のビジネスであれば需要がある場所に対し供給を行うので自然的にバランスが取れていきます。また世界市場という世界が見えます。
しかしながら医療職は国家資格を有し、新資格者は毎年一定数誕生します。でも雇用延長などで引退者が少なくなるので、市場がダボつきます。人口が減るのでリアル店舗が減ることが考えられます。また大型店舗化した効率化も考えられます。未来行きの電車の定員募集がすでに始まっているように思います。

そんな時代に向けてどう考えていくのがいいのでしょうか。っということを同世代の方と考え、そして何があっても揺るぎのない働き方を模索してもらいたいと思っています。そのヒントは「対物」から「対人」にあると考えています。私自身の時代のニーズや市場の変容の中で仕事をして行かなければいけません。

30年後に向けて、何ができるのか、何をしないと生き残れないのか。一緒に考えていきたいですね。

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