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オンライン資格確認を考える①

令和3年3月から健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります。いわゆる「オンライン資格確認」が始まります。詳細についてはすでに、厚生労働省のサイトや資料で確認をしている方も多いと思いますが、このオンライン資格確認をただのオンラインでの保険証確認と勘違いしている人も多いのではないでしょうか。今回は、このオンライン資格確認の制度の確認、そしてこれからの医療にどのように関わってくるのかを見てみたいと思います。

オンライン資格確認とは​

概要は動画を見て頂くのがいいと思いますが、大きなポントとして「①リアルタイムで資格情報の確認」「②特定検診・薬剤情報の閲覧」が挙げられます。令和3年3月のスタートを予定しており、スタート時は「資格情報の確認」「特定検診情報の閲覧」(医療機関のみ)ができるようになります。令和3年10月から過去3年分のレセプトデータを基にした「薬剤情報の閲覧」(医療機関・薬局)ができるようになります。

ここまではすでに把握されている方も多いと思います。重要になるのは今後のスケジュールです。

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令和4年を目途に閲覧できる情報が大きく増えていきます。閲覧できる施設は医療機関に限定されるのではと予想されます。

同時期に電子処方箋がオンライン資格等システムを基盤を利用して構築されます。2020年6月22日に開催された第9回経済財政諮問会議で報告された「データヘルスの集中改革プラン」には「2022年(令和4年)夏をめどに運用を開始」と記載されているところから、構築ではなく「スタート」すると考えられます。

この「電子処方箋の運用開始」が薬局業界にどのように影響を与えるのか、業務が変わるのかを考え、オンライン資格確認の動向を見守っていく必要があります。

国民の健康づくりに向けたPHRの推進

近年、注目を浴びている単語に「PHR(Personal Health Record)」があります。明確な呼称はまだないですが、「生涯型電子カルテ」と呼ばれることが多いです。個人における健康・医療データは検診センターや病院、薬局等々に散在している現状があります。それらと個人を結び付け、1つのアクセスポイントから確認することができるようなデータ作りをいま目指しています。こちらは「国民の健康づくりに向けたPHRの推進に関する検討会」が行われています。

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PHRは、すでに欧州を中心に積極的に導入されている仕組みで、日本は後発国といえます。国民IDの発行、データの共有化・集約化には国民の理解と協力が必要です。データ統合のキーとなる国民IDについては、日本ではマイナンバーカードがありますが、普及率は16%(2020年7月)に留まっています。個人情報の取扱いには賛否あるところなので、取り上げませんが、国民ID(マイナンバー)をキーとしたデータ医療データ統合「PHR」作りをいま進めていることを知っておかなくてはいけません。

「どこでもMY病院構想」覚えていますか?

PHRという言葉が日本で出だしたのは2010年5月「新たな情報通信技術戦略」(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)当たりではないでしょうか。

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当時はセンセーショナルな内容だったと記憶していますが、いつしかその言葉は聞かなくなりました。現在もあまり情報が残っていない所を見ると、忘れたい過去なのかもしれませんが、今回名前を変えて再登場をしたということです。

今回のまとめ

今回はオンライン資格確認の背景にあるビジョンを少し見てみました。オンライン資格確認の説明などを見ると「受付事務作業の軽減」「資格確認の簡略化」などあまり関係がないっと感じている方も多かったのではと思いますが、保険番号(さらにいうとマイナンバー)というアクセスポイントを元に色々な情報を結び付けてPHRを作成していくという大きな絵を見ることができるのではないでしょうか。

ではそれらが、私たちにどのように影響をして行くのかについては、またこれからまとめて行きたいと思います。

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