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Theme 6: 検査(全3話 その1)

examination

医師/精神分析家(慶應義塾大学環境情報学部)
岡田暁宜(おかだ・あきよし)さんが綴るワンテーマ・エッセイ
《ぼくたちコロナ世代》避密ライフのこころの秘密
1: マスク~2: 検温~3: 消毒~4: 自粛~5: リモート と進んできた“ぼくコロ” そろそろ折り返し地点かもしれませんね


1/3 PCR検査と出会うまで

 コロナライフにおいて、コロナ感染の検査法であるPCR(核酸増幅法)という言葉は有名になったように思います。私が医師になった頃には、ウイルス感染の検査には、CF(補体結合反応法)、NT(中和反応)、EIA(酵素免疫法)、FA(蛍光抗体法)、ELISA(酵素結合免疫吸着法)などの抗体検査がおこなわれていました。

 ウイルス感染の抗体検査に関連して、私は医師として2年目に、ある田舎の病院で働いていたときのエピソードを思い出します。
 ある日、私は、熱発、上気道炎症状、関節痛などの症状から、「自分は何らかのウイルスに感染している」と診断しました。自分がどのようなウイルスに感染しているのか? という単なる学問的な関心から、私は疑わしいと思われる、いくつかのウイルス検査を外注で実施しようとしました。その検査伝票をみた臨床検査技師の先生から、検査費用が高額になり、保険診療で対応できないことを知らされて、私はやむなく検査を断念しました。
 大学病院で研修を受けたこともあり、私は、病気を疑ったら徹底的に検査するのが望ましい、と当時は思っていました。そのときの体験から、「臨床検査には費用がかかる」ということ、そして「臨床的に意味のない検査はしてはいけない」ということを私は学びました。その後、病院では、必要な項目だけを選択する目的別の採血セットが増えていったように思います。

 その後、私は内科臨床から離れて、ウイルス抗体検査への関心はなくなりました。ところが2000年代の始めから、キャンパスヘルスの仕事に携わるようになり、私はPCRという言葉に触れました。
 それは、学生の定期健康診断の胸部レントゲン写真で結核が疑われるケースが発生したときでした。1997年に結核の罹患率が43年ぶりに増加し、1999年に厚生大臣が結核緊急事態を宣言した後でもあり、その当時、結核はキャンパスヘルスのトッピックでした。結核の診断は、以前は塗抹染色や分離培養が中心でしたが、結核菌のRNAをDNAに変換・増幅するPCRという方法は、高い検出率と迅速な診断が可能であり、その当時、私はPCRをとても頼もしく思いました(現在ではQFT検査という免疫検査もありますが)。

(Theme 6:検査 次回につづく)


ウィルス感染の検査にもいろいろあるのですね~
難しい。。。検査名が覚えられないです。。。

あまりにも有名になった「PCR検査」も実際に結果がでるまでに
どんな風なことが行われているかも、まだ想像すらできません。
言葉として身近なようでも実際の詳しいことは
全く分かっていないことって、たくさんあるんでしょうね。
「知は力」になりますが、一方で「知らぬが仏」とも言います。
このコロナライフではどちらを選びましょうね~

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