経営者の方へ

経営者という立場は本当に大変です。
私自身、会社経営の入口に立ってみて、その大変さが身に染みてわかるようになりました。
自分しか会社で働いていないならもっと気楽なのでしょうが、従業員がいることの重みは想像をはるかに超えるものでした。
雇われるって、なんて気楽なのだろうと思いました。

正直日本の法律が恨めしいと感じたりもします。
売上が立たなくても従業員の雇用は守らなければならない、役員報酬は気軽に変えられない、利益がたくさん出たら出たで税金で回収されてしまう、会社が苦しくなるルールばかりで、どうやったら良い経営ができるのか、私にはまだよくわかりません。

従業員の働きやすさを大事にしたいと思っても、経営者のおかれている環境では、従業員を大事にする余裕がなかなか持てないものだと感じています。
従業員の給料を払うことはけして楽なことではありませんから、その分ちゃんと働いてくれているのだろうか、ということが気になるのはむしろ自然なことです。
それがハラスメントのような圧になってしまうのはもちろんよくないのですが、経営者のこうした苦しさをわかってくれないように感じたら、強く言いたくなってしまう気持ちもわかるなと思います。

それに、従業員は労働時間が管理されていて、時間外の勤務になった場合は時間外手当まで付きますが、経営者には何もありません。
従業員がやりきれないことを経営者が引き取ることも少なくないでしょう。
自分の休みを削って働いて一生懸命稼いで、それを従業員の給料にしていく、なんてしんどく報われない仕事なのだろうと思います。

大きな会社の経営者はまた視点が違うのかもしれないですが、零細企業の経営者の方の多くはこうした苦しさを感じているのではないかと思います。
本当に苦しい。

それでも経営という仕事を選んだのはなぜか。
ひとそれぞれいろいろな思いがあるでしょう。
経営に追われていると、その気持ちを思い出す余裕もないと思うので、時々思い出して初心に帰ることが自分自身の心の安定にとって大事なのかもしれないと思います。
私自身は、会社を守ろうと思いすぎるとよくないプレッシャーを自分にも周りにもかけてしまいそうなので、会社を立ち上げたときの志をただ一心に達成することを目指す気持ちでいられるように、と思うようにしています。

経営者は孤独です。
この苦しさをわかってくれる人は身近にはなかなかいないでしょう。
話せる相手がいない人もいるでしょうし、話しても本当の意味で理解してくれる人は少ないのだろうと思います。
その中で、いかに自分自身の心の安定を守っていくか、これは経営課題と言ってもいいくらい重要なテーマだと私は思います。
なにせ、経営者が倒れたら会社は終わりです。
中には助けてくれる従業員もいるでしょう、ですが、会社の危機的状況に陥ることは零細企業であればおそらく間違いない。
体の健康も大事ですが、心の健康も同じくらい、いえ、それ以上に大事です。

私も時々経営の見通しの立たなさに不安を感じて夜眠れなくなることがあります。
どんなに考えても明るい光なんて全然見えてきませんが、それでも頭から離れない。
きっと多くの経営者の方がこうした経験をされているのだろうと思うと、本当に頭が下がりますし、心配にもなります。
私は心理の専門職ですので、こうした時の自分の対処法をそれなりに持っていますが、そうではない方々はどうやってこの不安やプレッシャーとつきあっているのだろうと思います。

ちなみに私の対処法は、
・瞑想する（『Intrip』というアプリの有料版を使っているのですが、肩の力が少し抜けることが多いです）
・運動する（運動は苦手なのですが、体を動かすと頭がすっきりして少し元気が湧いてきます）
・カウンセリングにいく（師のところに定期的に通うようにしていますが、行って話すと少し気持ちがほっとして、少し自信が復活して、また頑張ろうと思えます）
・会社のメンバーに話す（会社のこれからのことを一緒に考えてもらうことで、一人じゃないんだと思えます）
・神社にいく（自然に囲まれた環境に身を置き、お参りをし、おみくじを引くことで、今の状況を少し距離をもってみられるようになることも多いです）
・どうしても経営が厳しくなったら会社をたためばいいんだ、と自分に言い聞かせる
という感じです。

こうした苦しさを感じていらっしゃる経営者の方のお力になれたらと思っています。
誰かに話すことで、少し気持ちがほっとできたり、視野が広がったりすることがあります。
カウンセリング的にお話をお聞きすることもできますし、会社の状況をお伺いしながら、同じ経営者の立場として、そして少しだけ経営学を学んだ人間として、これからどうしていけると少し安心して経営していけそうかということを一緒に考えることもできます。

会社と従業員を守るという責任とプレッシャーを抱えながら孤独に戦っている経営者の方が、安心して自分の本音を吐露できる時間が提供できたらと思っています。

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