見出し画像

従業員と企業の関係性が根本的に変わる アクセンチュア流「働き方改革」を読む

アクセンチュア社が「働き方改革」に挑んだプロジェクト・プライドという2015年からの取り組みを江川社長自身が書かれています。とても良い本でした(^^)b

組織は変わり得る。

激務で終電が当たり前(むしろそれが誇り)という風土だったアクセンチュア。2017年には残業時間は1人あたり平均1時間にまで減り、離職率は1/2以下、有給取得率、女性採用比率も上昇。

しかも、業績も50%以上成長しているとのこと。当たり前を当たり前に「やりきる」ことの威力を見せつけてくれます。

改革のフレームワークや方法論、そして実際の手法が(サーベイ項目や、社長からのメッセージメールの文面まで)具体的に載っているので、What(何をやるか)の参考例として、とてもありがたい。しかしこの辺はアクセンチュアなら当然得意だろう、期待どおりとも言えます。

白眉は「働き方改革」のWhy(何のためにやるのか)とHow(譲れぬ一線)を考え抜いていること。

従業員と企業の関係性が今後は根本的に変わるという認識をもつ必要があります。すなわち、これまでの「企業は自社のミッションを達成するために必要な人材を雇用する」というモデルは、「企業は働き手が自分自身のキャリア・ビジョンを達成しうる場か否かという観点で選別される」というモデルへ抜本的な転換を余儀なくされるということです。(p158)

単なる「早帰り運動」ではない、と江川社長は繰り返し発信します。

アウトプットはアクセンチュア品質を保ち(または向上し)ながら、自己成長やプライベートの時間を創り出せるように、個人やチームが生産性を高めること(p68)
仕事が終わっていなくても6時に帰るという単純は話では決してありません。(中略)非常に難しいことを皆さんにお願いしているつもりです。(p69)

改革の先に目指すのは「会社生活と私生活の最適バランスにより、両者のシナジーを促すことで社員が本来もっているスキルや能力を120%引き出す」こと。

そのため十分条件はまだ明確にはわからない、とした上で仮設を2つ挙げてくれています。

1.会社生活と私生活の両面を通じて「豊かさ」がキーワードになるのではないか。心の豊かさを惹起し醸成できる企業かどうか。

2.トップのリーダーシップの在り方、経営者の世界観が問われる。いかに優れた人材を鼓舞できるか(インスピレーショナル・リーダーシップ)。

私が勝手にイメージしていたアクセンチュア社は、もう過去のものなのかも知れません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?