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日本が誇るドラマの最高峰「JIN-仁-」

おすすめ名作ドラマと言われたら、私は間髪入れずに「JIN -仁-」と即答するだろう。コロナ禍の始まりの2020年再放送され、再度話題になったことも記憶に新しい。せっかくnoteにおすすめ名作ドラマとあるのだから、(前にも語ったような気がするが・・・)満を持して「JIN -仁-」の魅力について語ろうと思う。


「JIN-仁-」とは?

何事にもまずは定義から。概要を改めてまとめてみる。

ドラマ「JIN -仁-」とは、漫画家・村上もとか氏の同名漫画を原作としたドラマであり、現代の脳外科医・南方仁(みなかたじん)が幕末の江戸にタイムスリップするというストーリーである。そこで満足な医療器具や設備がない江戸で懸命に命を救おうとする仁の姿に、市井の人々や坂本龍馬をはじめとした歴史上の偉人たちが影響を受け、次第に仁自身が歴史の大きな渦に巻き込まれていく、というものだ。2009年秋クールに放送されると、最高視聴率は25.1%を記録し、国内外のドラマ賞33冠に輝いた。その大反響に応える形で2011年春クールに完結編が放送され、最高視聴率26.1%を記録し、ドラマは幕を閉じた。その後、コロナ禍で再放送された際にも大きな反響があった、大ヒットドラマである。

以上が前置き。テレビをあまり見ない筆者だが、このドラマだけは本当に大好きで、約10年前の日曜日21時、リアルタイムで欠かさず見ていた。全国民に見てほしいドラマである。

ここから本題である「JIN -仁-」の魅力について語っていく。

其の一:キャスト・スタッフによって、徹底的に作り込まれた世界観!

とにかく全ての役者がその役を生きているかのようにハマっていた。南方仁を演じた主演の大沢たかおさんは、手術シーンをすべて吹き替えなしで行ったという(参考:ドラマ「JIN -仁-」DVDメイキングより)。それも、縫合のシーンで手元アップの時でさえ吹き替えなし。また、ドラマに登場する美しき花魁・野風の達筆な字も、全て演じた中谷美紀さんによる自筆。更には、病気でやつれた状態を演じるべく、大沢さんはじめ多くの役者が大幅に減量して撮影に臨んだそうだ。

また役者ばかりでなく、時代考証、医療交渉も踏まえて、ドラマ全体が徹底的にリアルに作りこまれている。江戸時代の時代考証はもちろん、医療道具も、「実際に江戸時代にあった材料で作ったとしたら?」という設定で作られていたそう。特に、仁のオペシーンはリアルさ満点。他の医療ドラマ顔負けのリアルさを、「JIN -仁-」ではやってのけているのだ。

ドラマという虚構の中で、キャストとスタッフの「本物」志向が、見るものを江戸時代へ、命の物語へと引き込んでゆく。

其の二:脚本家・森下佳子氏による、胸を打つ名言の数々!

ドラマの核とも言える脚本。「JIN -仁-」の脚本を担当したのは、人気脚本家の森下佳子氏。森下氏が紡ぎ出す劇中に出てくる言葉は、まさに珠玉の名言ばかり。2011年のドラマ放映時には東日本大震災が、2020年の再放送ではコロナ禍という背景があった。そんな時代の中で、「JIN -仁-」の言葉の数々は静かに、しかし強く胸を打つ。以下にほんの少しだけ紹介しよう。

「神は乗り越えられる試練しか与えない」

(ドラマ全編のキーワード)

私たちは、当たり前だと思っている。
思い立てば、地球の裏側にだって行けることを。
いつでも、想いを伝えることができることを。
平凡だが、満ち足りた日々が続くであろうことを。
闇を忘れてしまったような夜を・・・。

(第一話)

「これまで手術を成功させてきたのは、俺の腕じゃなかったんだよ。今までだれかが作ってきてくれた、薬や技術、設備や知識だったんだ。そんなものをなくした俺は、痛みの少ない縫い方ひとつ知らない、ヤブだった。」

(第一話)

正直で、己を大きく見せることはしない。
けれど、己のなすべきことに対しては、あらん限りの努力をする。
あなたの器はきっとそう大きくはない。
しかし、とても美しいのでしょうな。
それが故に、周りの人間は、助けたい、守りたいと思う。

(第八話)

きっと、思う以上に美しいはずなのだから。
人生は。

(最終話)

やることはひとつだ。
全力で今を生きる。自分自身の志を持って。
この時代の明日を変えていくんだ。

(完結編 第三話)

「だけど、この時間には長さでは語れない命の意味がある。残された時間を輝かせるという、医療の意味がある。」

(完結編 第五話)

暴力は、暴力を生むだけなんです!

(完結編 第六話)

「当たり前のこの世界は、誰もが闘い、もがき苦しみ、命を落とし、勝ち取ってきた無数の奇跡で編み上げられていることを、俺は忘れないだろう。そして、さらなる光を与えよう。今度は俺が未来のために。この手で。」

(完結編 最終話)

脚本家が紡ぐ言葉の力は、ドラマが持つ力でもあると思う。


其の三:医療ドラマであり、時代劇であり、ヒューマンドラマ!

なんと言ってもドラマの内容が素晴らしいから、人々に大きな感動を与えるドラマだったから、10年以上経っても多くの人々に愛されるのだろう。
「JIN -仁-」は、医療×時代劇という異色のドラマだからこそ描ける、今ここにある命の尊さ、愛おしさを感じられるドラマではないだろうか。その根底にあるテーマは、「先人への敬意」であると筆者は思う。
私たちの先祖が精一杯その時代を生きたからこそ、今の私たちと、今の社会がある。
だからこそ、今度は自分たちが精一杯生きて、未来に光を与える番
だと。

仁が江戸にタイムスリップする状況は、
東日本大震災で、
コロナ禍で、
今までの当たり前が根底から覆る状況と図らずもリンクする。
そんな状況で、これから私たちはどう生きるのか。
生きるということを突き詰めた、見た人の記憶に永遠に生き続けるドラマであることは間違いないだろう。

そして、私はこのドラマをリアルタイムで見て、決意し、医師になった。
このドラマは私にとって、唯一無二の宝物なのである。

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