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自分で名づける名前

私のペンネーム「新出孤蝶」は、実はかなり思い入れのある名前である。
私の本名は、両親が様々な思いを込めてつけてくれた名前なので、その名前と同じくらい、ペンネームとして思いを込めた名前を自分につけようと思ったのだ。

名字「新出(にいで)」は、プロフィールにも書いてある通り、「赤ひげ先生」こと「新出去定(にいできょじょう)」から取った。
「赤ひげ先生」とは、山本周五郎の小説「赤ひげ診療譚」に登場する医師である。 自分や仲間の医師にはとても厳しいが、患者のために全力を尽くす医師であり、良医の代名詞の一つとなっている。
全くの余談だが、名探偵コナンに登場する新出(あらいで)先生という医師は、この新出去定(にいできょじょう)から取ったのではないかと思っている。

そんな赤ひげ診療譚、読んでみて驚いたことに、全く昔のこととは思えない。
設定は確かに江戸時代なのだが、病の背景には社会的要因があるということを、すでに赤ひげ先生は指摘していた。
そして、医術の限界と生命への畏敬を忘れることなく、貧困と無知から来る病と闘っていた。
赤ひげ先生は、おそらく日本の家庭医の先駆けなのだろう。
社会背景に目を向けるということ、医術の不足は社会的処方で補うという考え方は、何とも古くて新しい。

そして、私が赤ひげ先生の言葉で特に印象に残っている言葉がある。
「温床でならどんな芽も育つ、氷の中ででも、芽を育てる情熱があってこそ、しんじつ生きがいがあるのではないか。」

そんな「赤ひげ診療譚」を読んだある日、「にいできょじょう」という音を反芻していて、唐突に「にいでこちょう」という音が頭に浮かんで離れなくなった。
自分が文章を綴るとしたら、絶対にこの名前を使いたい、そう思った。

さて、「こちょう」にはどんな字を当てようか。
当然、「ちょう」は大好きな「蝶」にしよう。でも「こちょう」に「胡蝶」はありきたりすぎやしないかな。
そんな時に、浮かんだ言葉が、「バタフライ・エフェクト」。
「かすかな蝶の羽ばたきが、地球の裏側で嵐を巻き起こす」という、ドラマ「JIN -仁-」に登場するフレーズである。
そして脳裏に蘇る、一匹の蝶が羽ばたく「JIN -仁-」のワンシーン。
「こちょう」は孤独の蝶の「孤蝶」にしようと、すぐに決まった。

どんなことがあっても、自分ができることを精一杯やって、生きがいを持って生きていく。それが願わくば、誰かの役に立ち、未来につながっていきますように。
私が自分で名付けた名前には、そんな私の生き方への思いを込めている。

やっぱり自分のアイコンなので、自分で描いてみたくなり描いてみた。 
幸せを呼ぶ青い蝶「ユリシス」ことオオルリアゲハである。

#名前の由来 #赤ひげ #JIN仁 #青い蝶

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