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【LDLバディ対談】木下所長のオススメnote記事(垣本さん)

LDL(Locally Driven Labs)とは、約20年にわたって全国各地で経営とまちづくりに取組んでいる木下斉さんが所長として立ち上げたラボです。私は、えぞ財団でご一緒している木下さんに「四宮さんは稼ぐ地方について勉強したほうがいい!」と直にご紹介いただいて、色々勝手がわからないまま参加して、木下所長だけではなくここに参加する「まちの実践者」の皆さんから学びを得ているところです。
詳しくは以下の記事をぜひご参考にしてください。

8月の私のバディは垣本さん

7月からLDLメンバーでバディを組み、お互いのやっているプロジェクトについてなど共有したりする仕組みがスタートしました。
8月中は忙しくて対談の日程が取れずでしたが、せっかくのご縁ということで9月2日18:30からZoomで繋いで対談スタート。
垣本さんは私よりも前からこのLDLに入っていたので、冒頭は色々と仕組みとか活用の仕方とかを教えてもらいました。

垣本さんの簡単なプロフィール
本業は鳥取市内の通信系製造業でタブレットの開発。
夜はほぼ毎日閉校した隼小学校を活用した隼ラボにてその他の仕事をこなししています。地域の活動は以下の通り
・鳥取県ケータイ・インターネット教育推進員(学校などでスマホの使い方の講演の講師)
・360度カメラなどを使ったVRコンテンツや映像制作(地域での仕事づくりとして実験中)
・ランニングイベント、歴史を学ぶイベントなどの企画運営(地域での仕事づくりとして実験中)
LDLスキルシートより引用

 垣本さんのオススメnote記事は?

今回のバディのお題は「木下所長のオススメのnote記事」ということで、お互いに1つずつslackにて共有しておき、それについてお話を進めました。
垣本さんが選ばれたnoteはこちら

この記事は、垣本さんが木下さんのLINEオープンチャット「稼ぐまちの駆け込み寺」にいわゆる「箱もの建設課題」を相談したことから執筆されたものとのことでした。
LDLに入ると、木下所長の有料記事もほとんどが見ることができます。
ただこの記事は少し古かったため有料でしたが、垣本さんが経験された庁舎建設等検討委員会での奮闘をお聞きしたら「ここから有料」となっていても、それだけの価値ある内容であることは間違いないと購入して拝読しました。確かに納得することしか書いてない。
LDLは現在もすごい量で執筆されている木下さんのnoteをほぼ見ることができますので、それだけでも参加する価値があると思います。

町の新庁舎建設について議論を尽くすための奮闘

垣本さんは住んでいる八頭町の新庁舎建設は第1回、第2回の検討委員会を経て、「新庁舎の建設は将来の財政運営に対する影響が大きいため、補強工事などを行い施設の長寿命化や保全費用の削減等に努め、庁舎の更新等に関する検討は耐用年数経過時等適切な時期に判断すれば良い」という結論が出ました。公共施設マネージメントの考えを学ばれた垣本さんが、「公共施設白書」や「公共施設等管理総合計画」などの資料をもとに、財政への影響についてデータを提示して議論された経緯もあり、皆が納得いく形で決定したというご認識だったとのことです。
にもかかわらず、わずか数年で再度検討委員会が立ち上がったとのこと。
私は「利権か何かで建設を求める人がいるのかな?」くらいの想像でしたが、新庁舎建設検討会が三たび立ち上がった本当の理由を教えてくれました。

それは八頭町が3町合併を行った町であり、当初は維持管理費が財政を圧迫する試算などによる新庁舎の先送りだったものが、この合併によって確定した地方交付税が財政を改善させたり、合併特例債の70%が交付税措置となり、一般財源では30%負担であるということとなったことから再び新庁舎建設について検討が上がったようです。
この説明から「これが最後のチャンス」とばかりに検討委員会でも垣本さん以外の全員が新築賛成にな
ってしまったとのこと。これだけ聞くと私も「市民負担は少ないみたいだし、この機会に新しくなるのはいいことでは?」と考えてしまうかなと思いました。
最初に思った「利権かな?」なんてことではなく、みな「子供たちに新しくて綺麗な施設を残してあげたい」という思いがあり、「将来のため」を考えてのことなんだなと、決して悪代官がいるような話ではないということを理解しました。
垣本さんも「子供達のために」と、新庁舎建設に慎重になるべきと思っておられます。新築賛成派も反対派もその「思い」は一緒なのですよね。
ただ、違いはその「目先」のお金だけではなく、長期的な負債についてしっかりと考え検討することが必要と考えてた点で、議論がより複雑に絡み合っていったのだと思います。

新庁舎の負債は誰のもの?世代間ギャップを埋めた取り組み

奮闘記については、実は垣本さんがnoteをしたためられておられるので私がここで書くよりも、ご本人の記録と感想が皆さんにより伝わると思いますのでぜひ公開を楽しみに待っていてください。

オススメしていただいた木下所長のnoteの内容の中で、垣本さんが経験されたからこそとても強く感じられたことに、私もとても共感しました。

正義の反対は別の正義。
「地域衰退を招く世代間の時代認識をいかに埋めるか〜世代間ギャップの合意形成の要点〜」
より

垣本さんがこの検討会で粉骨砕身されたのは、同じ町に住みながらも全く違う時代背景に生きている人たちの議論に大切な、「丁寧に説明をして認識合わせを行なっていくこと」なのだとお話をしながら思いました。

「正義同士の対立」だから「対立の構図」にならないようにすること
「子供たち、孫たちに向けて」という「より上位」で合意すること
「分かっている者の責任」として、細かな説明をして認識あわせをすること

私の活動する釧路でも今議論に上がっているのは、釧路駅の老朽化から高架建設についての話が進んでいます。行政は新築に向けて住民説明を進めており、住民側から反対意見が出ているとしても垣本さんほどデータを示されているかは不明です。
私も2022年3月に改訂された「釧路市公共施設等総合管理計画」があることを知り入手したので、数字をしっかり見てみたいと思います。
子供たちの未来に向けて、本当に必要なことはなにか、これを考えて議論をできるようになりたいなと垣本さんから学びました。
垣本さんは議論の末、委員会報告は皆が納得いく形でまとまったとおっしゃっていました。上の世代を「老害」と遠ざけるのではなく、「より上位の合意形成」といった未来志向での解決方法を書かれた木下所長のnoteと、そして垣本さん自身のご経験をご紹介いただけてとてもよかったです。

まさかの鳥取繋がり!雑談も盛り上がり2時間の対談

バディ対談って、全然勝手が分からないしちょっと大丈夫かな?って不安だったのも最初だけで、垣本さんが長年PTAをやってきたというお話しから、私も現在高校のPTA副会長をしていたりして、親近感が沸きました。
余談ですがPTA役員ってみなさん嫌がるかもしれないのですが、中に入ると色んなことが学べて子供達のことをちょっと特別に知ることもできてやってよかったなって思いながら活動してます。楽しいですよ(笑)

そして、私は北海道釧路市のなんと「鳥取」という名の地域が地元でして、これは鳥取藩士が入植して開拓し、「鳥取村」を作った歴史があるからです。そんな私の出身校は「鳥取西小学校」
垣本さんのお嬢さんも「鳥取西」とつく学校出身とのことで盛り上がり、私の小学校の運動会では鳥取県の「しゃんしゃん傘踊り」を踊るんですよと盛り上がり、本当にいろんな話をさせてもらいました。

隼ラボの話から始まり、多岐にわたるお話の中、気がつけば2時間もおしゃべりしてた2人です(笑)さまざまなお話をする中で、まちづくりの活動について、最後に垣本さんがこうおっしゃいました。

たとえば、若桜鉄道ガイドランナー(若桜鉄道というローカル線の始発駅から終着駅まで沿線のガイドをしながら走るランニングイベントは今年で7年目)というのをやっているんですが、始める時は僕が楽しくて1人で始めたんです。そこに面白がって人が集まってきて広がっていってる。
ただそれがもし人が集まらなくなっても、最初に僕が楽しいと思って始めた時に戻って続けるだけ。失敗しようがないんですよ。

ああ、私も「自分が楽しい」と思ってやり始めたことは、ブレずに1人でもやり続けていくことを大切にしなきゃ!と改めて思いました。
垣本さん、お付き合いいただきありがとうございました!



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