めだからいふ
めだかと暮らし始めて3年を迎えようとしている。
2年前に書いた記事「めだかのbaby」では、赤ちゃんめだかを成魚に育てられない嘆きのルーキーな私も、めだかと共に成長を遂げ、穏やかに育てられるようになった。しかしまだ乗り越えられないこともある…
水換えをした水の中にめだかを戻す際、一匹だけぴちっと跳ねて水の外に飛び出てしまった経験が二度。どうしたらいいのかわからず慌てふためき、一度はなんとか網ですくい上げ、また一度は夫を呼んで水に戻してもらった。そう、私はめだかを手で持てないのだ。小さなめだかを傷つけてしまいそうでこわい。とはいえこの先、網もなく夫もいない絶対絶命のピンチを迎えたら…?勢いに任せて手で掴むイメトレに励むか。いやいや待てよ、まずは飛び出さないように細心の注意を払おうか。めだかサイドも人間に触られることなど願っていないはずで、手で掴むイメトレなどしてくれるなと言うに決まっている。
1年、また1年とめだかとの生活にも慣れ、彼らが元気に泳ぐ姿を見れば元気をわけてもらえる癒しの存在になった。毎朝の餌やりでは、スイスイスイーっと水面まで上がってくるのが愛らしい。彼らのお目当ては私ではなく餌、そこは百も承知で愛らしい。もっと言うとベランダのドアを開けただけで、水の中から音や声こそないけれど「あの人出てきた!もらえる!もらえる!」と動き回って騒いでいるのが見て取れる。愛犬を散歩に誘った時のはしゃぎっぷりに似ている。自分の登場をこんなに歓迎してくれる生命体の集団がいるだろうか。家族も帰宅した私をこんなにキャッキャ迎えてくれることはない。だから尚更めだかを愛らしく感じるのか。当初は仕方なーくお世話を始めたのに、今ではすっかりめだかの母さんである。
うちにいるめだかの色は白、黒、オレンジだった。しかしふと気付くと、どうした事かオレンジチームが皆かなり黒寄りのオレンジになっている。ボディの色が変わるものなのか、日焼けしたのか?真夏はすだれを掛けているが、夏前までは日光をしっかり浴びているせい?色の変化が彼らの健康に影響がないことを願う。
1,2年目の冬。めだかたちは体力温存とばかりに水の底でじっとしていて、餌をほとんど食べなかった。めだかを譲ってもらった人からもそういうものだと聞いた。それが、今年は何か違った。まだ寒い2月でも餌を撒けば、一匹また一匹と、水面まで上がって来てはパクパク食べていた。彼らが寒さを克服してタフになったのか、水温が例年よりも暖かかったのか、はたまた彼らが単に食いしん坊になったのか?真相は水の中。ブクブクブク…
時には悲しい別れもある。昨日はみんな元気に泳いでいたのに、沈んでいる子がいたり浮いている子がいたりする。通常めだかの寿命は2〜3年、長くて4〜5年と言われている。寿命を全うしていそうな場合は「お疲れさまでした、うちに来てくれてありがとう」そうお礼を言ってお別れをする。
また、明らかな病死は実に悔いが残る。泳ぐ姿に異変を感じて病気に気付くも、見守ることしかできないまま死を迎えると歯痒くて心苦しい。白カビ病の時は、一匹のめだかにモサモサした何かが付いているのを発見し、どうしたらいいのかわからずネット検索して見つけた治療法「隔離して塩水浴」を試した。0.5%の塩水(水100cc:塩0.5g)に2日ほど泳がせたところ、モサモサのカビが取れて喜んだのも束の間…尾ひれが一緒に取れたものだから、上手く泳げず徐々に餌を食べられなくなり衰弱。一ヶ月と経たずに旅立ってしまった。なんともちっぽけな人間、自分の無力さを痛感する。他に何をしてやれたのかと考える。その虚しさを子どもたちにこぼしてみても「へ〜大変だったね。それで、今日のおやつなに?」と他人事。え、君たちが飼いたいと騒いだから飼うことになったんですけども?
出会いと別れを繰り返し、めだからいふは続くのであった。
【 唐突に豆知識 】
めだかは英語で「killifish」と言うそうです。「kill」とは無縁で穏やかなイメージだけど、実は凶暴魚!?なーんてことはもちろんなくて、この場合の「kill」は「水路」とか「小川」とか「流れ」を意味するそうです。他にも「japanese rice fish」とか「japanese medaka」とも言うそうです。