イサム・ノグチ 発見の道:5 /東京都美術館
(承前)
ここでいう素材への “敬意” とは、石の石としての成り立ちや歴史を踏まえようとする姿勢ともいえる。
「残念石」の話は、さかのぼってもせいぜい江戸時代。しかし、それが石材になる前、石が石となるまでには、はるかに数万年単位もの時間を要している。われわれはその事実をともすると忘れがちだが、ノグチはきっと、こういった悠久の時間を含めて形にしている。
石としての「過去」を踏まえ、作品としての「現在」をつくったノグチ。
その上に積み重なっていく「未来」――それを物語る