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好きなアルバムの話①      Talking Heads「Remain in Light」

どうも、Kobopです。
好きなものの話をしよう、ということで好きなアルバムの話をします。
いや、させてください。

Talking Heads(以下、トーキング・ヘッズ)ですね。1975年結成、1991年解散、アメリカのバンドです。
大好きです、このバンド。とにかくリズムが良い。最初の方はパンクのサウンドでノリが気持ちよく、自然と肩や首が動いてしまう。そんな感じの音楽だったのが、アフロ・リズムなるものを取り入れたことで、さらに軽妙で不可思議なサウンドになります。ロックとワールドミュージック、そして電子音楽と、音のレイヤーが多層的で面白いです。そんな印象。
今回語りたいのは四枚目のアルバムである「Remain in Light」です。このアルバム、すごいです。初めて聴いた時は、音のサンプリングかと思うほどに種類の異なる音楽が鳴り響き、曲として面白いほどに成立していることに驚きました。なんだこのアルバムはという衝撃と、約40年前のアルバムにもかかわらず、聴いた時の新鮮さは忘れられません。


「Remain in Light」(1980)

1.「Born Under Punches (The Heat Goes On)」
開幕、「アアッ!」雄叫びとともに音の洪水が流れ込んできます。デヴィッド・バーンの少しリズムを外す歌い方に、いきなり摩訶不思議な音の世界へと引き込まれていきます。一定のテンポで首を振るリズムが流れ続け、壊れた機械から鳴り響くような電子音が、この曲の「不思議感」を高めているように感じます。バーンは叫ぶように、そしてサビでは落ち着きを持って歌います。一見ちぐはぐのように思えても、最初から最後まで一貫して統制された見事な曲ですね。

2.「Crosseyed and Painless」
アップテンポ。やっぱりリズムが最高ですね。気持ちの良いサビ、歌いやすいです。決してボーカルが主張しすぎず、曲を支えている音を存分に堪能させてくれます。ささやきのようで心地の良いバーンの歌声が聴けつつ、間奏や後半ではしっかりと不思議空間へ誘ってくれる。素晴らしい!

3.「The Great Curve」
曲が進むごとにテンポが早まりアルバムとしての躍動感が良いですね。曲全体の温度が高く、裏の歌声が気持ちいいです。そして何と言ってもギターが光ります。天までつんざくようなギターソロ。さらに裏で鳴る打楽器。この曲を聴いて、ロックと打楽器の融合がこうも面白い化学変化を生み出すのかと衝撃を受けました。

4.「Once in a Lifetime」
最早殿堂入りでしょう。一人で語っているようで、聴き手に投げかけているような、そんなバーンの歌い方に魅了され、「Once In a lifetime」と人生を賛歌するようにサビに入ると声に厚みが増し、とにかく聴いていて圧倒されます。晴れ渡るようなサウンドとリズムで自然と体に力がみなぎってくるほどのパワー。それでいて、電子音楽によってどこかフワッとした印象を与えてくれるのも好きです。MVも面白いですね。


5.「Houses In Motion」
再び不思議空間へ放り込まれます。うねるようなサウンドと力強い歌声。
そして間奏で像の鳴き声を奏でるギター演奏(わけがわかりません)が出てきます。リズムが統制されているので、良い意味で意味わからん音が鳴ってもきちんと曲に落とし込めることができるだけのセンスを持ったバンド。末恐ろしいです…。

6.「Seen and Not Seen」
神秘的ですね。音が横を通り過ぎていきます。自分が今どこか知らない空間に迷い込んでしまったかと思う、そんな印象を抱かせるサウンドと、つぶやきのような、奥底からささやきかけてくるような歌声で、非常に夢心地な気持ちにさせてくれる曲です。

7.「Listening Wind」
もやがかかったような感覚になります。深い森に足を踏み入れ、先の見えない道なき道をひたすら手探りで進んでいく、そんな情景がありありと浮かんできます。落ち着き払った歌声が、この曲の神秘的な印象を一層強めているように感じられます。

8.「The Overload」
最後は不安さを孕んだ曲で締めます。ギターやピコピコ鳴る電子音は鳴りを潜め、終始スローテンポで、少し怖い雰囲気の歌声で進んでいきます。ズシンと重厚感のあるサウンドが歪みながら不穏な空気を生み出し、このアルバムは終わりを迎えます。こんなの聴いたら、そりゃ印象に残りますよね。



ここまで読んでくださりありがとうございました。
前半と後半の落差がすごいアルバムですが、トーキング・ヘッズの音楽性の両極のようなものが味わえて、とても面白いアルバムですね。
この記事を書くにあたってアルバムを聴き直しましたが、何回も聴いているはずなのに新しい気づきがあったりと、まだまだ色々開拓できそうな作品だと思いました。最近トーキング・ヘッズのライブ映画「ストップメイキングセンス」が話題ですが、ほんとにめちゃめちゃ素晴らしい作品なので、未見の方はぜひ一度映画館に足を運んでみてください。


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