見出し画像

空気の力@第3回しもつけ随想

■空気の力 −娘の短冊−

「プリキュアになりたい」と幼稚園で七夕の短冊に書いたのは私の長女。プリキュアとは、幼稚園の女児たちに大人気のアニメです。通常は微笑ましく思えることなのですが、しかしながら私はそら恐ろしくなってしまいました。なぜなら、娘はプリキュアを一度も見たことがないのです。さらには別のアニメ(アイドル戦士)のヒロインになりたいといつも言っています。

これは一体どういうことなのでしょうか?聞くと別の女の子もプリキュアを見てないのに「プリキュアになりたい」と短冊に願いを込めたそうです。おそらく娘のクラスでは「女子が好きなものはプリキュアという空気」があったのだと察します。そして、その空気が私の娘たちに影響を与えたのでしょう。


■同調圧力

このように周囲の空気が意思決定に影響を与えることを同調圧力と言います。正確にいうと

少数意見を有する者に対して暗黙のうちに多数意見に強引に合わせさすこと

です。「そら恐ろしくなった」というのは、まだ幼い娘がこの同調圧力によって影響を受けたという事実に怖懼したのです。
この同調圧力は、ときとして歴史的な事件の原因になったと指摘されています。例えば、戦艦大和の沈没がその代表例だと作家の山本七平は言います。大和が本来つけるはずの護衛の戦闘機を一切つけずに沖縄へ向けて出航したことは、この空気の力、同調圧力が働いたといわれています。合理的に考えれば避けるべきであったことですら、なんとなく「こうするしかない」というその場の空気が戦艦大和の悲劇を招いたのです。
またこの同調圧力は国家によって利用されることがしばしばあります。少数意見を持つ人たちに

「君達のような意見があると、足並みが揃わなくなるから、全体に迷惑がかかる」

といって、相手に恥の意識を持たせて、コントロールしようとします。「非国民」という言葉はその結果だったのではないでしょうか?

■なんとなく・暗黙のうちに・気がつかないままに流されているワタシ

そして、同調圧力は通常無意識下で起こります。よくよく考えてみればあの時の判断は間違っていたと述懐するのは、概ねこの同調圧力下で判断を下していることが多いと言えるでしょう。

「なんとなく」
「暗黙のうちに」
「気がつかないままに」

というのは同調圧力のキーワードです。


■ボーっと生きてんじゃねーよ

さて、いま時代は大きな変化の真っ只中にあります。特に第一回でも触れたようにモノから、個人の価値や体験を重視するコトへのシフトです。多種多様な価値観を尊重する社会において、同調圧力は文化を萎縮しかねないと私は感じています。そこで同調圧力に屈しないために、大切なことがあります。

同調圧力は、無意識下、心ここに在らずのときに起こります。したがって思考を意識化すること。しっかりと自分の気づきを自分に向けて確認すること。ボーっと生きていると、いつのまにか空気によって思考が支配されてしまいます。ときどき冷水をかぶるかの如く、自己に気づきをむけることが大切です。

(2019年10月9日掲載)

画像1

※画像は、娘が愛用する「アイドル戦士」のスティック。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?