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時代の狭間で苦しむあなたへ@第1回しもつけ随想

地元の新聞(下野新聞)に連載していたしもつけ随想が年内で終わったので、
ここに残しておこうと思う。

■時代の狭間で苦しむあなたへ −死にたくなっていませんか?−

あなたは自分の人生を生きていますか?なんとなく代わり映えのしない毎日を淡々と過ごすだけになってはいませんか?やる気が出ない、なんとなく生きているだけ。生きる意味が見つからず、壁にぶつかるたびに「死にたい」と思ってしまってはいませんか?

社会が加速度的に不安定で不透明になりつつあります。いままで正しいと考えられていたこと、いままで通りのやり方が通用しなくなってきています
例えば、数十年前まではモノを求めることが正解でした。三種の神器と言われる家電を揃え、マイホームに住み、終身雇用で会社に心血を注いでいれば、その先に幸せな人生が待っていました。そして国家的スケールで見ても、モノを売って日本を世界一の経済大国にするというゴールを私たちは夢見て走ってきたのだと思います。

■モノの時代の終焉

しかし、モノに溢れたいま、私たちは果たしてかつて夢見た幸せな社会や人生を実現したと言えるのでしょうか?これだけモノを追求してきたのに自殺率が非常に高い社会になっているのはモノだけでは生きていけないことの証左のように感じます。

「乾かない世代」の登場

そしてミレニアル世代と言われる1980年代以降生まれの若い世代を見ていると、もはやモノを追求する時代ではないと気づかされます。音楽や動画は無料あるいは非常に廉価で手に入れることができます。さまざまなものがシェアされる時代になり、所有欲という願望が枯渇し、いわゆる「乾かない世代」とまで言われるようになりました。モノを求めることを動機にして生きることが難しくなってしまいました。モノをつくってモノを売るというシステムがもはや通用せず、大きな空洞がポッカリと空いてしまっているのがいまの日本の実情ではないでしょうか。それは個人の生き方にも影を落とし始めています。

■モノからコトへ

ここでいま私は、モノからコトに時代がシフトしてきていることを感じています。モノではなく、実感を伴った体験などのコトに重心がスライドしてきたのです。つまり自分自身で意味を創造し、自分が関わり、自分が直接体験することに重きが置かれる時代です。一人ひとりの「意味の創出」が求められる時代が来たと換言してもよいでしょう。しかしながら、現段階では混沌とした過渡期ゆえに、時代の狭間で悩み苦しみもがいている人が多いのではないかと実感しています。


■内面に目を向ける

最初から人生に意味があるとは思いません。私たち人間は、自己を見つめながら自分の人生に自ら意味づけをしていく存在だと思います。このような答えの見えない時代だからこそ、自分の心の声をしっかりと受け止める必要があると思います。大切なものを大切だと感じる心の余裕を意図的に確保することが重要となってきます。不安定で不透明で先行きが見えない時代だからこそ、自己を知り、自分にとって本当に大切なものは何か、心の声に耳を傾け、一人ひとりが生きる意味を探す重要性が増しているのだと私は感じています。

(2019年7月31日掲載)


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