見出し画像

江戸前探訪そのニ 浅草のどぜう鍋

昼は江戸前寿司でしたので、そこまで空腹でもなかったんですが軽くどぜう鍋でも‥ということで、夕刻時にお邪魔しました。

創業は江戸後期。埼玉から江戸に奉公に出てきた初代が飯屋を開き、店の前は浅草寺の参道になっていたこともあって当時からやくやく大変に繁盛されたそうです。

もともとは『どじやう』『どぢやう』の表記だったらしいですが、火災に遭って以来、4文字は縁起が悪いということで現在の『どぜう』の表記になったらしいです。縁起を担ぐ、まことに江戸時代らしいエピソード。

昔は今ほど魚も獲れませんでしたし(技術的に)目の前の隅田川で獲れたどじょうは貴重なタンパク源だったのでしょうね。

さて、店先の盛り塩です。

入口の両脇に置くのが一般的なんですが、こちらは入口の動線の真ん中に置いてます。諸説ありますが、こちらが正式だと聞いたことがあります。口開けのお客さんが盛り塩を蹴飛ばして暖簾をくぐる。外から見ると、お茶を引いてないか分かるわけですね。

盛り塩が崩れてないと、馴染み客が『まだ客が入ってないのかい。しょーがねえから来てやったよ』なんて、憎まれ口を叩いて入ってきた、という話を下町の住職さんに聞いたことがあります。

また、こちらの番頭さんに聞いた話ですが、開店当初は旦那衆が食事している間、引いてきた牛が店の外で水を飲み、塩を舐めていたそうで。

入口脇には、その名残の桶があります。


さて、定番のどぜう鍋を待つ間に先ずは一献。
鯉の洗いと共に。酢味噌で頂きます。

どぜう鍋が到着。
内臓処理した『さき』もありますが、丸々1本使うどぜう鍋がお勧めです。

このように割り下を張って、火がついた状態で供されます。鍋が浅いので、割り下を足しながら。天盛りしたねぎに火が通ったら食べ頃です。

店のHPを見ると、泥臭いという方もいらっしゃるようですが‥。小生は余り気になりません。むしろ、そのくらいの個性があっての江戸料理だと思います。

‥さて、調子に乗って柳川も頼んでしまいました💦

薬味は七味、山椒が添えられていますが、どぜう鍋は山椒、柳川は七味が個人的に好きです。

〆でどぜう汁と白いご飯。

どぜう汁は甘味噌仕立てでどろっとしたタイプでご飯に合います。追加で追いネギしました。

蒲焼やくじら料理もありますが、皆さん上の献立を軸に頼んでらっしゃるようです。お料理だけでなく、歴史を感じさせる店内やお座敷、給仕の方々の服装までが気分を盛り上げてくれます。接客も素晴らしい。

何か注文しようか、と顔を上げるとスッと寄ってきてくれます。職業柄?『すみません』と声を張るのが苦手でして‥💦こちらのスタッフの方はとても良く気がついてくれるので、食事していて安心感があります。

ご馳走様でした。
また定期的にお邪魔させて頂きます!

今回はこちらでお開きということで‥

この記事が参加している募集

休日のすごし方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?