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ジェンダーレンズでのぞいてみたら②

※神戸新聞で2023年3月8~17日に掲載された連載(全8回)を加筆・再編集し、4回に分けてお届けする記事の2回目です。

                      神戸新聞記者  石川 翠

〈地方企業㊤〉女性はサポート業務? 人事評価制度見直し

 「請確認(確認してください)」。細いワイヤを巻き上げる機械が並ぶ作業場で、陳小明さん(46)の声が響く。ばねを製造する東豊精工(兵庫県豊岡市)の中国・上海工場で、品質検査やクレーム対応などを担う課長級の「主幹」だ。
 広東省の深圳工場で経験を積み、2003年の上海工場開設に合わせて転勤した。管理職への登用は、経験と実績から考えれば自然な流れ。副工場長が女性だったこともある。「不安だとか嫌だとかはなかった。責任感を持って頑張ろうと思っただけ」と話す。中国の現場で当たり前の人事が日本では違っていた。
 東豊精工に勤める役職付きの女性の割合は、上海工場が70%、深圳工場が45・5%、豊岡の本社工場では11・8%―。
 業務そのものはほぼ同じはずの製造現場に潜む格差に、岡本慎二社長(65)は驚いた。「意識的に男を優遇しているつもりは全くなかった。だが、男が管理業務、女性はサポート業務という創業当初からの流れが続いてきてしまっていた」

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