![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/78174728/rectangle_large_type_2_e3d6e1bf8fb3e69d3ed7cedeb1b251e6.jpeg?width=1200)
CMでおなじみの音や動き、実は商標登録されていた!
テレビCMや日常生活などで、耳にしたり目にしたりするあんな音やこんな動き。実は、その商品を製造する企業が商標登録をしているものがあるんです。インターネットやスマートフォンの急速な普及を背景に、悪用を防ぎ、知的財産を保護する意識が高まっているためです。兵庫県内や関西の会社も続々と出願・登録しており、おなじみの音楽や懐かしいフレーズが目立ちます。そこで、10年近く企業担当記者を経験したヨーヨーマミーが、特許庁に登録されている「聞いたことある!」「見たことある!」という音や動きをご紹介します。
お風呂の時間だ!
![](https://assets.st-note.com/img/1652071465667-jhurgEjDf2.jpg?width=1200)
♪ソファミ~ソドシ~ソレド~ミ~で始まるメロディーに続いて「お風呂が沸きました」の声。日本人のおよそ3人に1人が聞いているというノーリツ(神戸市中央区)の給湯器の音声がこのほど、特許庁の「音商標」として登録された。クラシック音楽を含む音声では初めてといい、手続きに奔走した担当者は「多くの人に愛されるメロディーは社員の誇り」と喜んでいる。
ノーリツの家庭用給湯器のリモコンから、自動のお湯張りが完了するタイミングで流れる。視覚障害者の不便を解消しようと1997年に登場した。
同社によると、2020年までのリモコンの累計販売は約1625万台。1世帯平均人数を掛けると、日本の人口総数の約30%がこの音声を耳にしている計算になるという。
(中略)
ノーリツの給湯器のメロディーは、同社のオリジナルではない。ドイツの作曲家テオドール・エステンのピアノ曲「人形の夢と目覚め」から、第2部「夢を見ているところ」の一節を引用している。
開発段階では、聞き飽きないクラシック音楽などから10曲の候補を選んだ。当時の担当者が「ワンフレーズが10秒程度」「鉄琴の音でも違和感がないメロディー」といった条件で絞り込み、最終的に「お風呂に入る高揚感や幸福感が表現できる」と決めたという。
実はノーリツは17年にもこの音声を出願し、かなわなかった経緯がある。オリジナル曲でない上に、社名や商品名が入っておらず、「ノーリツと識別できない」として却下されたが、諦めなかった。
同社の知財部が、テレビCMの放送実績や社内報の記事などを集めて資料を作り直した。認知度の高さやノーリツとしての愛着をPRする形で18年に再出願し、今年3月、メロディーとその後の声を合わせた計11秒の音声が音商標として登録された。
もともとはクラシック音楽のピアノ曲であることを知らなかった人も少なくないのでは?と思うくらい、「お風呂の音楽」として定着していますね。1度却下されたものの諦めなかったというエピソードに、ノーリツ社員の執念と、このメロディーに対する愛の深さを感じます。
子どものころによく見た!聞いた!
![](https://assets.st-note.com/img/1652066972059-U3tErCHSYX.jpg?width=1200)
(中略)
はらりと広がる紫色の風呂敷の中から、日本酒の一升瓶が現れる。時間にして約3秒。1975年に放映が始まった菊正宗酒造のテレビCMの最後に決まって登場する映像だ。
当時取締役だった嘉納毅人社長(72)が、高級品、贈答品のイメージを表現しようと考案。CG技術などがなかったため、手品師に仕掛けを考えてもらい、実写で撮影した。
2009年に終了したが、昨年秋に再び放映した。同社の担当者は「長年にわたって流したことで、紫の風呂敷は当社の代名詞となっている」と説明。広告が多様化する中「ホームページ上などでも活用し、贈答用としての認知を再度広げていきたい」と話す。
この映像を見ると「やぁっぱり~おれは~~~~きくまさ~むぅ~ね~♪」と思わず歌い出してしまいますね。
思わず口ずさんでしまう商品名
思わず言ってしまうといえば、食卓を彩るこんなCMのフレーズも商標登録されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1652070631830-wrzgkxtnHR.jpg?width=1200)
(中略)
フジッコ(神戸市中央区)は「ふじっ子のおまめさん」のフレーズの登録が認められた。温かい家庭の食卓をイメージして作ったといい、78年のテレビCM放送以来、40年近く使用。担当者は「今後の海外展開を考え、外国の人にも覚えてもらいやすいメロディーを大切にしたい」とする。
おなじみの「フジッコ~のおま~めさんっ♪」ですね。豆を「さん」付けで呼んでいるところが関西っぽく、身近で温かみがあります。このフレーズによって、消費者に「煮豆=フジッコ」「フジッコ=煮豆」と記憶されていく気がします。
「おもしろ商品名」で有名なあの企業のCMも
「何年もかけて投資してきた資産。ブランド名と同じくらい大切に思っている」と、小林製薬の小林章浩社長(44)は話す。同社は、音5件、動き1件が認められた。
トイレの水洗化率が2割程度だった69年に登場した芳香洗浄剤「ブルーレット」や、就寝時のニキビケアを提案した「ビフナイト」など、業界に先駆けて開発、発売した商品ばかり。後発品に埋もれないインパクトを持たせるため、商品名をメロディーに乗せたCMを考案した。小林社長は「10年後、20年後もみなさんに口ずさんでもらいたい」と話す。
「ブル~レット♪」も「ビッフッ、ナイットッ♪」も、耳にするだけで商品がすぐに想起できてしまうわけですから、小林製薬の名付けと旋律のセンスには目を見張るものがあります。
これらの新しい商標登録の制度は、2015年4月にスタートしました。種類は「音」、文字や図形の変化による「動き」、文字などを商品に添付する場所の「位置」、見る角度で図形などが変化して見える「ホログラム」、「色彩」の全5分野があるそうです。商品名やロゴだけでなく、音や動きも企業が大事に育ててきたブランドなのだなと改めて実感しますね。
〈ヨーヨーマミー〉
2009年入社。幼い頃はテレビっ子で、好きなフレーズは「かんさいでんきほーあーんきょーかい」(登録番号/第5833009号)と「お手々のしわとしわを合わせて、しあわせ。なーむー。」(登録番号/第5857148号)。真似して連呼するだけで楽しかったあの頃…。