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ネット全盛の世でも 時代を刻む「号外」

こんにちは、ぶらっくまです。

「号外です!号外!」。こんな呼び声とともに新聞社員らが配る薄い新聞を、受け取った経験はあるでしょうか。

号外とは、国民的な一大事が起きた際、普段の新聞とは別に発行される特別な新聞です。通常の新聞には発刊以来の号数が1面に掲載されていますが、臨時で出す号外は、この通し番号の対象外のため「号外」というわけです。

通常の新聞の1面にある号数。同じ日の朝刊と夕刊は同じ番号です。神戸新聞は2023年3月29日で「第44919号」。1年の365(日)で割ると、何年くらい続いているか分かります

人通りの多い大きな駅前などで無料で配られ、大抵は2~4ページほどの構成になっています。1ページのみで新聞社の前などに掲示される「張り出し号外」や、近年はネットで見られるPDF号外もあります。

神戸新聞でも電子版「神戸新聞NEXT」のサイト内に、「過去の号外」として近年の号外の一部を載せています。

では「号外」と聞くと、どんなニュースを思い浮かべるでしょうか。最近だと、やっぱりあれですよね。

「侍ジャパン 世界一」

そう、野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での日本代表
の優勝です。神戸新聞が発行した直近の号外でもあります。神戸の繁華街などで配り、用意した部数が瞬く間になくなったと聞きました。東京や大阪でも、各紙の号外に多くの人が集まったことがニュースになっていましたね。

神戸新聞に後日、「WBCの号外がほしい」というお電話もたくさんいただいたのですが、申し訳ないことに、それができないのが号外でもあります。ニュースの速報性ではネットが勝りますが、号外は「その場限り」だからこそ、記念に持っておきたいという思いも生まれるのでしょう。

中でもスポーツに関する号外は、笑顔で受け取ってくれる人が多く、配る側も心が躍ります。過去には、こんな号外にも街頭で人だかりができました。

「羽生 連覇」

2018年2月、ピョンチャン冬季五輪のフィギュアスケート男子で羽生結弦選手が優勝し、66年ぶりの2連覇を達成した号外です。

目に飛び込んでくるシンプルな見出しも、号外ならではですね。写真のチョイスも重要です。時間に限りがある中で、一番いい瞬間の1枚を選びます。

スポーツの号外では、神戸新聞ならではの、こんなものもありました。

「イニエスタ初陣」

2018年7月、サッカーJリーグ1部(J1)ヴィッセル神戸に新加入した元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ選手が、本拠地ノエビアスタジアム神戸のピッチに立った時の号外です。

この時、イニエスタ選手は、来日からわずか中3日でした。その後、深刻なけがにも見舞われましたが見事復帰し、今季も神戸の街を沸かせています。

次は、ぐっと時間をさかのぼって懐かしい号外です。

「阪神ついに日本一」

1985年11月、阪神タイガース初の日本一の瞬間です。36年目の悲願達成でした。紙面のレイアウトなどにも歴史を感じますね。

もちろん号外は、スポーツニュースばかりではありません。大事件や大事故、大災害などの際にも発行されます。「時代を刻む」のが新聞の役割の一つですが、号外はその意味合いが一層強いといえます。

最後に「文字通り」、時代を刻んだ号外を二つ。

「新元号は『平成』」

「令和」

「令和」は記憶に新しいですね。そういえば、見出しに「れいわ」とふりがなを振っていたんですね。いまや令和5年になり、国民の意識にもなじんだのではないでしょうか。

ネットニュース全盛の時代になりましたが、時代を刻む号外の役割はまだまだ健在といえそうです。

〈ぶらっくま〉
1999年入社。私も街頭で号外を配布したことがありますが、〝売れ行き〟がいいと、配る側もうれしくなります。「普段の新聞もこれくらい売れたらな・・・」という思いもよぎりますが(汗)、号外を通じ、紙でニュースをじっくり読む楽しさ、醍醐味が見直されるといいな、と思いながら作業しています。